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90 お認めにならないってか見られてんよ!

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「う、うわぁー!け、毛虫が空から降って来た」
「や、やはり女神様のお怒りがーー!」

 なんだか、ちょっぱやで私とスカーレット王女の結婚式が準備されて行く中、結婚式が予定されている神殿や王城にはそんな天からの嫌がらせが続いている。今日は毛虫が降って来たし、昨日は腐った魚だった。臭い。もちろんどんどん天気は悪くなって最近はずっと雨が降り続いて、雷まで鳴っている。

「お、王よ。やはりこの結婚はお考え直しを……」
「何故じゃ?ワシはスカーレットの花嫁姿がみたいぞ」
「し、しかし!」

 長雨の影響で畑の作物は根腐れを起こし始めているし、川の増水は止まらず、いつ決壊してもおかしくない状況らしい。

「リキュシュ王子がスカーレット様と結婚してこの国に居てくださればまたお金が増えるはず!」

 そうルゼンの宰相は胸を撫で下ろしたようだが、それは無いと伝えておいた。

「私はこの婚約から結婚、全て断りました。進めるなら私にフィフナー国から支払われるべき金額のすべてを受け取ってからにしてもらう。あと、個人資産からこの国へ支払うお金はびた一文ありませんよ!」
「何故?!今までは入れて下さったじゃないですか!」
「レイ殿や、オル団長と元騎士達の故郷と思えばこそでしたが、もうそれもない。元々我らが勝手に始めたこと。勝手にやめて文句言われる筋合いはない」

 で、ござるよ!ぷんすこ。

「し、しかしリキュシュ王子は我が国のスカーレット王女と婚姻してこの国に留まるのでしょう?!ならば国が荒れ果てるより潤っていた方が」
「……神はこの婚姻をお認めにならないでしょう」

 絶対に認めないと思う。もう今でもかなりの異変を起こしてるんだよ、あの人達!あ、人じゃないか。

 何せ国にある女神像の殆どが涙を流すというとんでもないですことをしてるんだ。

「あ、雨漏りか何かが神像に伝わって……」

 まあ、そこ以外濡れていない訳だし。ついでに赤い血のような涙を流すこともあって本当に騒ついてる。
 しかし、血の涙はちょっと抗議したい。そりゃ私とマシェだってそれぞれレイ殿、オル団長にくっ付いて始終イチャイチャしていたいし、元騎士の皆だってチュッチュッしていたいさ!でも現実はくだらない事で呼び出されたり、打ち合わせしたり、逃げ回ったりであんまり一緒にいられない。
 だからって三日ほど一緒の時間が取れないからって血涙はないと思う!

〈イチャコラしろや……ちゅーしろや……〉

「?!」

 R18展開を望む腐オーラを迸らせるのはやめていただきたい!

「リュキ……昨日から血の涙を流していた女神像が元に戻ったらしいですよ」
「あ、あはは……そ、そうなんだ……」

 レイ殿と思う存分イチャコラした次の日にぴたりと泣き止むのもやめてほしい……。このシステムにマシェも気がついたようで2人で渋い顔をするしか無かった。



 
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