98 / 121
99 暗のお姫?様
しおりを挟む
だから!だから声をかけてあげたのに!
「スカーレット……どうしてそんなに太ってしもうたのじゃ?」
「お父様!そんなことは今はどうでもいいの、こんなの本気出せばすぐ痩せるんだから!」
「そうか、さすがじゃのう。スカーレット」
「それよりオルフェア達のことよ!」
ついてすぐにお父様にオルフェア達の騎士復帰をお願いしたけれど、渋い返事しか来ない。
「いや、彼らは自らの意思で辞めていったんじゃ。我らも引き留めだけれど、フィフナーの王子に付き従うと」
「そんな馬鹿な話はないでしょう?!彼らは私のことを愛していたのよ?!」
「な、なんと騎士のくせに王女であるスカーレットに恋慕を?!」
「そうよ!見れば分かるじゃないっ」
「そ、そうかのう……フィフナーの王子を愛してしまったと騎士を辞めたんじゃが、スカーレットのことだったかのう……?」
「見て分かんないの?!お父様は恋愛に疎いから!ねぇお母様」
「違うと思うわ、スカーレット。早くその醜い体を元に戻しなさい。そしてジャムは渡さないわよ」
お母様は何か小瓶に夢中でずっと握りしめているし、話も通じなかった。
そしてあの結婚式だ。レイクリフとオルフェアは意に染まぬ結婚から私を救いに来てくれた!のに、連れて行く相手を間違えたのよ!
「リュキ!」「レイ殿~」
「マシェ、こちらへ」「オル殿ぉちゃんと歩けますって」
二人とも間違えて連れて行ったのに、国は総出で私を悪者にした!意味が分からないわ!
だって、私は私を愛する人達を救いたかっただけなのよ?それなのに何にも知らない国民はこぞって私に後ろ指を指す。
「あー!運命の恋人を引き裂いた悪のでぶっちょ王女だ!」
「わがまま王女だ、女神様の怒りを買った悪の王女!」
わ、私は何もしていない!
「にしても騎士様とお姫様、素敵だったねぇ」
「キラキラしてて良い匂いだったー!お花も振ってたし。あの時はお日様もさしてた!」
「あのお花、食べれるんだぜ!すんごく美味しいし、お腹痛いのとか頭痛いのとか治るんだ」
「流石、女神様の祝福は違うわねえ」
ど、どういうこと?!あいつらまさか街を練り歩いて行ったの?!
「可愛かったわよねぇ。うふふ」
「ちょっと恥ずかしがっていた所も何とも……」
「あと、甘い飴くれた!」
モノで民を釣るとは卑怯な!でもどんなに抗議しても全ての民は私の敵だった。民だけじゃない、貴族まで私に冷たく当たる。
「何と言うことをしてくれたんだ。本当に空から雨が去ることがないではないか!」
「宰相殿!あなたは女神の愛し子を何と心得る!」
私とフィフナーの無能王子の結婚に反対を唱えず静観した貴族どもがこれ見よがしに攻撃を仕掛けてくるの!
「ならば、ならば最初から反対なされば……」
「そなたと王と王女の独断で決めたようなものではないか!」
「ああ!せっかくの産業も全部取り止めになったぞ!ワール商会も店を閉めておる!あの商会がフィフナー王子達の腰巾着なのは有名な話ではないか!」
そして全員こちらを睨む。
「余計な事を」
「末代までの恥晒し」
「聞きましたか?街の吟遊詩人達の歌を!嘆かわしい」
わ、私が何をしたって言うのよ!何も、何も悪い事をしていないわよ!
お父様に会っても唸るしかしなくなったので、お母様にお会いする事にした。私は悪くないわよね?!
「スカーレット。まだ痩せてないの?あなた、そんな見た目じゃどこの後妻にも行けないわよ。本当にあの人がわがままばかり許すから、民達にも嫌われるし、どうする気?」
「お、お母様?」
お母様は私の方を見る事なく、そんな事を言い放った。手に持った小さな小瓶をうっとり眺めつつ、酷い物言いだわ!
「わ、私は私には騎士達がおります!私は騎士達から慕われておりますから!」
「そんな事ないわよね。わがままで騎士の才能と出世の道を潰すあなたは全員から嫌われているわよ?オルフェアとレイクリフの騎士団がどれだけ辛酸を舐めたか、あなたは知らないんだっけ。貴女が彼らを解雇した時、涙を流してまで喜んでいたもの」
「そ、そんな馬鹿な事ありません!だって皆、私のことを愛して……」
その時やっとお母様は私の方を見た。そして最近浴びた視線の中で最も冷たいものが突き刺さる。
「オルフェアとレイクリフが愛しているのは双子王子でしょう?このルゼンに一刻の富とこのジャムをもたらしたのも双子王子。あなたは悪評しか持ってこない。我が子ながら情けないわ。やっぱりあの人に任せたのがいけなかったのね、失敗したわ」
お母様の言葉がグサグサと突き刺さる。失敗?!いくら母親といえど言っていいことと悪い事があるわ!
「スカーレット……どうしてそんなに太ってしもうたのじゃ?」
「お父様!そんなことは今はどうでもいいの、こんなの本気出せばすぐ痩せるんだから!」
「そうか、さすがじゃのう。スカーレット」
「それよりオルフェア達のことよ!」
ついてすぐにお父様にオルフェア達の騎士復帰をお願いしたけれど、渋い返事しか来ない。
「いや、彼らは自らの意思で辞めていったんじゃ。我らも引き留めだけれど、フィフナーの王子に付き従うと」
「そんな馬鹿な話はないでしょう?!彼らは私のことを愛していたのよ?!」
「な、なんと騎士のくせに王女であるスカーレットに恋慕を?!」
「そうよ!見れば分かるじゃないっ」
「そ、そうかのう……フィフナーの王子を愛してしまったと騎士を辞めたんじゃが、スカーレットのことだったかのう……?」
「見て分かんないの?!お父様は恋愛に疎いから!ねぇお母様」
「違うと思うわ、スカーレット。早くその醜い体を元に戻しなさい。そしてジャムは渡さないわよ」
お母様は何か小瓶に夢中でずっと握りしめているし、話も通じなかった。
そしてあの結婚式だ。レイクリフとオルフェアは意に染まぬ結婚から私を救いに来てくれた!のに、連れて行く相手を間違えたのよ!
「リュキ!」「レイ殿~」
「マシェ、こちらへ」「オル殿ぉちゃんと歩けますって」
二人とも間違えて連れて行ったのに、国は総出で私を悪者にした!意味が分からないわ!
だって、私は私を愛する人達を救いたかっただけなのよ?それなのに何にも知らない国民はこぞって私に後ろ指を指す。
「あー!運命の恋人を引き裂いた悪のでぶっちょ王女だ!」
「わがまま王女だ、女神様の怒りを買った悪の王女!」
わ、私は何もしていない!
「にしても騎士様とお姫様、素敵だったねぇ」
「キラキラしてて良い匂いだったー!お花も振ってたし。あの時はお日様もさしてた!」
「あのお花、食べれるんだぜ!すんごく美味しいし、お腹痛いのとか頭痛いのとか治るんだ」
「流石、女神様の祝福は違うわねえ」
ど、どういうこと?!あいつらまさか街を練り歩いて行ったの?!
「可愛かったわよねぇ。うふふ」
「ちょっと恥ずかしがっていた所も何とも……」
「あと、甘い飴くれた!」
モノで民を釣るとは卑怯な!でもどんなに抗議しても全ての民は私の敵だった。民だけじゃない、貴族まで私に冷たく当たる。
「何と言うことをしてくれたんだ。本当に空から雨が去ることがないではないか!」
「宰相殿!あなたは女神の愛し子を何と心得る!」
私とフィフナーの無能王子の結婚に反対を唱えず静観した貴族どもがこれ見よがしに攻撃を仕掛けてくるの!
「ならば、ならば最初から反対なされば……」
「そなたと王と王女の独断で決めたようなものではないか!」
「ああ!せっかくの産業も全部取り止めになったぞ!ワール商会も店を閉めておる!あの商会がフィフナー王子達の腰巾着なのは有名な話ではないか!」
そして全員こちらを睨む。
「余計な事を」
「末代までの恥晒し」
「聞きましたか?街の吟遊詩人達の歌を!嘆かわしい」
わ、私が何をしたって言うのよ!何も、何も悪い事をしていないわよ!
お父様に会っても唸るしかしなくなったので、お母様にお会いする事にした。私は悪くないわよね?!
「スカーレット。まだ痩せてないの?あなた、そんな見た目じゃどこの後妻にも行けないわよ。本当にあの人がわがままばかり許すから、民達にも嫌われるし、どうする気?」
「お、お母様?」
お母様は私の方を見る事なく、そんな事を言い放った。手に持った小さな小瓶をうっとり眺めつつ、酷い物言いだわ!
