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74 わかんねえ、いや、分かった!
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「どーしよーかなぁ? あっそろそろお客さんが来るんじゃない?」
「どーせまた青竜か赤竜でしょ?」
俺が二つのぬいぐるみを滅茶苦茶くっつけようと悪戦苦闘していると、玄関のベルが大きく響く。うるせーな! てか俺、実体ねえからぬいぐるみ持てなかったわ……何してんだ。
「馬鹿どもがまた来たわぁ」
「くすくす」
面倒くさそうにリンカは立ち上がり、地下室から地上へ向かう。不思議なことに金髪のぬいぐるみもふわふわとリンカの後ろをついていった。俺もついてってみよう、ふわふわ。
「リンカちゃん様! 頼もう!」
「クソリンカ様! 扉を開けて下さいませ野郎、ふざけんな!」
「家の結界を破ることもできないバカ蜥蜴がうるさいのよ!」
地下室から出るとすぐに玄関で、リンカが右手を上げると、ゆっくり扉が開いた。
「リンカちゃん様! おはようございます。今日こそ兄貴をもらって行きますよ!」
「2000年かかっても水晶に傷一つつけらんないのに、どうやって持っていくの?」
「根性でっす!」
片方は青い髪のなんか見たことある奴、尻尾が途中から切れたまま……青竜だ。あいつ、全然変わってなくて今日も馬鹿げたことをいっている。
「兄貴ぃ~今日も不機嫌そうで可愛いッスねぇ。今日こそ俺の嫁になって下さいよぉ~」
「ならないと思うよ」
「そこをなんとか!」
青竜の奴まだそんなこと考えてんのか。俺を嫁ぇ? 相変わらず気色わりぃ。ついでにもう一匹いる奴は赤いな?
「俺は今日こそリンカ様に勝つ!」
「だからもっと強くなってから言いなよ。毎回パンチ一発で伸びるのに」
「あんたが強すぎるんだ! なんで大陸の守護竜二匹がかりなのに触れもしねーんだよ!」
「あんた達が弱いだけだけど?」
「リンカちゃん様、今日も容赦ねぇっすぅー!」
はあ、こいつら青竜と赤竜なのか。こんな弱いのが大陸の守護竜でいいのか? 見ただけでリンカの相手になんねーって分かるじゃねぇか。青竜なんて前と全く変わらず弱そうだぞ?
「なんていうかー? リンカが世界のこっち側を上手い具合に弄れちゃうようになっちゃったんで、守護竜が弱くても問題なくなっちゃったんだよねぇ」
「弱くても世界はなんとかなるとしても別に弱いままでいなくたっていーじゃん、強くなれば良いのにさ」
「まあ、リンカのいうことは一々正しいんだけどねぇ」
リンカの後ろにぷかぷか浮いてる金髪のぬいぐるみが俺の謎に答えてくれた。そうだよなーリンカは正しいなぁ。リンカ、前より強くなってねぇ? 流石だぜ。
ていうか、俺だ。俺が透明の宝石の中に入ってた。俺が五人くらい縦に入れるくらいデカい塊の中に一人で埋まってる。いつからだろ? ここで寝ちゃってからかな……もしかして俺が寝てる間、リンカは一人でいたのか? リンカ、寂しかったんじゃねぇか?? 俺が俺を見上げている間に勝負はついてた、早い。
「ほりゃーっ! リンカちゃん、パーンチ」
「ぎょぺーーっ!」
「おぎゃーーっ!」
文字通り、二匹をパンチ一発で吹っ飛ばして、リンカは両手からつまらん埃を払い落とすように、ぱんぱんと手を叩いている。
「大丈夫だよ、リンカの妄想は無限大だからね! 起きたんだね、アリアン。ちょっと長い昼寝だったねぇ。2000年は寝たかなぁ」
まじか、流石になげぇな!
「黒ちゃん、初めまして。神様だよー! 竜を長命に、人間を短命にした張本人さ」
金髪のぬいぐるみは自分が神様だって言ってる。こいつは嘘クセェけど、リンカが突っ込んでこないから、本当かもしれねぇな。
「アリアンがちょこっと寝てる間にリンカ、色々作ったりしたんだ。いやー機械ってあんま得意じゃないけど、やればなんとかなるもんだねー! アリアン、見たー?地下のさ、魂追っかけシステム! ちゃんと稼働してんのに、こいつに妨害されて見えなくされてんだよ、ムカつくー!」
「えへっ」
魂追っかけシステムって、もしかして……。
「あったり前じゃん! ルシ様が死んだからそれで終わりなんてリンカの推しに対する情熱を甘く見ないで欲しい訳。絶対会えない次元にいるんじゃないんだよ? 諦める訳ないじゃーん!」
「あー……ほんとリンカって怖いよねぇ~神様まで脅すんだからぁ。でも見てて楽しいぞ」
「ふーんだ!本当にそうならこの惑星の裏側見せてよ、隠してんでしょっ! ルシ様をさあー!」
は? ルシって言ったか?ルシって、あのルシ? 俺の大好きなルシダール? リンカの推しってルシだったもんな、え? 俺、よくわかんねぇ……だってルシダールは死んだんだよ、それなのに追っかけてる? 魂を??
「はぁ、死んだから諦めるとかナイナイ。アリアンだってずーーっと忘れられずにいるのにさ、いい? 元々リンカが体がなくて魂みたいな状態でいるんだよ? ちょっと考えたら分かるでしょっ」
いや、わかんねぇけど……。でも分かったことはある。やっぱりリンカはすげーってことだ!
