79 / 83
79 離れたくないんだよなあ
しおりを挟む
寝ちまったルシだけど俺にしがみついててどう引っ張っても取れない。
「引き剥がさない方が良くないです……?」
「いえ、しかしあの一度銀の都へ帰らねば……」
リンカが止めたけど、おっさん達はルシを五人がかりで引っ剥がし……。
「何をする! これは私のものだっ」
「ぎゃっ!」
雲一つなかったのに、一瞬で天から降って来た白い稲妻に当たって痺れていた。痺れただけで済ませてあるのに優しさを感じる。
「アリアン……アリアン、どこだ」
「ルシ! 俺はここだよ!」
そんで真っ青な顔で俺に向かってよちよちふらふら歩いてくるから慌てて駆け寄る。
「無茶すんなよ、穴が開いてんだろ?」
「お前がいてくれれば大丈夫だ」
「ん、分かった。ずっと一緒にいるよ」
それが一番いいみたいだ。
「リンカは黒竜山に残らなきゃ。こっちの管理する人も必要だよ」
「うんうん、そうだよねー」
頭だけはぬいぐるみだが、体は針金の棒人間が腕を組んでなんかいってる。怒ったリンカはこいつに体を作り直してやらなかった。でも針金だけでも与えて動けるようにしてやったなんて、なんて慈悲深いんだ。
「は? だめだけど?」
「リンカも来て貰わねば困る」
「でもさ、調整とかしないと生きてる人達困るでしょう?」
「うんうん、仕事をサボるのは良くない」
この神様とかいう奴が大体悪い気がしてきた。やっぱりこいつ燃やした方がいいんじゃねーか?? しかもなんか偉そうだし。
「でも俺、リンカと一緒じゃなきゃやだな」
リンカはほんといい奴だし、いっつも俺のこと助けてくれるし、絶対俺の味方だし……俺、ルシも必要だけど、リンカも必要だ。最初はうるさくて鬱陶しい奴だと思ってたけど、もうリンカのいねえ生活は考えられねえもん。
「嬉しいよ、アリアン……! 私もアリアンと一緒がいいけど、黒の大陸にはアリアンとルシ様の子孫も住んでるんだよ、あの子達に何かあったら可哀想だもん」
「あー……そうだよなぁ」
そういえば物凄く薄くなったけど、黒の大陸には黒竜の気配を持つ奴らが何人もいる。長男のリエンダールを筆頭に子供達はきちんとデフィタ家を盛り上げ引継ぎ暮らしていっているらしかった。リンカは折を見て何度も手助けをしたり、助言をしたりしていたらしい……俺、寝てただけだった、ごめん……。
「そうだぞう~こっち半分の世界は新しい世界なんだもん。ちゃんと見てやらないといっぱい人が死んじゃうし発展しないんだぞー」
「そういうのは神様の仕事でしょ? あんたがサボってっから悪いんでしょっ」
「違う~私の仕事の手伝いをするために竜を作って世界に置いたのに、竜が仕事しないんだもん~!」
「竜に仕事をするように指導するのをサボったんでしょ……」
「バレた」
「何も言われなきゃどんな仕事をしていいかもわからないから当たり前よね」
「あれ? 私のせい?」
俺もリンカも無言で顔だけ神様を睨んだのは正解だろう。俺、神様とかいう奴にあったの初めてだぞ? 卵から産まれてなんとなーく過ごして黒の大陸は俺のモンらしいから別の奴に取られないようにしてただけ。発展させるとかそんなの考えたこともなかった。
「普通さ~お前のモンだよ、って大陸渡したら発展させようと思うじゃない? そう思ったらそこに生きている人達に興味持つじゃない~?」
「まったく思わなかったが」
「うわーっ! これだから頭の悪い黒竜は困るんだよぉ」
「アリアンのこと馬鹿にすんなぁっ!」
俺が怒って火を吐く前にリンカが神様の首をまた千切って捨てた……流石だぜ。
「しょうがない……急いでオートモードで管理できるかやってみる。たまに帰って来てメンテをすればいいくらいにできないかなあ~」
「何かよくわからんが、何とかなるか? リンカ」
「たぶんできる気がする。こっちは私がやっておくからアリアンはルシ様のこと頼むね」
「その辺散歩でもしてる」
「あはは、頼むよ」
ルシはさっきまで起きていたと思ったのに、またウトウトしている。それを見てリンカは俺に外へ行けっていったんだ。きっとここで機械の改造をするからけたたましい音がするんだろう。起こしちゃ悪いってことだな。
「ああ~ん、待ってぇ~私も外へ行くぅ~」
「けっ来なくていいぜ」
「そんなこといわずにぃ~」
ぬいぐるみの顔だけがポンポン弾んで俺の肩に乗っかった。うぜぇけど、ここに置いておいたらリンカの邪魔になりそうだ。外に連れてって、崖の上からずーっと下の方に捨ててやろう、それが良い。
「神様を大切にぃ~~」
「うっせ」
こいつ、俺の思考が読めるみたいだけど本当に神様なんだろうか?