「わ、私は私には騎士達がおります!私は騎士達から慕われておりますから!」
「そんな事ないわよね。わがままで騎士の才能と出世の道を潰すあなたは全員から嫌われているわよ?オルフェアとレイクリフの騎士団がどれだけ辛酸を舐めたか、あなたは知らないんだっけ。貴女が彼らを解雇した時、涙を流してまで喜んでいたもの」
「そ、そんな馬鹿な事ありません!だって皆、私のことを愛して……」
その時やっとお母様は私の方を見た。そして最近浴びた視線の中で最も冷たいものが突き刺さる。
「オルフェアとレイクリフが愛しているのは双子王子でしょう?このルゼンに一刻の富とこのジャムをもたらしたのも双子王子。あなたは悪評しか持ってこない。我が子ながら情けないわ。やっぱりあの人に任せたのがいけなかったのね、失敗したわ」
お母様の言葉がグサグサと突き刺さる。失敗?!いくら母親といえど言っていいことと悪い事があるわ!
14
お気に入りに追加
1,023
あなたにおすすめの小説
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
専属【ガイド】になりませんか?!〜異世界で溺愛されました
sora
BL
会社員の佐久間 秋都(さくま あきと)は、気がつくと異世界憑依転生していた。名前はアルフィ。その世界には【エスパー】という能力を持った者たちが魔物と戦い、世界を守っていた。エスパーを癒し助けるのが【ガイド】。アルフィにもガイド能力が…!?
【完結】魔力至上主義の異世界に転生した魔力なしの俺は、依存系最強魔法使いに溺愛される
秘喰鳥(性癖:両片思い&すれ違いBL)
BL
【概要】
哀れな魔力なし転生少年が可愛くて手中に収めたい、魔法階級社会の頂点に君臨する霊体最強魔法使い(ズレてるが良識持ち) VS 加虐本能を持つ魔法使いに飼われるのが怖いので、さっさと自立したい人間不信魔力なし転生少年
\ファイ!/
■作品傾向:両片思い&ハピエン確約のすれ違い(たまにイチャイチャ)
■性癖:異世界ファンタジー×身分差×魔法契約
力の差に怯えながらも、不器用ながらも優しい攻めに受けが絆されていく異世界BLです。
【詳しいあらすじ】
魔法至上主義の世界で、魔法が使えない転生少年オルディールに価値はない。
優秀な魔法使いである弟に売られかけたオルディールは逃げ出すも、そこは魔法の為に人の姿を捨てた者が徘徊する王国だった。
オルディールは偶然出会った最強魔法使いスヴィーレネスに救われるが、今度は彼に攫われた上に監禁されてしまう。
しかし彼は諦めておらず、スヴィーレネスの元で魔法を覚えて逃走することを決意していた。
【BL】【完結】神様が人生をやり直しさせてくれるというので妹を庇って火傷を負ったら、やり直し前は存在しなかったヤンデレな弟に幽閉された
まほりろ
BL
八歳のとき三つ下の妹が俺を庇って熱湯をかぶり全身に火傷を負った。その日から妹は包帯をぐるぐるに巻かれ車椅子生活、継母は俺を虐待、父は継母に暴力をふるい外に愛人を作り家に寄り付かなくなった。
神様が人生をやり直しさせてくれるというので過去に戻ったら、妹が俺を庇って火傷をする寸前で……やり直すってよりによってここから?!
やり直し前はいなかったヤンデレな弟に溺愛され、幽閉されるお話です。
無理やりな描写があります。弟×兄の近親相姦です。美少年×美青年。
全七話、最終話まで予約投稿済みです。バッドエンド(メリバ?)です、ご注意ください。
ムーンライトノベルズとpixivにも投稿しております。
「Copyright(C)2020-九十九沢まほろ」
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
舐めるだけじゃ、もうたりない!
餡玉
BL
翔と瀬名は、いつか迎えるであろう女子との初エッチの日に備えて、おっぱいを舐める練習をしている。そんな練習を始めて気づけば三年。ふたりは同じ高校に進学し、今も週に二、三度は乳首を舐め合う関係を続けていた。しかし、最近瀬名がよそよそしい。まさか瀬名に、練習の成果を発揮する日が近づいているか!? その日のための練習と割り切っていたけれど、翔はどうしてもモヤモヤが止まらなくて……。
☆完結済作品を、他サイトから転載しております。
☆拙作『お兄ちゃんだって甘えたいわけで。』と同じ舞台でのお話です。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします。……やっぱり狙われちゃう感じ?
み馬
BL
※ 完結しました。お読みくださった方々、誠にありがとうございました!
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、とある加護を受けた8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 独自設定、造語、下ネタあり。出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる