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11 呼吸ッ!
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「まどろっこしいわ、「灯り」とかからやってる場合じゃないわ!」
ふんぬーーーーっ!さっさとレベルアップかつ魔力アップなのだわ。だって
「マリー……足は……ごめん、私が傍にいながら……ううっ」
「お、お兄様泣かないで。これは私がわるいのですから」
「マリーは悪い事なんて一つもない!!」
毎日ヴィンセントお兄様の顔を曇らせているだけで万死に値するというのに!私が阿呆でさっさと浮遊魔法を覚えなかったから……こんな責め苦を受けようとは!辛い、辛すぎる!!
「この足では……ダンスは踊れないって……」
「ごめんなさいっ……リエリル様。ヴィンセントが無理やりお茶会に連れ出したから」
「……ヴィンセントは悪くないわ、チェレネ……」
お母様とチェレネ様は仲良くなってくれた。これであのゲームのように、お母様がチェレネ様を虐めて虐めて殺してしまうなんてことはなくなった……はず。ヴィンセントお兄様が影のある美形じゃなくなるかもしれないけれど、今でも十分に美少年なんだから、きっと素敵な美青年になる、絶対だ。だから大丈夫だ(何が?)
それより私の足のせいでヴィンセントお兄様が暗い顔なのが……まあ、私がダンスを踊れないのも多少問題もある……淑女の嗜みのダンスが出来ないという事は落ちこぼれ決定なのよね。あーあこれじゃ「クラブ・クイーン」にはなれないかも。それは諦められるけれど……お兄様の笑顔を取り戻さなきゃ!
「えーと魔法はMP……精神力とか魔力とか言われている奴が枯渇すると最大MPが上がる。そして魔法の種類はたくさん使って練度を上げて行けば類似魔法を覚える事が出来る……あとは魔導書の類から学ぶ。先生から学ぶ。見て学ぶ……結構あるわね!」
でも、先生や見て学ぶ事は出来なかった。
「マリーはまだ6歳なのよ!?早すぎるわ!!」
「え……今でも遅いくらい……」
「駄目!!それにそんな危ない事をさせられません!!」
「そうよ!マリー様っ」
「マリー!なんて恐ろしい事を言うんだ!?私は心配でたまらないよ!」
お母様、チェレネ様、お兄様の三人がかりで怒られた……むう……。でも、回復魔法だけは見ることが出来たんだ。
「では足の方に……」
「お願い致します!」
神殿から高司祭と言う人が来て、私の足に回復魔法をかけてくれた。多分ものすごい高いお金を払ってお母様が呼び寄せてくれたんだろう。
「……これほど酷いとは……」
「……マリー……ううっ」
「泣かないで、お母様……」
私の足は良くならなかった。はっきりいえばこの人、回復魔法のレベルが低すぎる!全然効かない!!こんなんじゃ治る訳ないじゃない!!でも唯一しっかり見ることが出来た。これで毎日反復練習すればスキルとして目覚めるはず。
「神様、頼みますッ……推しの、推しの笑顔の為に私に回復魔法を授けたまえ!!」
理由はまあ……褒められたもんじゃないかもしれない私の願望がマシマシだったけれど、毎日毎日ベッドの上で繰り返し、誰もいない時を見計らって毎日毎日、毎日毎日頑張ったわ。……それくらいしかやる事がないんだもん。
「……ん!」
そしてついにコツを掴んだのよ!なんかほわっと暖かい物がこう、患部にじんわり温熱効果みたいな!そこからまた怒涛の練習地獄。痛い足っていういいサンプルもあったからね、どんどん使いまくったわ!そりゃあもうってくらい。
「呼吸よ、呼吸を整えるッ!くっ付く波紋ッと弾く……ッ」
「お嬢様?どうかなさいまし……た?」
「え」
あの有名漫画のように変なポーズで回復魔法の練習をしていたら、メイドのルルに見つかって冷たい目で見られた……ううう……ドギューーーンである……しょんぼり。そんな悲しい事件を乗り越えつつ、私はとうとう回復魔法に目覚めたのです!
「んふ、ヒーーーール!」
ぽわん、と緑の光の玉が出来て、足に吸い込まれた。
「ちょっとだけ痛く無くなった……気がするわ!!」
フフ、流石私。やればできる子なんだわ。どんどん使っていくわよ!!
ふんぬーーーーっ!さっさとレベルアップかつ魔力アップなのだわ。だって
「マリー……足は……ごめん、私が傍にいながら……ううっ」
「お、お兄様泣かないで。これは私がわるいのですから」
「マリーは悪い事なんて一つもない!!」
毎日ヴィンセントお兄様の顔を曇らせているだけで万死に値するというのに!私が阿呆でさっさと浮遊魔法を覚えなかったから……こんな責め苦を受けようとは!辛い、辛すぎる!!
「この足では……ダンスは踊れないって……」
「ごめんなさいっ……リエリル様。ヴィンセントが無理やりお茶会に連れ出したから」
「……ヴィンセントは悪くないわ、チェレネ……」
お母様とチェレネ様は仲良くなってくれた。これであのゲームのように、お母様がチェレネ様を虐めて虐めて殺してしまうなんてことはなくなった……はず。ヴィンセントお兄様が影のある美形じゃなくなるかもしれないけれど、今でも十分に美少年なんだから、きっと素敵な美青年になる、絶対だ。だから大丈夫だ(何が?)
それより私の足のせいでヴィンセントお兄様が暗い顔なのが……まあ、私がダンスを踊れないのも多少問題もある……淑女の嗜みのダンスが出来ないという事は落ちこぼれ決定なのよね。あーあこれじゃ「クラブ・クイーン」にはなれないかも。それは諦められるけれど……お兄様の笑顔を取り戻さなきゃ!
「えーと魔法はMP……精神力とか魔力とか言われている奴が枯渇すると最大MPが上がる。そして魔法の種類はたくさん使って練度を上げて行けば類似魔法を覚える事が出来る……あとは魔導書の類から学ぶ。先生から学ぶ。見て学ぶ……結構あるわね!」
でも、先生や見て学ぶ事は出来なかった。
「マリーはまだ6歳なのよ!?早すぎるわ!!」
「え……今でも遅いくらい……」
「駄目!!それにそんな危ない事をさせられません!!」
「そうよ!マリー様っ」
「マリー!なんて恐ろしい事を言うんだ!?私は心配でたまらないよ!」
お母様、チェレネ様、お兄様の三人がかりで怒られた……むう……。でも、回復魔法だけは見ることが出来たんだ。
「では足の方に……」
「お願い致します!」
神殿から高司祭と言う人が来て、私の足に回復魔法をかけてくれた。多分ものすごい高いお金を払ってお母様が呼び寄せてくれたんだろう。
「……これほど酷いとは……」
「……マリー……ううっ」
「泣かないで、お母様……」
私の足は良くならなかった。はっきりいえばこの人、回復魔法のレベルが低すぎる!全然効かない!!こんなんじゃ治る訳ないじゃない!!でも唯一しっかり見ることが出来た。これで毎日反復練習すればスキルとして目覚めるはず。
「神様、頼みますッ……推しの、推しの笑顔の為に私に回復魔法を授けたまえ!!」
理由はまあ……褒められたもんじゃないかもしれない私の願望がマシマシだったけれど、毎日毎日ベッドの上で繰り返し、誰もいない時を見計らって毎日毎日、毎日毎日頑張ったわ。……それくらいしかやる事がないんだもん。
「……ん!」
そしてついにコツを掴んだのよ!なんかほわっと暖かい物がこう、患部にじんわり温熱効果みたいな!そこからまた怒涛の練習地獄。痛い足っていういいサンプルもあったからね、どんどん使いまくったわ!そりゃあもうってくらい。
「呼吸よ、呼吸を整えるッ!くっ付く波紋ッと弾く……ッ」
「お嬢様?どうかなさいまし……た?」
「え」
あの有名漫画のように変なポーズで回復魔法の練習をしていたら、メイドのルルに見つかって冷たい目で見られた……ううう……ドギューーーンである……しょんぼり。そんな悲しい事件を乗り越えつつ、私はとうとう回復魔法に目覚めたのです!
「んふ、ヒーーーール!」
ぽわん、と緑の光の玉が出来て、足に吸い込まれた。
「ちょっとだけ痛く無くなった……気がするわ!!」
フフ、流石私。やればできる子なんだわ。どんどん使っていくわよ!!
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