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14 私が主人公なのよ(エリーゼ
しおりを挟む私はエリーゼ。選ばれし聖女エリーゼ。
「きゃああ!」
普通のOLだった棚橋エリが歩きスマホをしていたら落ちた穴の先はこの異世界だった。
「うそ、ここ「エリーゼの為に」じゃない?!」
愛読していた小説の世界だって知って凄く嬉しかった!しかも私は主人公のエリーゼ。王太子に溺愛され、騎士団長に傅かれ、宰相、神官長……そしてこの大陸の守護竜にも愛される無敵の存在なの!
「え? 巫女が、私じゃ、ない……?」
「は、はい……」
何もかも順調に進んでいたのに、異変があったのは巫女選定だった。ここでエリーゼが黒竜の巫女に選ばれ、もうかなり好感度が高い王太子や騎士団長に涙ながらに別れを告げるところなのに!
「み、巫女は一体どなたが?」
私より純粋無垢な存在がこの世界にいるはすないのに、なんで?一体誰が巫女に選ばれたの??
「そ、それが……ルシダール・デフィタ公爵様で」
「はぁ?!ルシ様がぁ!? なんでよ!」
「ひいっ!」
つい報告に来たシスターに大声をあげてしまった。いけない、いけない! 聖女はそんなはしたないことしちゃ駄目だ。
「こ、こほん。しかし、公爵様は、その……男性ですよね?」
「ひ、あ、はい……竜の巫女は代々女性から選ばれてきておりましたから、異例中の異例となりますが、何度見てもデフィタ公爵様のお姿が浮かぶそうで」
「そ、そうなの……分かったわ。ありがとう。このことは内緒でね?」
「え、ええ! 勿論ですわ」
巫女が誰なのか事前に漏らしてはいけない規則だ。でも私はさっきのシスターに頼み込んで教えて貰った。この世界の人は全員私に優しいから、頼めば何でもいうことを聞いてくれる。流石主人公は違うわ!
「しかし、困ったわね」
私が巫女に選ばれて黒竜に会い、黒竜から「おもしれー女」認定されなきゃ色々不都合があるのよね。私達が自分で乗り越えられないような大きな災厄に見舞われた時、助けてくれるのが黒竜アリアンなんだから。
どうにかしてアリアンと接点を持たなきゃいけないのに!
「それになんでもうルシ様が……」
私だってまだルシ様との絡みがないのに。ルシダール・デフィタ公爵はストーリーが進んで今のおじさん宰相が暗殺されてから登場する攻略対象者なのに。おじさん宰相の後をついで宰相に就任するんだけど、そのちょっと冷たい見た目も相まっていろんな人から反発されて、疲れちゃうの。
それを心配した心優しい聖女の私が助けてあげて仲が深まって行くのに!
「うーん、おかしいなぁ」
何か私の知らない所で変なことが起こってる気がする。嫌だな、この世界の主人公は私なのに。私のための世界なのに!
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