【完結】転生したら悪役令嬢だった腐女子、推し課金金策してたら無双でざまぁで愛されキャラ?いえいえ私は見守りたいだけですわ

鏑木 うりこ

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5 頭の悪い忠臣は厄介すぎる

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「え……まさか、ど、毒!?」

「お母様、少しでもお口を付けましたか!?お医者様をお呼びください!!お母様のお腹には私の弟がいるはずです!すぐお医者様を!」

「え?マ、マリエル?何を……お、弟?え??」

「良いから!レン!ルル!早く手配して」

 レンとルルはお母様のメイドなの。名前を呼ばれた二人は驚きでぴょんと跳ねて、

「あ!はい!お嬢様!!」

 と、お母様を連れて行ってくれた。そして

「衛兵さんを呼んできて。流石にネリを無罪には出来ないわ。こんな強烈な毒をクラブの屋敷に持ち込むなんて」

「か、覚悟は出来ております……でも私はチェレネ様を救いたかった!」

 それはネリの本心だろう。でもね……。

「あなたのやった事はチェレネ様を救う事じゃない。チェレネ様をもっともっと追い詰めて殺す事よ」

「そんな!そんな事ありません!リエリル様さえいなければチェレネ様は心穏やかに過ごせる!」

「そんな訳ないわ」

 あーこんな先走る忠臣怖いわぁ。

「なんで!」

「お母様が死んだら、しかも毒で死んだら疑われるのは誰?」

「え……」

「私でもわかるわ、チェレネ様よ。チェレネ様がやっていなくても、絶対に誰しもチェレネ様だって思うわ」

「あ……」

 お母様がチェレネ様を嫌っている話は有名だし、誰も自分を差し置いて男の子を産んだ女を好きになるはずがない。

「そしたらチェレネ様はどうなるのかしら?屋敷にはお母様のメイドもいっぱいいるし……お母様のご実家のハート家が黙っているかしら?いないわよね。ハート家の怒りはどこへむくかしら?チェレネ様よね」

「あ……ああ……」

 やっと気がついて来たかな……自分のした事の恐ろしさに。

「ハート家からの責め苦をチェレネ様のご実家は庇って上げられる事が出来るのかしら?ただのメイドであるあなたに出来るわけないわよね?どうするの?」

「ひ、ひい……お助け、お助けを……!!」

「自分のお母様に毒を盛ったメイドを助ける人はいるかしら?」

 流石にちょっと許せそうにないのよね……。騒ぎを聞きつけて人が集まって来た。その中にヴィンセントお兄様もいたわ。

「ネリ?!母上のメイドが何故、南の離れに?!」

「ヴィンセント坊っちゃまぁー!お助け、お助けください!!」

 ああ、駄目だわこの子。全然分かってない。私はお兄様と向き合った、眩しいっ!けど、ここは耐える!

「お兄様。そのメイドを庇う事はなりません」

 私の強い口調にお兄様は真顔になります。

「何故?マリエル」

 良かった、お兄様がまともな頭の持ち主で。さすが、流石だわーーー!きっと南の離れにいるはずのないネリがここにいる時点である程度察してくれたのね。
 このまま私をなじるなら、どうしようかなって思ったんだもの。

「その子はお母様に毒を盛ったんです。見て下さい、お茶がこぼれた草が変な色になるくらいの毒です」

「なっ!?」

 私が指差した場所に壊れたカップと枯れた芝生がある。衛兵達はギョッとして「触らないで!」と、お兄様を下がらせた。

「……リエリル様は?!」

「大丈夫だと思いますが、お医者様のところに行っています」

「そうか」

 お兄様はほっと胸を撫で下ろして厳しい顔をネリに向ける。

「……ネリ、とんでもない事をしてくれたね……」

「すみません!ヴィンセント坊っちゃま!私、私何も知らなくてそれで」

「このメイドを連れて行ってくれ」

「坊っちゃま!助けて!」

 あああーーー!推しに!推しにぃ!!あんな辛い顔をさせてしまった!!私は、私は失格だ!!腹を
腹を切って全世界に詫びたいが、私が切腹すると、お兄様との約束を破ってしまううーーーー!!!!それだけはしちゃいかーん!

「ネリ!私だって尽くしてくれた君を助けたい!でも君を助けたら、母上が疑われるんだ!マリーはそれが分かってるから私にああ言ったんだ!」

 ストンとネリはその場に膝をついた。





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