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10 命に関わる案件らしい レイクリフ視点
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道中は本当に楽しかった。
「飲んでくれぇ! 」
「ナンスカ?これ?飲んだ事ないな、酒ですよね?」
双子は何やら秘密があるらしい。
「うむ。昔は貧乏だったからシャトーブリアン何とかなんて飲んだことがなかったのが悔やまれるなー」
「シャトーブリアンはお肉ですぞ、兄者。我々が口にしたことがあるアルコールはビールやら、日本酒でもあんまり高くないの……あー高級なの味わっておけば良かったー!」
「ストロングヤンで満足してた拙者達のミスでござるなー」
二人の話を聞いてない風を装いつつ聞いてまとめると、どうやら過去に味わった事がある飲み物を再現して出す事が出来るようなのだ。
「どーーしても、人工甘味料たっぷりのコーラが飲みたくて!」
「ジンコーカンミリョー……?」
はて、なにかの呪文だろうか?
「ポテチとコーラだけは命の源!あとピザ!」
命に関わる重大な案件を二人は女神に祈り、聞き届けられたらしい。
「よくよく聞くと女神様も随分イケるクチらしくての!毎月大量のお神酒と引き換えに都合つけてくれたんだ」
「うむ、クラフトコーラじゃ我慢出来んかった」
初めてあった酒場で二人が飲んでいたものは「こーら」というらしく、とても不思議な飲み物であった。爽やかなのだが驚いたことにこの飲み物は非常に甘いのだ。
「こ、こんなに砂糖を使って?! 」
「砂糖の甘さの600倍なのだよ、人工甘味料は」
「ジ、ジンコーカンミリョー、恐ろしい! 」
これをあの酒場で提供した、と言う事だ。
「これに安酒を入れて混ぜて飲むんだ!美味いぞー! 」
「ぎゃーーーー!うーまーいー!」
「酸っぱい果物汁も合うんだぞー? 」
「悪魔かーー!うーまーいー! 」
団員の心はガッチリ鷲掴みにされてしまった。もちろん、私達もなんだが。
彼らは苦行とも呼べる環境にいたはずなのに、状況を楽しんでいる節さえ見えた。普通なら世を呪い、こんな風に笑える筈はないのに。なんて強い……そして。
「レイ殿ー酔っ払ったぁ~抱っこぉ~」
「今行きますよー」
とても人懐っこくて、可愛いらしい。
「レイ殿の胸は意外と柔らかいのだぁ」
「胸筋ですけどね。硬いだけでは怪我をしますから、柔軟性も大事ですよ」
んむ!アルコールで酔った赤い顔で見上げてくる。自分達はあまり飲めない癖にポンポンと見たこともない酒を出してくる。団員達はそれに舌鼓を打ち、感謝するものだから、また嬉しくなるようで、新しい物を出してくる。
そんな事の繰り返しで毎日宴会のような状況だ。
「マシェぇーレイ殿のおっぱいは柔らかいのだー、そっちはどうなのだー? 」
「うきゅ……今から揉んでみるのだー続報を待つのだ、兄者ぁ」
「あっ!こら、やめなさい!」
「良いではないか良いではないかーうひゅひゅひゅー柔らかいですぞー兄者ぁ」
団長がマシェッツ王子に揉まれている。仕方のない人達なのだが、強くやめさせる気にもなれない。
「人間ってあったかくて気持ちが良いなぁ」
なんて呟きを聞いてしまうと、この二人の子供時代を想像してしまうのだ。きっと優しく抱きしめてくれる人がいなかったんだろう。その時受け取るはずだった温もりを求めているのだろうと。
普段は隠していても酔って自分を守る殻が弱まると覗かせる傷ついた心。そう思うと多少くすぐったくても大したことではない。
「もう寝ましょうね」
「うん、一緒に寝てくれる? 」
「……良いですよ」
誰かと一緒じゃないと良く眠れないと言う。双子の分離不安もあるのかもしれない。もっと奥深い闇かもしれない。
リュキもマシェもそんな感じなので二人が酔い潰れて私達が運ぶ日はそれぞれに添い寝をしている。警護対象の間近に居られる事はある意味良い事だが、団員達は涙目だ。
「俺ぇ、知ってる。ちっちぇ頃愛されなかった大人ってああやって人とくっつきたがるんだろ?」
「俺も聞いた事ある……ちっちぇ頃の寂しさを無意識に埋めようとすんだって……うう、団長、副団長。甘やかしてやって下さい」
団員達にまで頼まれる始末だ。やっぱり双子はいい奴らなんだ。
「飲んでくれぇ! 」
「ナンスカ?これ?飲んだ事ないな、酒ですよね?」
双子は何やら秘密があるらしい。
「うむ。昔は貧乏だったからシャトーブリアン何とかなんて飲んだことがなかったのが悔やまれるなー」
「シャトーブリアンはお肉ですぞ、兄者。我々が口にしたことがあるアルコールはビールやら、日本酒でもあんまり高くないの……あー高級なの味わっておけば良かったー!」
「ストロングヤンで満足してた拙者達のミスでござるなー」
二人の話を聞いてない風を装いつつ聞いてまとめると、どうやら過去に味わった事がある飲み物を再現して出す事が出来るようなのだ。
「どーーしても、人工甘味料たっぷりのコーラが飲みたくて!」
「ジンコーカンミリョー……?」
はて、なにかの呪文だろうか?
