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14 良いものは良いのでござる

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「……居心地が良いでござるなぁ」
「拙者、ずっとルゼンにいたいでござるよー」

 俺達はルゼンでのんびり過ごさせて貰っている。王妃様は化粧水を物凄く喜んでくれたみたいで、俺達の事はしからないでくれた。

「まあまあ!子供の頃にそんなことが……お可哀想に……で?無くなったらまたいただけるので?!」

 最後の台詞にすごい力が入っていたらしく、言付かって来たオル団長が青くなっていた。

「大丈夫!いつでもオッケーでござるよ!」

 そう伝えるとほっと胸を撫で下ろしていたので、在庫は多めに持っておこう。この化粧水、実はフィフナーには卸してなかった。実の母上に差し上げた事もない。
 5歳のあの婚約者に手酷くやられた日以降、母上は俺達に見向きもしなくなった。それまではこの紫の髪を見て満足そうに微笑んでいたのに。

「ああ、こんなに濃い紫の髪なんて!貴方達はどれだけ神に愛されているのかしら……王太子は貴方達のどちらかの方が相応しいわ」

 母上も、ろくでもない貴族だと早々に気づいていた俺達はあまり関わりになりたくなかったのだ。
 まあ、あの事件から接触は殆ど無くなったのはありがたいやら、悲しいやら。複雑ではあった。

「兄者ーニッベアの在庫も減ってるでござるよー」
「おお、そろそろ工房に行かねばなぁ……昔、腹が減って食えるかな?と舐めたニッベアが役に立つとはなぁ」
「メイドちゃん達に大人気でござる!」
「クラシカルメイドスタイル、良き……」

 王と皆のお陰で世話人は全て男性に入れ替えられた。それでも王宮にはたくさんのメイドが働いている。それを遠くから見るのは楽しい。

「近くで注目されると怖いが遠くにいるのは問題ないものな」
「あと、貴族はいかんですな。メイドちゃん達なら何とかギリギリいけますな! 」
「うむ!侍女殿は怖いけど、メイドちゃんなら……なあなあ、メイドちゃんの頭のあれ、カチューシャに変更してもらえぬかのう」
「提案してみましょうぞ!」

「メイド達のお仕着せが可愛くなってないか??」
「スカートも布地をたっぷりとった贅沢な物に変わってるし、良く見れば邪魔にならない所にレース飾りやフリルも多く使われてあるぞ」
「……うちのお嬢様の服より手の込んだ品じゃなくて?」
「馬鹿な、メイド服だぞ?誰が一体」

 ハッと見上げれば遠くから働くメイドをにちゃにちゃと見守る紫の髪の双子がいる。

「可愛いでござるなー」
「やっぱりふんわりスカートは良いでござるよーくるん、て回った時が最高でござるぅ」

 男性なのにそこらの令嬢より可愛らしい顔立ちを残念な笑顔で彩っている。

 あいつらならやりかねん。

 メイド服について疑問を持っていた人々は原因が究明できてスッキリしたと言う。

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