その壊れた恋愛小説の裏で竜は推し活に巻き込まれ愛を乞う

鏑木 うりこ

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22 面倒な仕事も頑張れる

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「ぜーぜー……毒の沼地を焼き払えとはな」
「深い所まで焼き尽くしたか?」
「真っ黒こげにしてやったぞ」

 アリアンは人型のまま、口から炎を吐いて沼地を焼き尽くした。恐怖を感じる程の火力だったが、人を寄せ付けぬ毒の沼地が蒸発して何かに使えるようになった。

「ならまた後でチューしてくれ!」
「……分かった」

 分かったが、アリアンに学習能力があるかないかは分からなかった。多分、ない気がする。

「疲れるのか?」
「疲れるっつーか、炎吐いてる間は空気吸えないからなぁ」
「……その程度なのか」
「うん、そだぞ。ルシだって竜語魔法で炎くらい吐けるだろ」

 私もできるのか?!


〈ルシさまぁー!むちゅー♡〉
「う、う、嘘だろぉーー!」

 やっぱりリンカはすぐ慣れて、唇を尖らせて待つようになった。

「だから、良いのかと聞いたんだ」
「こ、こうなったら……し、舌を!」
「勿論嫌だがっ!!」
「じゃ、じゃあ! おっぱい揉ませろ!」
「意味がわからんっ!!」

 意味もなく何度も繰り返すから、慣れるんだと教えてもどうしてもリンカの優位に立ちたいアリアンは何度も繰り返している訳だ。

「駄目だ……もうルシのおっぱい触ってもリンカはニヤニヤするだけだ!」
「……いい加減にしろ……」

 訂正する、アリアンは相当頭が悪い!

「こ、これはもう……ルシ、俺のアレを咥えて……」
〈ルシ様にそんな粗末な汚い物を見せるなーっ!この馬鹿竜っ〉
「ぐえっ! く、くるしぃっーーっ」

 一人で床で転げ回っているアリアンのことは無視したい。

「じゃ、じゃあ……俺が咥えるというのはどうだろう?」
〈えっ?! やだぁ……そ、そんなそんなことしたら見えちゃうじゃないっ! え、そ、そんなエッチ過ぎるぅ! キャーッ!〉
「コレだ!ルシ、ちょっとアレ出して……」
「出すわけがないだろう! この大馬鹿者ッ‼︎」

 アリアンも大馬鹿者だが、リンカも相当なのではなかろうか?国の腐敗貴族はどんどん減っているが、私の頭痛の種は増えてしまった。

「……デフィタ公爵……」
「お騒がせしております、アスガン宰相」
「う、うむ……な、なんというか……すまないな」
「いえ。差し引きしてもアリアンとリンカには助けられておりますから……」
「じゃあやっぱり、アレ出して!」
「調子に乗るな、アリアンッ!」
「ぎゃん!」

 私の……私など、この国の命運に比べたら安いもの、なのだ……。

「仕方がない……今度は風呂でも覗こう」
「アリアンッ‼︎」
「キャウンッ‼︎」

 頼むリンカ、この大馬鹿者を止めてくれ!

〈ルシ様の全裸……うひょ、ウヒョヒョ……滾りますなぁ〉

 孤立無援とは辛いものだ。




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