「引き剥がさない方が良くないです……?」
「いえ、しかしあの一度銀の都へ帰らねば……」
リンカが止めたけど、おっさん達はルシを五人がかりで引っ剥がし……。
「何をする! これは私のものだっ」
「ぎゃっ!」
雲一つなかったのに、一瞬で天から降って来た白い稲妻に当たって痺れていた。痺れただけで済ませてあるのに優しさを感じる。
「アリアン……アリアン、どこだ」
「ルシ! 俺はここだよ!」
そんで真っ青な顔で俺に向かってよちよちふらふら歩いてくるから慌てて駆け寄る。
「無茶すんなよ、穴が開いてんだろ?」
「お前がいてくれれば大丈夫だ」
「ん、分かった。ずっと一緒にいるよ」
それが一番いいみたいだ。
「リンカは黒竜山に残らなきゃ。こっちの管理する人も必要だよ」
「うんうん、そうだよねー」
頭だけはぬいぐるみだが、体は針金の棒人間が腕を組んでなんかいってる。怒ったリンカはこいつに体を作り直してやらなかった。でも針金だけでも与えて動けるようにしてやったなんて、なんて慈悲深いんだ。
「は? だめだけど?」
「リンカも来て貰わねば困る」
「でもさ、調整とかしないと生きてる人達困るでしょう?」
「うんうん、仕事をサボるのは良くない」
この神様とかいう奴が大体悪い気がしてきた。やっぱりこいつ燃やした方がいいんじゃねーか?? しかもなんか偉そうだし。
「でも俺、リンカと一緒じゃなきゃやだな」
リンカはほんといい奴だし、いっつも俺のこと助けてくれるし、絶対俺の味方だし……俺、ルシも必要だけど、リンカも必要だ。最初はうるさくて鬱陶しい奴だと思ってたけど、もうリンカのいねえ生活は考えられねえもん。
「嬉しいよ、アリアン……! 私もアリアンと一緒がいいけど、黒の大陸にはアリアンとルシ様の子孫も住んでるんだよ、あの子達に何かあったら可哀想だもん」
「あー……そうだよなぁ」
そういえば物凄く薄くなったけど、黒の大陸には黒竜の気配を持つ奴らが何人もいる。長男のリエンダールを筆頭に子供達はきちんとデフィタ家を盛り上げ引継ぎ暮らしていっているらしかった。リンカは折を見て何度も手助けをしたり、助言をしたりしていたらしい……俺、寝てただけだった、ごめん……。
「そうだぞう~こっち半分の世界は新しい世界なんだもん。ちゃんと見てやらないといっぱい人が死んじゃうし発展しないんだぞー」
「そういうのは神様の仕事でしょ? あんたがサボってっから悪いんでしょっ」
「違う~私の仕事の手伝いをするために竜を作って世界に置いたのに、竜が仕事しないんだもん~!」
「竜に仕事をするように指導するのをサボったんでしょ……」
「バレた」
「何も言われなきゃどんな仕事をしていいかもわからないから当たり前よね」
「あれ? 私のせい?」
俺もリンカも無言で顔だけ神様を睨んだのは正解だろう。俺、神様とかいう奴にあったの初めてだぞ? 卵から産まれてなんとなーく過ごして黒の大陸は俺のモンらしいから別の奴に取られないようにしてただけ。発展させるとかそんなの考えたこともなかった。
「普通さ~お前のモンだよ、って大陸渡したら発展させようと思うじゃない? そう思ったらそこに生きている人達に興味持つじゃない~?」
「まったく思わなかったが」
「うわーっ! これだから頭の悪い黒竜は困るんだよぉ」
「アリアンのこと馬鹿にすんなぁっ!」
俺が怒って火を吐く前にリンカが神様の首をまた千切って捨てた……流石だぜ。
「しょうがない……急いでオートモードで管理できるかやってみる。たまに帰って来てメンテをすればいいくらいにできないかなあ~」
「何かよくわからんが、何とかなるか? リンカ」
