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外伝
8 ソランジェ・フィニッシュ!
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「はぁ……」
城の中に作られた、特別室でため息をつきながら、トントンと書類を揃えた。
この部屋に今は1人だ。体を冷やさないように特別暖かく、疲れたらすぐ休めるように作られたソランジェ発案の部屋。
つい先日まで出入りしていたティナは2日前に可愛い男女の赤ちゃんが無事産まれた。
まだ名前はつけていないようだが、2人ともきれいな緑の翡翠眼だった。
「宝物が増えたなぁー!」
ソレルが馬鹿みたいにとろけた笑顔でデレデレしていた。
ルーティアは昨日男女の赤ちゃんを産んだ。これも可愛い。お兄ちゃんの方はロウエルそっくりの糸目だった。小型版と言って良いくらいそっくりで少し引いた。
「リィンもそろそろね…ふふふ」
そう言いながら、メスを研ぐソランジェがちょっと怖い。何かあったらさっくりいくのだろう…。戦場で斬られるより痛みはないのだろうけれども、恐怖感はある。
「ソランジェめ…覚えてろよ……」
何度も呟いた呪詛の言葉が今日ももれる。ちょうどやってきたウェインに出来上がった書類を渡し、またため息をつく。
「ソランジェめ…覚えてろよ……」
すっかり忘れていたのに、また思い出させやがって。くっ…低く唸る。
「ソランジェめ…」
「あれ?リィン呼んだ?」
「呼んでないっ!」
ひょこっと顔を出したソランジェを追い払う。あーーーもう!
「…覚えてろよ……」
「ねぇ、リィンってば」
なんだよ、もう!耐えてるのに!
「産みに行こうぜ!」
ニヤリ、マッドドクター・ソランジェが悪魔の笑みを浮かべる。今日からデビルマッドドクターになればいい!
私はソランジェに伴われ、すっかり支度の出来た屋敷に帰る。
「ソランジェめーーー!覚えてろよぉーーー!」
見事に可愛い男の子が3人増えた。
アルディス、コーラル、コーリルと名前をつけた3人は父親が分かりやすい。
アルディスは金の髪に青い目でアルトそっくりの色、コーラルとコーリルはコーディと同じ茶の髪と、私と同じ青緑の目のそっくりな双子だ。
「これは…可愛いな……」
「3つ子だけど、双子だね!」
「うーん、やっぱり最初の相手の子供はできる確率が高いのかなぁ?それとも根性かなぁ?」
「……」
もうなんでもいい、疲れた。屋敷の使用人たちがこの後押しかけ、3人を連れ去った。お風呂にするだの乳母を頼むだのミルクがどうのだのワイワイしながら楽しそうだ。
「お疲れさま、リィン」
1人、コーディは残っていた。
「はは、本当にね….」
3年前、こんな苦しいのは2度とごめんだ!と思ったのに。しかしまた、終わってしまえば忘れてゆく。
そして子供はとても可愛い。あの痛みを忘れてしまう。
「ねぇ、僕の可愛いひと」
「なんです?コーディ」
「結婚式はいつにする?」
にこにこと、少し照れたような顔です聞いてくる。
「しませんよ」
「へ」
「なんでそんな面倒なことしなくちゃいけないんです?あー、結婚もしなくていいかな?そうしたら、全員私だけの子供だ」
「り、リィン⁈」
「あんな可愛い子供達を渡すなんてとんでもないですよね?」
「わ、わおおーーーーん‼︎」
コーディ殿下は今日も元気だ。
おわり
ーーーーーーーーーーーー
デビルマッド錬金術師ドクターSの企みは今回でおしまいです。しかしドクターは何度でも蘇ります…!かもしれません。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。投稿型のWeb小説を書きました。2本目になります。(1本目の魔王さまは少しづつ更新しています)
たくさんのお気に入り、しおりなどつけていただき、本当に感謝したありません。
まだ色々書いてみたいことがあるので、よろしければまたお会い出来ることを願っております!
皆さまの優しさで、生きています!本当にありがとうございました!
2020年3月30日 鏑木うりこ
城の中に作られた、特別室でため息をつきながら、トントンと書類を揃えた。
この部屋に今は1人だ。体を冷やさないように特別暖かく、疲れたらすぐ休めるように作られたソランジェ発案の部屋。
つい先日まで出入りしていたティナは2日前に可愛い男女の赤ちゃんが無事産まれた。
まだ名前はつけていないようだが、2人ともきれいな緑の翡翠眼だった。
「宝物が増えたなぁー!」
ソレルが馬鹿みたいにとろけた笑顔でデレデレしていた。
ルーティアは昨日男女の赤ちゃんを産んだ。これも可愛い。お兄ちゃんの方はロウエルそっくりの糸目だった。小型版と言って良いくらいそっくりで少し引いた。
「リィンもそろそろね…ふふふ」
そう言いながら、メスを研ぐソランジェがちょっと怖い。何かあったらさっくりいくのだろう…。戦場で斬られるより痛みはないのだろうけれども、恐怖感はある。
「ソランジェめ…覚えてろよ……」
何度も呟いた呪詛の言葉が今日ももれる。ちょうどやってきたウェインに出来上がった書類を渡し、またため息をつく。
「ソランジェめ…覚えてろよ……」
すっかり忘れていたのに、また思い出させやがって。くっ…低く唸る。
「ソランジェめ…」
「あれ?リィン呼んだ?」
「呼んでないっ!」
ひょこっと顔を出したソランジェを追い払う。あーーーもう!
「…覚えてろよ……」
「ねぇ、リィンってば」
なんだよ、もう!耐えてるのに!
「産みに行こうぜ!」
ニヤリ、マッドドクター・ソランジェが悪魔の笑みを浮かべる。今日からデビルマッドドクターになればいい!
私はソランジェに伴われ、すっかり支度の出来た屋敷に帰る。
「ソランジェめーーー!覚えてろよぉーーー!」
見事に可愛い男の子が3人増えた。
アルディス、コーラル、コーリルと名前をつけた3人は父親が分かりやすい。
アルディスは金の髪に青い目でアルトそっくりの色、コーラルとコーリルはコーディと同じ茶の髪と、私と同じ青緑の目のそっくりな双子だ。
「これは…可愛いな……」
「3つ子だけど、双子だね!」
「うーん、やっぱり最初の相手の子供はできる確率が高いのかなぁ?それとも根性かなぁ?」
「……」
もうなんでもいい、疲れた。屋敷の使用人たちがこの後押しかけ、3人を連れ去った。お風呂にするだの乳母を頼むだのミルクがどうのだのワイワイしながら楽しそうだ。
「お疲れさま、リィン」
1人、コーディは残っていた。
「はは、本当にね….」
3年前、こんな苦しいのは2度とごめんだ!と思ったのに。しかしまた、終わってしまえば忘れてゆく。
そして子供はとても可愛い。あの痛みを忘れてしまう。
「ねぇ、僕の可愛いひと」
「なんです?コーディ」
「結婚式はいつにする?」
にこにこと、少し照れたような顔です聞いてくる。
「しませんよ」
「へ」
「なんでそんな面倒なことしなくちゃいけないんです?あー、結婚もしなくていいかな?そうしたら、全員私だけの子供だ」
「り、リィン⁈」
「あんな可愛い子供達を渡すなんてとんでもないですよね?」
「わ、わおおーーーーん‼︎」
コーディ殿下は今日も元気だ。
おわり
ーーーーーーーーーーーー
デビルマッド錬金術師ドクターSの企みは今回でおしまいです。しかしドクターは何度でも蘇ります…!かもしれません。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。投稿型のWeb小説を書きました。2本目になります。(1本目の魔王さまは少しづつ更新しています)
たくさんのお気に入り、しおりなどつけていただき、本当に感謝したありません。
まだ色々書いてみたいことがあるので、よろしければまたお会い出来ることを願っております!
皆さまの優しさで、生きています!本当にありがとうございました!
2020年3月30日 鏑木うりこ
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