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2 神様なんだ なるほど理解した
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私はぐっすりと眠り、目を覚ますと昼だった。休みで良かった。ボーッと部屋を見ると見慣れない物がある。なんだ?あの紙とトイレットペーパーの束は?
「あ」
昨日のアメゾンの箱の中で大福が丸くなって寝ていた。そうだった昨日の夜から、ハムスターと同居を始めたんだった。
ハムスターは夜行性だったな。昼間は寝ているかもしれんが、私はおきたいし腹も減った。少しうるさくても我慢して貰おう。
「大福?寝てるか?メシはどうする?」
「起きたぞ、誠子。おはよう。何か私が食べられそうなものはあるか?」
おはよう、大福。残念ながらあんこの買い置きはないんだ。がちゃりと期待値の低い冷蔵庫を開けると酎ハイとバターと枯れたチーズが入っていた。
「どうだ?大福。枯れてるが食えるか?」
大福はまた小さな手で受け取った。
「ふむ、うん?意外と、うむ、美味い」
「ははは。そりゃ良かった」
私はカップ麺を食べてから、大福をポケットに入れて買い物に出かけた。
「ケースは要らないだろうが、踏みそうなんだ。だから寝る場所とかそういうの買おう。あと種とか」
「済まないな、誠子」
本当に申し訳なさそうに言う大福の声。声だけなら、誰もハムスターとは気づくまい。
「私が潰れ大福を見たくないだけだよ」
「体を鍛えて潰れない努力をするよ」
「素晴らしいな」
砂とベッドと草やひまわりの種などを買い込む。
「本人の好みを聞きながら買えるのはなかなか良いな。せっかく買ったのに使って貰えないって言う悲劇が防げる」
「……そうだな」
食料品も買い込みアパートに帰る。家に入る時隣の人と出会ったので頭を下げてから鍵を閉めた。
部屋を片付けて大福のスペースを作る。水はあのいつでも飲めるやつでいいそうだ。気を遣ってミネラルウォーターを入れてやる。
「良し。とりあえず、良し」
寒くなったら入る布団。ヒーターもあるから生命は維持できるだろう。
「なあ、誠子。私が何者か聞かないのか?」
「聞いちゃい駄目なやつかと思ってた」
私は掃除をしながら、大福と話す。
「喋るハムスターだぞ?」
「極めて大福に似ているな」
「神様なんだ」
「なるほど、理解した」
「……仕事していいか?」
「良いぞ。流石神様、仕事すんのな」
「するさ」
大福はにょるん、と言う効果音がつきそうな感じで自分よりデカいスマホを取り出した。
そしてスマホの上に乗る。
「私の仕事は他の神様の愚痴を聞く事なんだ」
「おう、そうか静かにしてるから、たくさん仕事をしてくれ」
掃除を終え、私は私のスマホを持ちごろりと横になる。消音モードにしておく。
大福は自分のスマホの上に乗った。ほどなくして、スマホがブルブル震え、上の大福もブルブル震えている。
「あ、もしもし。うん、私です。はぁなるほど。うん?爆発、へぇ……」
大福は相槌を打ちながら仕事を始めた。なんだろう、クレーム処理センターみたいなものなのかな。
私は大福の声を聞きながらウトウトしていた。可愛い手のひらサイズの大福の声はいい声で、耳にとても心地よいんだ。
「あ」
昨日のアメゾンの箱の中で大福が丸くなって寝ていた。そうだった昨日の夜から、ハムスターと同居を始めたんだった。
ハムスターは夜行性だったな。昼間は寝ているかもしれんが、私はおきたいし腹も減った。少しうるさくても我慢して貰おう。
「大福?寝てるか?メシはどうする?」
「起きたぞ、誠子。おはよう。何か私が食べられそうなものはあるか?」
おはよう、大福。残念ながらあんこの買い置きはないんだ。がちゃりと期待値の低い冷蔵庫を開けると酎ハイとバターと枯れたチーズが入っていた。
「どうだ?大福。枯れてるが食えるか?」
大福はまた小さな手で受け取った。
「ふむ、うん?意外と、うむ、美味い」
「ははは。そりゃ良かった」
私はカップ麺を食べてから、大福をポケットに入れて買い物に出かけた。
「ケースは要らないだろうが、踏みそうなんだ。だから寝る場所とかそういうの買おう。あと種とか」
「済まないな、誠子」
本当に申し訳なさそうに言う大福の声。声だけなら、誰もハムスターとは気づくまい。
「私が潰れ大福を見たくないだけだよ」
「体を鍛えて潰れない努力をするよ」
「素晴らしいな」
砂とベッドと草やひまわりの種などを買い込む。
「本人の好みを聞きながら買えるのはなかなか良いな。せっかく買ったのに使って貰えないって言う悲劇が防げる」
「……そうだな」
食料品も買い込みアパートに帰る。家に入る時隣の人と出会ったので頭を下げてから鍵を閉めた。
部屋を片付けて大福のスペースを作る。水はあのいつでも飲めるやつでいいそうだ。気を遣ってミネラルウォーターを入れてやる。
「良し。とりあえず、良し」
寒くなったら入る布団。ヒーターもあるから生命は維持できるだろう。
「なあ、誠子。私が何者か聞かないのか?」
「聞いちゃい駄目なやつかと思ってた」
私は掃除をしながら、大福と話す。
「喋るハムスターだぞ?」
「極めて大福に似ているな」
「神様なんだ」
「なるほど、理解した」
「……仕事していいか?」
「良いぞ。流石神様、仕事すんのな」
「するさ」
大福はにょるん、と言う効果音がつきそうな感じで自分よりデカいスマホを取り出した。
そしてスマホの上に乗る。
「私の仕事は他の神様の愚痴を聞く事なんだ」
「おう、そうか静かにしてるから、たくさん仕事をしてくれ」
掃除を終え、私は私のスマホを持ちごろりと横になる。消音モードにしておく。
大福は自分のスマホの上に乗った。ほどなくして、スマホがブルブル震え、上の大福もブルブル震えている。
「あ、もしもし。うん、私です。はぁなるほど。うん?爆発、へぇ……」
大福は相槌を打ちながら仕事を始めた。なんだろう、クレーム処理センターみたいなものなのかな。
私は大福の声を聞きながらウトウトしていた。可愛い手のひらサイズの大福の声はいい声で、耳にとても心地よいんだ。
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