「ポテチとコーラだけは命の源!あとピザ!」
命に関わる重大な案件を二人は女神に祈り、聞き届けられたらしい。
「よくよく聞くと女神様も随分イケるクチらしくての!毎月大量のお神酒と引き換えに都合つけてくれたんだ」
「うむ、クラフトコーラじゃ我慢出来んかった」
初めてあった酒場で二人が飲んでいたものは「こーら」というらしく、とても不思議な飲み物であった。爽やかなのだが驚いたことにこの飲み物は非常に甘いのだ。
「こ、こんなに砂糖を使って?! 」
「砂糖の甘さの600倍なのだよ、人工甘味料は」
「ジ、ジンコーカンミリョー、恐ろしい! 」
これをあの酒場で提供した、と言う事だ。
「これに安酒を入れて混ぜて飲むんだ!美味いぞー! 」
「ぎゃーーーー!うーまーいー!」
「酸っぱい果物汁も合うんだぞー? 」
「悪魔かーー!うーまーいー! 」
団員の心はガッチリ鷲掴みにされてしまった。もちろん、私達もなんだが。
彼らは苦行とも呼べる環境にいたはずなのに、状況を楽しんでいる節さえ見えた。普通なら世を呪い、こんな風に笑える筈はないのに。なんて強い……そして。
「レイ殿ー酔っ払ったぁ~抱っこぉ~」
「今行きますよー」
とても人懐っこくて、可愛いらしい。
「レイ殿の胸は意外と柔らかいのだぁ」
「胸筋ですけどね。硬いだけでは怪我をしますから、柔軟性も大事ですよ」
んむ!アルコールで酔った赤い顔で見上げてくる。自分達はあまり飲めない癖にポンポンと見たこともない酒を出してくる。団員達はそれに舌鼓を打ち、感謝するものだから、また嬉しくなるようで、新しい物を出してくる。
そんな事の繰り返しで毎日宴会のような状況だ。
「マシェぇーレイ殿のおっぱいは柔らかいのだー、そっちはどうなのだー? 」
「うきゅ……今から揉んでみるのだー続報を待つのだ、兄者ぁ」
「あっ!こら、やめなさい!」
「良いではないか良いではないかーうひゅひゅひゅー柔らかいですぞー兄者ぁ」
団長がマシェッツ王子に揉まれている。仕方のない人達なのだが、強くやめさせる気にもなれない。
「人間ってあったかくて気持ちが良いなぁ」
なんて呟きを聞いてしまうと、この二人の子供時代を想像してしまうのだ。きっと優しく抱きしめてくれる人がいなかったんだろう。その時受け取るはずだった温もりを求めているのだろうと。
普段は隠していても酔って自分を守る殻が弱まると覗かせる傷ついた心。そう思うと多少くすぐったくても大したことではない。
「もう寝ましょうね」
「うん、一緒に寝てくれる? 」
「……良いですよ」
誰かと一緒じゃないと良く眠れないと言う。双子の分離不安もあるのかもしれない。もっと奥深い闇かもしれない。
リュキもマシェもそんな感じなので二人が酔い潰れて私達が運ぶ日はそれぞれに添い寝をしている。警護対象の間近に居られる事はある意味良い事だが、団員達は涙目だ。
「俺ぇ、知ってる。ちっちぇ頃愛されなかった大人ってああやって人とくっつきたがるんだろ?」
「俺も聞いた事ある……ちっちぇ頃の寂しさを無意識に埋めようとすんだって……うう、団長、副団長。甘やかしてやって下さい」
団員達にまで頼まれる始末だ。やっぱり双子はいい奴らなんだ。
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