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41 すべて任せることができる

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「大変に申し訳ないことを!」
「……リンカか」
「ひゃい!」

 完全にアリアンが気絶し、私も寝落ちした次の日、床に蹲って平伏しているアリアン……いや、アリアンの姿だが中身はリンカらしい。

「本当に! 本当に! うちのおバカが!」
「リンカ、アリアンは大丈夫なのか?」

 よほど手酷く扱った記憶がある。普通の人間なら何日も寝込むかもしれない。

「あ、疲れたって寝てますよ。何にも心配要らないです!」
「そうか……」

 にこりと笑ったリンカの顔は優しすぎて、きっと何かあるんだろうと察しがついた。もしかしたら精神的にアリアンは本当に大丈夫なのかもしれない。リンカが扱っている肉体の方に何かあるのかもしれない。
 だがリンカが心配要らないという以上、疑うのはよくないだろう。

「リンカ、何故その姿なのだ」
「ぎくぅ!」

 焦った時の擬音をそのまま口にする人間を初めてみたかもしれない。
 分かりやすく目を泳がせるリンカ。リンカは私の前に現れる時はアリアンが少年になったような姿で現れるが、今日は何故青年のままなのか少し不思議に思ったのだ。

「あのその! えーと!」

 リンカは暫く手を振り回し何か上手い言い訳を探していたようだが、諦めて両手を上げた。

「あのぉ、問題ないとは思ったんですがぁ……体のサイズを縮めたり、伸ばしたりしてぇ……その、影響があったら嫌だなぁって……」
「リンカ……?」
「えーと、そのぉ……ぜ、絶対迷惑はかけませんので! その辺りはリンカを信じて貰えると嬉しいです!」
「リンカ、もしかして」
「だ、大丈夫ですっ! なんでもないですっ!」

 そう言いながら優しく腹を撫でるから、大抵の者は気づくのではないだろうか。

「リンカ」
「あ、あはは……緑竜とかいう人の薬は随分と効き目がいいみたいで……」
のか」
「ご、ご迷惑はかけませんのでっ! どこか目立たない所でっリンカがちゃんと育てますからっ! どうか見逃してやってくださいーっ!」

 青い顔でオロオロしているがリンカは勘違いをしているようだ。

「リンカ、私の子であろう?」
「申し訳ありませんーーっ」
「怒っているわけではない。謝る必要はない」
「いえ! 馬鹿アリアンが無理矢理したことですから! 本当に申し訳ないですっ。でもこの子にはなんの罪もないです!」
「それも分かっている」
「私が変なことを言ったせいで本当にご迷惑をー!」
「リンカ、私はその子供をデフィタ家の跡取りにしたい」
「ふわっ⁉︎  やめて下さいよ、あのアリアンの子供ですよ!」

 確かにリンカのいうことはもっともだ。しかし何の問題もないだろう?

「リンカがいるんだ。賢い子に育つ」
「ふぁあああ⁉︎  圧倒的ご褒美ぃーー!」
「倒れないでくれ、アリアンが出てきたら困る」
「あ、大丈夫です! アリアンは全身が痛くて動けないって呻いてますから! 実際今もあちこち痛くて……」
「……リンカが痛みを引き受けているのか。すまない、あんなことをするつもりでは」
「ヒェッ! 口が滑りましたぁーー!」

 青い顔を更に青くして口を一生懸命に押さえているリンカ。本当にリンカには頭が上がらない。





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