「どーせまた青竜か赤竜でしょ?」
俺が二つのぬいぐるみを滅茶苦茶くっつけようと悪戦苦闘していると、玄関のベルが大きく響く。うるせーな! てか俺、実体ねえからぬいぐるみ持てなかったわ……何してんだ。
「馬鹿どもがまた来たわぁ」
「くすくす」
面倒くさそうにリンカは立ち上がり、地下室から地上へ向かう。不思議なことに金髪のぬいぐるみもふわふわとリンカの後ろをついていった。俺もついてってみよう、ふわふわ。
「リンカちゃん様! 頼もう!」
「クソリンカ様! 扉を開けて下さいませ野郎、ふざけんな!」
「家の結界を破ることもできないバカ蜥蜴がうるさいのよ!」
地下室から出るとすぐに玄関で、リンカが右手を上げると、ゆっくり扉が開いた。
「リンカちゃん様! おはようございます。今日こそ兄貴をもらって行きますよ!」
「2000年かかっても水晶に傷一つつけらんないのに、どうやって持っていくの?」
「根性でっす!」
片方は青い髪のなんか見たことある奴、尻尾が途中から切れたまま……青竜だ。あいつ、全然変わってなくて今日も馬鹿げたことをいっている。
「兄貴ぃ~今日も不機嫌そうで可愛いッスねぇ。今日こそ俺の嫁になって下さいよぉ~」
「ならないと思うよ」
「そこをなんとか!」
青竜の奴まだそんなこと考えてんのか。俺を嫁ぇ? 相変わらず気色わりぃ。ついでにもう一匹いる奴は赤いな?
「俺は今日こそリンカ様に勝つ!」
「だからもっと強くなってから言いなよ。毎回パンチ一発で伸びるのに」
「あんたが強すぎるんだ! なんで大陸の守護竜二匹がかりなのに触れもしねーんだよ!」
「あんた達が弱いだけだけど?」
「リンカちゃん様、今日も容赦ねぇっすぅー!」
はあ、こいつら青竜と赤竜なのか。こんな弱いのが大陸の守護竜でいいのか? 見ただけでリンカの相手になんねーって分かるじゃねぇか。青竜なんて前と全く変わらず弱そうだぞ?
「なんていうかー? リンカが世界のこっち側を上手い具合に弄れちゃうようになっちゃったんで、守護竜が弱くても問題なくなっちゃったんだよねぇ」
「弱くても世界はなんとかなるとしても別に弱いままでいなくたっていーじゃん、強くなれば良いのにさ」
「まあ、リンカのいうことは一々正しいんだけどねぇ」
リンカの後ろにぷかぷか浮いてる金髪のぬいぐるみが俺の謎に答えてくれた。そうだよなーリンカは正しいなぁ。リンカ、前より強くなってねぇ? 流石だぜ。
ていうか、俺だ。俺が透明の宝石の中に入ってた。俺が五人くらい縦に入れるくらいデカい塊の中に一人で埋まってる。いつからだろ? ここで寝ちゃってからかな……もしかして俺が寝てる間、リンカは一人でいたのか? リンカ、寂しかったんじゃねぇか?? 俺が俺を見上げている間に勝負はついてた、早い。
「ほりゃーっ! リンカちゃん、パーンチ」
「ぎょぺーーっ!」
「おぎゃーーっ!」
文字通り、二匹をパンチ一発で吹っ飛ばして、リンカは両手からつまらん埃を払い落とすように、ぱんぱんと手を叩いている。
「大丈夫だよ、リンカの妄想は無限大だからね! 起きたんだね、アリアン。ちょっと長い昼寝だったねぇ。2000年は寝たかなぁ」
まじか、流石になげぇな!
「黒ちゃん、初めまして。神様だよー! 竜を長命に、人間を短命にした張本人さ」
金髪のぬいぐるみは自分が神様だって言ってる。こいつは嘘クセェけど、リンカが突っ込んでこないから、本当かもしれねぇな。
「アリアンがちょこっと寝てる間にリンカ、色々作ったりしたんだ。いやー機械ってあんま得意じゃないけど、やればなんとかなるもんだねー! アリアン、見たー?地下のさ、魂追っかけシステム! ちゃんと稼働してんのに、こいつに妨害されて見えなくされてんだよ、ムカつくー!」
「えへっ」
魂追っかけシステムって、もしかして……。
「あったり前じゃん! ルシ様が死んだからそれで終わりなんてリンカの推しに対する情熱を甘く見ないで欲しい訳。絶対会えない次元にいるんじゃないんだよ? 諦める訳ないじゃーん!」
「あー……ほんとリンカって怖いよねぇ~神様まで脅すんだからぁ。でも見てて楽しいぞ」
「ふーんだ!本当にそうならこの惑星の裏側見せてよ、隠してんでしょっ! ルシ様をさあー!」
は? ルシって言ったか?ルシって、あのルシ? 俺の大好きなルシダール? リンカの推しってルシだったもんな、え? 俺、よくわかんねぇ……だってルシダールは死んだんだよ、それなのに追っかけてる? 魂を??
「はぁ、死んだから諦めるとかナイナイ。アリアンだってずーーっと忘れられずにいるのにさ、いい? 元々リンカが体がなくて魂みたいな状態でいるんだよ? ちょっと考えたら分かるでしょっ」
いや、わかんねぇけど……。でも分かったことはある。やっぱりリンカはすげーってことだ!
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