「たぶんできる気がする。こっちは私がやっておくからアリアンはルシ様のこと頼むね」
「その辺散歩でもしてる」
「あはは、頼むよ」
ルシはさっきまで起きていたと思ったのに、またウトウトしている。それを見てリンカは俺に外へ行けっていったんだ。きっとここで機械の改造をするからけたたましい音がするんだろう。起こしちゃ悪いってことだな。
「ああ~ん、待ってぇ~私も外へ行くぅ~」
「けっ来なくていいぜ」
「そんなこといわずにぃ~」
ぬいぐるみの顔だけがポンポン弾んで俺の肩に乗っかった。うぜぇけど、ここに置いておいたらリンカの邪魔になりそうだ。外に連れてって、崖の上からずーっと下の方に捨ててやろう、それが良い。
「神様を大切にぃ~~」
「うっせ」
こいつ、俺の思考が読めるみたいだけど本当に神様なんだろうか?
323
お気に入りに追加
562
あなたにおすすめの小説
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
異世界ぼっち暮らし(神様と一緒!!)
藤雪たすく
BL
愛してくれない家族から旅立ち、希望に満ちた一人暮らしが始まるはずが……異世界で一人暮らしが始まった!?
手違いで人の命を巻き込む神様なんて信じません!!俺が信じる神様はこの世にただ一人……俺の推しは神様です!!
王道学園のモブ
四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。
私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。
そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。
パーティー全員転生者!? 元オタクは黒い剣士の薬草になる
むらくも
BL
楽しみにしてたゲームを入手した!
のに、事故に遭った俺はそのゲームの世界へ転生したみたいだった。
仕方がないから異世界でサバイバル……って職業僧侶!? 攻撃手段は杖で殴るだけ!?
職業ガチャ大外れの俺が出会ったのは、無茶苦茶な戦い方の剣士だった。
回復してやったら「私の薬草になれ」って……人をアイテム扱いしてんじゃねぇーーッッ!
元オタクの組んだパーティは元悪役令息、元悪役令嬢、元腐女子……おい待て変なの入ってない!?
何故か転生者が集まった、奇妙なパーティの珍道中ファンタジーBL。
※戦闘描写に少々流血表現が入ります。
※BL要素はほんのりです。
悪役に転生させられたのでバットエンドだけは避けたい!!
あらかると
BL
主人公・日高 春樹は好きな乙女ゲーのコンセプトカフェの帰りにゲーム内のキャラに襲われ、少女によってトラックへと投げ込まれる――――という異常事態に巻き込まれ、挙句の果てに少女に「アルカ・スパイトフルとして生きて下さい」と。ゲームに似ている世界へと転生させられる。
ちょっと待って、その名前悪役キャラで最後死ぬキャラじゃないですか!!??それになぜ俺がそんな理不尽な目に合わないといけないんだ・・・!!ええっ!
あっ!推しが可愛いーーーー!!と、理不尽に心の中で愚痴りながらも必死に、のんびりと気軽に過ごすストーリ(になるはず)です。
多分左右固定
主人公の推し(アフェク)×主人公(春樹)
その他cpは未定の部分がありますが少し匂わせで悪役であったアルカ(受)あるかと思います。
作者が雑食の為、地雷原が分かっていない事が多いです。
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる