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54 難しいことはわかんねぇけど(アリアン
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「すげーでかかったな、ルシ!」
「ああ、竜の力というものは恐ろしくもある。制御にリンカの大半を私の犠牲にしてしまった」
「犠牲じゃねぇだろ、リンカはぜってぇ好きでやってる! あいつのことだ変なこといってんだろ? ルシ様の中はあったかいナリー、とか」
「……そっくりだ」
人間の姿に戻ったルシは前のルシのまんまで俺はちょっと安心した。そのリンカといえばかなり変形してグチャっと潰れた青竜と青の神官達に文句を言いつつ、ルシの素晴らしさについて語っている。聞いている奴らもここでリンカのヘソを曲げたらマジで青の大陸をぶっ壊されると確信したんだろう。全員真剣にリンカの分からん御高説をありがたく聞いている。
リンカに任せておけば何とかなる奴だ、これ。
「へへ、迎えにきてくれてありがとうな、ルシ。俺、ルシに嫌われてんのかと思ってた」
いっつも怒られてたからなぁ~。まあ、俺が悪い所はいっぱいあった。最初は何が悪いか分かんなかったけど、その度にリンカがしっかり教えてくれたから理解できた。人間はすぐ死ぬとか、腕がもげたらもう治らないとか。だから俺はやり過ぎでいっつもルシに怒られてたんだって。
人間と竜の考え方の違い。俺は考えたこともなかったけれど、一つ一つリンカに説明してもらいつつ、ルシの屋敷の人間達を見ながら話をして……クッソ弱くなった俺にも優しく親切にしてくれて……ちょっとづつ分かってきたんだ、やっぱり俺が悪かったかなーって。
「嫌ってなどいない……好かない者を側に置いておこうと思うほど、私は寛大ではない」
「そうなの? へへ、嬉しいな」
そっかー俺、ルシに嫌われてなかったー! リンカはやっぱり嘘つかねーな!
「ただ、少しきつい態度であったと思う……すまなかった、アリアン」
「ん?」
俺、ルシに謝られることなんかあったっけ?? 俺、全然わかんねぇ。
「なんかあったっけ? 俺、わかんねぇ。わかんねぇことがあったら聞けってリンカにいわれてんだ。リンカ、今忙しそうだ。ルシ、教えてくれ」
抱っこされたまま、ルシの顔を覗き込むと、なんか少し困った顔をしていた。あれ? 聞いちゃ駄目なことだったか??
「私はお前を信頼していなかった。嫌々従っていると思っていた」
「うん? 最初はそうだったけど、それがどうかしたのか??」
「リンカに言われたのだが、竜特有のそれを私は理解しがたかった……強い者には絶対に従うというそれを理解し、納得したくなかったのだ。人間として王族の横暴と対峙してきた私にはどうしても受け入れられぬことだった」
「ごめん、よくわかんねぇ……」
あっ! ちょっと呆れた顔をしたな!? 仕方がないだろう、わかんねえんだもん! でもその後笑ったから許してくれたみたいだ。
「竜の理と人間の理の違いを受け入れられなかった、ということだ」
「あー……俺もその辺よくわかんなくて怒られてたなあ~」
俺は分かんなくて怒られてたけど、ルシは分かってても分かりたくなくて突っぱねてたってことかな? そりゃそうだよなあ、俺より頭いいもんな~。
「だからお前がリンカに命令され、私にあれほどまでに尽くすのが受け入れられなかった。我が身可愛さにお前に理不尽を強いたのに、後になって受け入れられぬという自分に苛立った」
「んー……?」
よくわかんねえけどルシの話には続きがあるみたいなので大人しく聞こう。
「それなのにお前の有能な力を使い続ける……汚いな」
「そうか? 使える物は使えば良いじゃねーか。俺は別に気にしちゃいねーし」
あたまがいいと難しいことを考えるんだな、大変だ。俺の答えがあっさりし過ぎていたのか、ルシはちょっとびっくりしてから笑った。
「お前は可愛いな、アリアン」
「ひゃあ?!」
びっくりした! びっくりした! なんでそうなる?! そ、それに俺は可愛いんじゃなくて、かっこいいんだが?!
