3 / 75
3 フリック速くね? 慣れだ、慣れ
しおりを挟む
「誠子、誠子。夕飯食べないと」
「んあ?」
ふわふわがほっぺたにくっ付いていた。
「あー大福。起こしてくれてありがとうな。飯、飯。大福も腹減った?」
「うむ」
私は買ってきた弁当を食べ、大福も餌ときゅうりを食べた。
「大福は声が良いな。流石コールセンター」
「ん?そうか?」
「うん、聞いてて心地良い。さっきはそれで寝てしまったよ」
「はは、ありがとう。なあ誠子。物は相談なんだが、しばらくここに置いてくれないか?金が振り込まれたら出て行くから」
私はびっくりした。
「おいおい、まさか今日買ったベッドを一回使っただけで捨てさせるつもりだったのか?!ひまわりの種など、徳用のいっぱい入ってるの買ったんだぞ?!食い切るまでいて貰わにゃ困る」
大福は小さい目を多分いっぱいに見開いて
「ありがとう誠子。お前の少しズレてる感性、嬉しいよ」
「ディスってんの?マグカップに詰めて身動き取れなくするよ?」
「すまんかった」
こうして私と大福の同居が始まった。
「あ、大福、ライン交換しよう。QR出して」
「ああ、これだ」
ラインも交換した。そして少し不安になった。
「なあ、大福。お前文字入力できるのか?」
大福の小さな体で、ラインを打つときにスマホの上を行ったり来たり、手を伸ばしたり縮めたりものすごい重労働を強いてしまうんじゃないか?
「ん?普通程度にはできるぞ。ホラ、ライン送った」
ピロン、私のスマホが鳴り、大福からのメッセージが届いた「よろしくな」そしてスタンプもついている。ハムスターの可愛いヤツだ。
「直接電話してくるのもイヤな奴もいるらしくてな。ラインによる愚痴聞きもやってるんだ」
す、すっすっ。滑らかに操作する大福。
「フリックはやくね?」
「慣れだ、慣れ。使ってりゃ早くなるだろう?」
スマホの上に乗って操作する大福は、可愛いと思った。
「なんていうかペットの写真を撮る気持ちわかる気がする」
「ん?私の写真でも撮るのか?良いぞ、ハムスターらしいポーズ取ってやるぞ?どうだ?」
大福は良い声で答えながら両手でひまわりの種を持った。
「あはは!ハムスターっぽいな、大福。よし、一枚撮ってやろう」
「かっこよく頼むぞ」
パシャ、と撮影の合成音がして、見事に真っ白な大福のハムスター写真が私のスマホに記録された。
「はは、何気にカメラ使ったの初めてかもな」
「そうなのか?恋人の写真とか撮らないのか?誠子」
んなもんいねーよ、大福。
「休みの日、昼まで寝ていて起きたらハムスターをポケットに詰めてホームセンターに行って、帰りにコンビニで弁当買って来る女に彼氏がいる訳ないだろ?大福よ」
「すまんかった」
分かれば良いんだぜ。
「大福、カラカラ車、乗らないのか」
「疲れるだろ」
今度は私が謝る番だった。
「そうだな、すまんかった」
その後、大福と一緒にテレビを見て寝た。大福も私と一緒の時はあまり仕事をしていないようだ。
「緊急の時は対応させてもらうけどな」
「仕事ってそういうのあるよなぁ」
大福との生活は心地良かった。
「んあ?」
ふわふわがほっぺたにくっ付いていた。
「あー大福。起こしてくれてありがとうな。飯、飯。大福も腹減った?」
「うむ」
私は買ってきた弁当を食べ、大福も餌ときゅうりを食べた。
「大福は声が良いな。流石コールセンター」
「ん?そうか?」
「うん、聞いてて心地良い。さっきはそれで寝てしまったよ」
「はは、ありがとう。なあ誠子。物は相談なんだが、しばらくここに置いてくれないか?金が振り込まれたら出て行くから」
私はびっくりした。
「おいおい、まさか今日買ったベッドを一回使っただけで捨てさせるつもりだったのか?!ひまわりの種など、徳用のいっぱい入ってるの買ったんだぞ?!食い切るまでいて貰わにゃ困る」
大福は小さい目を多分いっぱいに見開いて
「ありがとう誠子。お前の少しズレてる感性、嬉しいよ」
「ディスってんの?マグカップに詰めて身動き取れなくするよ?」
「すまんかった」
こうして私と大福の同居が始まった。
「あ、大福、ライン交換しよう。QR出して」
「ああ、これだ」
ラインも交換した。そして少し不安になった。
「なあ、大福。お前文字入力できるのか?」
大福の小さな体で、ラインを打つときにスマホの上を行ったり来たり、手を伸ばしたり縮めたりものすごい重労働を強いてしまうんじゃないか?
