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33 徹底的にね!
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流石に貴族を害そうとした平民のドロシーは厳しく罰せられた。
「我が家の婚約者に手を上げて、息子に怪我を負わせようとした」
私の方で処理しようと思ったら、ルーアン家の方々が連れ去ってしまったので、その後どうなったかは分からない。
「他も任せておきなさい。アンゼリカはセルドアと街道事業を煮詰めておいて。やっとアンゼリカを家で迎え入れることが出来て嬉しいわ!」
と、セルドアの母親のセシリア様に言われてしまった。アントワーヌお母様がご存命だった頃からセシリア様にはたくさんお世話になったので、口答えなどする気も起きなかった。
あとルーアン家の1番の権力者はセシリア様だ、逆らってはいけない人だ。
ドロシーは小説でも罰を受けたと簡単に書かれていて、どういう処分か私も分からなかった。
「アンゼリカがルーアン家に行ってしまって、マーク君やダリア嬢がザザーラン邸に住むとなると、我が家で行っていた投資クラブの会合はなしになってしまうじゃないか。せっかく美味しい儲け話には私も首を突っ込もうと思っていたのに」
と、ラグージの伯父様は残念そうにしていた。
元お父様とリルファはルーアン領の方で働いているようだが、「任せておきなさい」と言われてしまってそちらも不明だった。
「マルセル王子、私と結婚いたしましょう。なあに名前だけ書ければ問題ないですよ」
隣国との大きな街道が開通した記念式典にやってきた王女が、ぼんやり宙をみて暮らしていたマルセル様を引き取っていった。
「私と結婚ですか?アンゼリカはなんて言うかなあ」
「とてもお似合いで宜しいと思います」
「そうかあ、アンゼリカがそう言うならそうしようかなぁ。喜んでお引き受け致します」
ふにゃりと笑って男前の王女に懐いた子リスの様について行ってしまう。きっと元の小説のようにリルファと喧嘩をしながら、小さな屋敷に押し込められて暮らすより良かったのではないだろうか。
新ザザーラン公爵マークも社交界での評判も悪くないし、ダリアも上手に婚約者として立ち回っている。二人の実家も降って湧いた公爵位を手に入れた二人を認めてくれたので憂いは無くなっている。
「アンゼリカ、次の事業なんだけどさ」
「私の貰った宝石鉱山の再開発よ、絶対当たるから」
「凄い自信だな?乗った!」
「ええ、マーク達も巻き込みましょ」
「そうだな、投資クラブはまだまだ健在だからな」
小説はこの辺りで終わっている。でも私の人生はこの先続いて行くし、なんだかんだで投資は楽しい。
「これからも宜しくな!アンゼリカ」
「勿論よ、セルドア」
大丈夫、私は私らしく精一杯生きて行くわ。徹底的にね!
終わり
「我が家の婚約者に手を上げて、息子に怪我を負わせようとした」
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ふにゃりと笑って男前の王女に懐いた子リスの様について行ってしまう。きっと元の小説のようにリルファと喧嘩をしながら、小さな屋敷に押し込められて暮らすより良かったのではないだろうか。
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「これからも宜しくな!アンゼリカ」
「勿論よ、セルドア」
大丈夫、私は私らしく精一杯生きて行くわ。徹底的にね!
終わり
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安心してざまぁを楽しめましたありがとうございますm(_ _)m
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ありがとうございます(*‘ω‘ *)
強ヒロイン話また書きたいですね~!でも次はちょっと弱ヒロインかな……?色々書く気が満々です!
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