でも、まあ……ルシにそういわれるのは、悪い気はしなかった。
「ああ、竜の力というものは恐ろしくもある。制御にリンカの大半を私の犠牲にしてしまった」
「犠牲じゃねぇだろ、リンカはぜってぇ好きでやってる! あいつのことだ変なこといってんだろ? ルシ様の中はあったかいナリー、とか」
「……そっくりだ」
人間の姿に戻ったルシは前のルシのまんまで俺はちょっと安心した。そのリンカといえばかなり変形してグチャっと潰れた青竜と青の神官達に文句を言いつつ、ルシの素晴らしさについて語っている。聞いている奴らもここでリンカのヘソを曲げたらマジで青の大陸をぶっ壊されると確信したんだろう。全員真剣にリンカの分からん御高説をありがたく聞いている。
リンカに任せておけば何とかなる奴だ、これ。
「へへ、迎えにきてくれてありがとうな、ルシ。俺、ルシに嫌われてんのかと思ってた」
いっつも怒られてたからなぁ~。まあ、俺が悪い所はいっぱいあった。最初は何が悪いか分かんなかったけど、その度にリンカがしっかり教えてくれたから理解できた。人間はすぐ死ぬとか、腕がもげたらもう治らないとか。だから俺はやり過ぎでいっつもルシに怒られてたんだって。
人間と竜の考え方の違い。俺は考えたこともなかったけれど、一つ一つリンカに説明してもらいつつ、ルシの屋敷の人間達を見ながら話をして……クッソ弱くなった俺にも優しく親切にしてくれて……ちょっとづつ分かってきたんだ、やっぱり俺が悪かったかなーって。
「嫌ってなどいない……好かない者を側に置いておこうと思うほど、私は寛大ではない」
「そうなの? へへ、嬉しいな」
そっかー俺、ルシに嫌われてなかったー! リンカはやっぱり嘘つかねーな!
「ただ、少しきつい態度であったと思う……すまなかった、アリアン」
「ん?」
俺、ルシに謝られることなんかあったっけ?? 俺、全然わかんねぇ。
「なんかあったっけ? 俺、わかんねぇ。わかんねぇことがあったら聞けってリンカにいわれてんだ。リンカ、今忙しそうだ。ルシ、教えてくれ」
抱っこされたまま、ルシの顔を覗き込むと、なんか少し困った顔をしていた。あれ? 聞いちゃ駄目なことだったか??
「私はお前を信頼していなかった。嫌々従っていると思っていた」
「うん? 最初はそうだったけど、それがどうかしたのか??」
「リンカに言われたのだが、竜特有のそれを私は理解しがたかった……強い者には絶対に従うというそれを理解し、納得したくなかったのだ。人間として王族の横暴と対峙してきた私にはどうしても受け入れられぬことだった」
「ごめん、よくわかんねぇ……」
あっ! ちょっと呆れた顔をしたな!? 仕方がないだろう、わかんねえんだもん! でもその後笑ったから許してくれたみたいだ。
「竜の理と人間の理の違いを受け入れられなかった、ということだ」
「あー……俺もその辺よくわかんなくて怒られてたなあ~」
俺は分かんなくて怒られてたけど、ルシは分かってても分かりたくなくて突っぱねてたってことかな? そりゃそうだよなあ、俺より頭いいもんな~。
「だからお前がリンカに命令され、私にあれほどまでに尽くすのが受け入れられなかった。我が身可愛さにお前に理不尽を強いたのに、後になって受け入れられぬという自分に苛立った」
「んー……?」
よくわかんねえけどルシの話には続きがあるみたいなので大人しく聞こう。
「それなのにお前の有能な力を使い続ける……汚いな」
「そうか? 使える物は使えば良いじゃねーか。俺は別に気にしちゃいねーし」
あたまがいいと難しいことを考えるんだな、大変だ。俺の答えがあっさりし過ぎていたのか、ルシはちょっとびっくりしてから笑った。
「お前は可愛いな、アリアン」
「ひゃあ?!」
びっくりした! びっくりした! なんでそうなる?! そ、それに俺は可愛いんじゃなくて、かっこいいんだが?!
でも、まあ……ルシにそういわれるのは、悪い気はしなかった。
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