「ん?普通程度にはできるぞ。ホラ、ライン送った」
ピロン、私のスマホが鳴り、大福からのメッセージが届いた「よろしくな」そしてスタンプもついている。ハムスターの可愛いヤツだ。
「直接電話してくるのもイヤな奴もいるらしくてな。ラインによる愚痴聞きもやってるんだ」
す、すっすっ。滑らかに操作する大福。
「フリックはやくね?」
「慣れだ、慣れ。使ってりゃ早くなるだろう?」
スマホの上に乗って操作する大福は、可愛いと思った。
「なんていうかペットの写真を撮る気持ちわかる気がする」
「ん?私の写真でも撮るのか?良いぞ、ハムスターらしいポーズ取ってやるぞ?どうだ?」
大福は良い声で答えながら両手でひまわりの種を持った。
「あはは!ハムスターっぽいな、大福。よし、一枚撮ってやろう」
「かっこよく頼むぞ」
パシャ、と撮影の合成音がして、見事に真っ白な大福のハムスター写真が私のスマホに記録された。
「はは、何気にカメラ使ったの初めてかもな」
「そうなのか?恋人の写真とか撮らないのか?誠子」
んなもんいねーよ、大福。
「休みの日、昼まで寝ていて起きたらハムスターをポケットに詰めてホームセンターに行って、帰りにコンビニで弁当買って来る女に彼氏がいる訳ないだろ?大福よ」
「すまんかった」
分かれば良いんだぜ。
「大福、カラカラ車、乗らないのか」
「疲れるだろ」
今度は私が謝る番だった。
「そうだな、すまんかった」
その後、大福と一緒にテレビを見て寝た。大福も私と一緒の時はあまり仕事をしていないようだ。
「緊急の時は対応させてもらうけどな」
「仕事ってそういうのあるよなぁ」
大福との生活は心地良かった。
1
お気に入りに追加
109
あなたにおすすめの小説
好きになるには理由があります ~支社長室に神が舞い降りました~
菱沼あゆ
キャラ文芸
ある朝、クルーザーの中で目覚めた一宮深月(いちみや みつき)は、隣にイケメンだが、ちょっと苦手な支社長、飛鳥馬陽太(あすま ようた)が寝ていることに驚愕する。
大事な神事を控えていた巫女さん兼業OL 深月は思わず叫んでいた。
「神の怒りを買ってしまいます~っ」
みんなに深月の相手と認めてもらうため、神事で舞を舞うことになる陽太だったが――。
お神楽×オフィスラブ。
『遺産相続人』〜『猫たちの時間』7〜
segakiyui
キャラ文芸
俺は滝志郎。人に言わせれば『厄介事吸引器』。たまたま助けた爺さんは大富豪、遺産相続人として滝を指名する。出かけた滝を待っていたのは幽霊、音量、魑魅魍魎。舞うのは命、散るのはくれない、引き裂かれて行く人の絆。ったく人間てのは化け物よりタチが悪い。愛が絡めばなおのこと。おい、周一郎、早いとこ逃げ出そうぜ! 山村を舞台に展開する『猫たちの時間』シリーズ7。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
狐の嫁入りのため婚約者のところに行ったら、クラスの女子同級生だったんだけど!?
ポーチュラカ
キャラ文芸
平安時代のある山奥。一匹の狐が人間と愛し合い、子孫を残した。だがその頃は、狐は人を騙す疫病神と言われていたため、ある古い儀式が行われ続けていました…
大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
菱沼あゆ
キャラ文芸
華族の三条家の跡取り息子、三条行正と見合い結婚することになった咲子。
だが、軍人の行正は、整いすぎた美形な上に、あまりしゃべらない。
蝋人形みたいだ……と見合いの席で怯える咲子だったが。
実は、咲子には、人の心を読めるチカラがあって――。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
自称進学校に入学したけど実はヤバかった件
けんしゅう
キャラ文芸
自称進学校。
大学合格率100パーセント、
就職率100パーセントの高校、秀英高校に受験をした主人公、鈴木 涼太。
合格発表の日に驚いたことがあったが、無事高校に受かることができ、家族と共に喜んでいた。
しかし、入学して様々な異変に気付き始めた涼太だったが、もう手遅れだった。
100パーセントの魅力に惹かれて入ってきました生徒たちの運命はどうなってしまうのか…!!!
つくもむすめは公務員-法律違反は見逃して♡-
halsan
キャラ文芸
超限界集落の村役場に一人務める木野虚(キノコ)玄墨(ゲンボク)は、ある夏の日に、宇宙から飛来した地球外生命体を股間に受けてしまった。
その結果、彼は地球外生命体が惑星を支配するための「胞子力エネルギー」を三つ目の「きんたま」として宿してしまう。
その能力は「無から有」
最初に現れたのは、ゲンボク愛用のお人形さんから生まれた「アリス」
さあ限界集落から発信だ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる