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103 フィフナーの回復
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先に根を上げたのはフィフナーの父上(仮)だったらしい。
「うう……む、お、王位をイオリアへ譲る……」
「良くぞご決断下さいました!」
宰相以外のほぼ全ての貴族から突き上げられ、とうとうそう宣言した。宣言した途端、黒雲は割れ祝福の光が差したというのだから、女神様も雨をやますタイミングを見計らっていたんじゃないかな?
「た、戴冠式は半年後……」
空がゴロゴロと音を立てて曇り始め、雷雨が鳴り響いたもんで、来月には正式にイオリア兄上が王様になるんだって!めでたい。
父上(仮)と同時に宰相も変わる事が決まっていて、現宰相とは全く違う派閥からの大抜擢になるらしい。
「わからない事があれば手を貸しますよ……ひい!」
現宰相がそんなことを言うと途端に空が荒れ始めるもんだから、引退を決めて南の方にある領地に引っ込むらしい。まあしょうがない事かな?
「……父上は王都を出られた方が宜しいでしょう。アイラ妃もお連れになってください」
「は!?なにを申すイオリア」
「それがこの国のためです」
戴冠式を終えた兄上は父上を王都から一番離れた王家所有の領に送ることを決めたらしい。
「はぁ!?なんでわたくしまで!王と一緒に行くなら王妃でしょう!」
「母上には残って政務の手伝いをしていただかなければなりませんから」
「手伝いなら、わたくしも……」
「アイラ妃、あなたに何ができますか? 」
ピシャリと言われ、黙ったらしい。兄上の母上……今は前王妃様になるんだけれど、この方が諸外国との外交の顔になっていて、アイラ妃はそういう仕事をまったくしてこなかったらしい。本当にあの人はなにしてんだろ?極潰し???
それに兄上が我ら双子を気にかけるようになったのは前王妃様が最初にイオリア兄上に教えたのがきっかけだったらしい。お前には弟が二人いるよ、とても繊細な子達で深く傷ついているからお話をしてみてはどうかと。
その話を聞いて王妃様にはとても感謝をした。だって私達は側妃の子供で、王妃様にとっては邪魔な存在のはずだ。それなのに産みの母にも冷たくされた私達を気にかけていてくれたなんて。きっと王妃様自身が私達に接触することは派閥やらなにやらの関係上出来なかったんだろう。だからまだ子供だった兄上にそう言ったんだろうな。
あの国の王宮にも私達のことを気にかけてくれた人が数人いた。きっとその人達の尽力で生きて来れたんだろう。ありがたやありがたや……。
「フィフナーの方も支店を増やしときますよ。儲けある所に商人ありですからね」
「わーい、ワール氏ありがと~」
一度撤退したワール商会ももう一度店舗を設置してくれるらしい。今はボロボロの王都だから店の土地が安く買えるって張り切ってる……流石ワール氏でござった。良い土地をもう買い漁ってた。私達が品物をもって王宮へ行くにも限界があるから訳知りの商店があるのは色々助かる。何か売れそうな商品を考えなくっちゃなぁ~!
「うう……む、お、王位をイオリアへ譲る……」
「良くぞご決断下さいました!」
宰相以外のほぼ全ての貴族から突き上げられ、とうとうそう宣言した。宣言した途端、黒雲は割れ祝福の光が差したというのだから、女神様も雨をやますタイミングを見計らっていたんじゃないかな?
「た、戴冠式は半年後……」
空がゴロゴロと音を立てて曇り始め、雷雨が鳴り響いたもんで、来月には正式にイオリア兄上が王様になるんだって!めでたい。
父上(仮)と同時に宰相も変わる事が決まっていて、現宰相とは全く違う派閥からの大抜擢になるらしい。
「わからない事があれば手を貸しますよ……ひい!」
現宰相がそんなことを言うと途端に空が荒れ始めるもんだから、引退を決めて南の方にある領地に引っ込むらしい。まあしょうがない事かな?
「……父上は王都を出られた方が宜しいでしょう。アイラ妃もお連れになってください」
「は!?なにを申すイオリア」
「それがこの国のためです」
戴冠式を終えた兄上は父上を王都から一番離れた王家所有の領に送ることを決めたらしい。
「はぁ!?なんでわたくしまで!王と一緒に行くなら王妃でしょう!」
「母上には残って政務の手伝いをしていただかなければなりませんから」
「手伝いなら、わたくしも……」
「アイラ妃、あなたに何ができますか? 」
ピシャリと言われ、黙ったらしい。兄上の母上……今は前王妃様になるんだけれど、この方が諸外国との外交の顔になっていて、アイラ妃はそういう仕事をまったくしてこなかったらしい。本当にあの人はなにしてんだろ?極潰し???
それに兄上が我ら双子を気にかけるようになったのは前王妃様が最初にイオリア兄上に教えたのがきっかけだったらしい。お前には弟が二人いるよ、とても繊細な子達で深く傷ついているからお話をしてみてはどうかと。
その話を聞いて王妃様にはとても感謝をした。だって私達は側妃の子供で、王妃様にとっては邪魔な存在のはずだ。それなのに産みの母にも冷たくされた私達を気にかけていてくれたなんて。きっと王妃様自身が私達に接触することは派閥やらなにやらの関係上出来なかったんだろう。だからまだ子供だった兄上にそう言ったんだろうな。
あの国の王宮にも私達のことを気にかけてくれた人が数人いた。きっとその人達の尽力で生きて来れたんだろう。ありがたやありがたや……。
「フィフナーの方も支店を増やしときますよ。儲けある所に商人ありですからね」
「わーい、ワール氏ありがと~」
一度撤退したワール商会ももう一度店舗を設置してくれるらしい。今はボロボロの王都だから店の土地が安く買えるって張り切ってる……流石ワール氏でござった。良い土地をもう買い漁ってた。私達が品物をもって王宮へ行くにも限界があるから訳知りの商店があるのは色々助かる。何か売れそうな商品を考えなくっちゃなぁ~!
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