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3 末代まで恥をかきに レイクリフ視点
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ここはフィフナー王国という。ここの王太子は歳が23で見た目が良い男だ。薄い藤色の髪であり、均整が取れた体付きをしている。
そんな王太子は結婚しているが子供がまだ居ない。それ故に、近隣国の継承権が低い王女達から熱い視線を送られている。側妃として召し上げられたいと言うものだ。
「オルフェア、まだなの?フィフナーの王宮は」
「見えて参りましたが、本当に大丈夫なのですか?スカーレット様」
「大丈夫に決まってるじゃない!この赤薔薇スカーレット様が直々に来てやったのよ」
赤い馬車。赤い服。この頭のおかしな真っ赤な馬車を引く馬でさえ赤毛の集団はフィフナー王国の隣の隣にある小国ルゼン国からやって来た。ルゼン国第三王女スカーレットとこの護衛騎士の一団であり、その真っ赤な趣味の悪い団の2人目にいるのが私だ。名前をレイクリフ・ミゼルドと言い仕方がなくこの馬鹿集団に付き合っている。
「あー!早くイオリア様にお会いしたいわぁ! 」
「……」
我々の中で心底この真っ赤は馬鹿王女に心酔している者はいない。こいつは本当に手のつけられない頭の弱い王女だからだ。
私達が生まれてしまった国をルゼンと言う。過去に何か栄光があり、国として興されてはいるが、今となっては何の取り柄もない弱小国の一つになる。しかもそのルゼンでも貴族として生まれてしまった私達は貴族のしての義務を果たさなければならい。こんな王族でも奉らねばならないのだ。
スカーレット第三王女はまあまあ可愛い方だとは思う。しかし、王族としての気品はなく、勉学も駄目、礼儀作法も持ち前の横暴さで周囲を黙らせて来た国外に出すのも言語横断な馬鹿女なのだ。
しかし、それに輪をかけたスカーレットの親の現国王は頭が悪い上に目も悪く勘も悪い。つまり我がルゼン国はもう滅亡間近なのだ、だが私達は貴族の家に生まれた。死ぬまで、出来る限り国と民を守らねばならない立場にある。
だからこうして馬鹿王女に付き合って大恥をかきに他国までやって来ているのだ。
「わたくしの美貌を持ってすればフィフナー国王太子イオリア様の心は掴めますわ」
意味はわからないし、この王女そんなに美人でもない。ただ、蝶よ花よと育てられ、それを否定するものもなかった為に、望まれてもいないのにこんな隊列を作って隣国に「仕方がなく側妃として出向いてやっている」のだ。
重ねて言う、頼まれても望まれてもいない、勝手に自分勝手に向かっているのだ。馬鹿だろう?
しかもフィフナー王国王太子イオリア様は可愛らしい奥様を大変溺愛なさっているので、側妃は必要ない方であり、更にまだ王太子でいらっしゃる。側妃など持てないし、持つつもりもない方なのにだ。絶対に断られるであろうこの末代までの恥になりかねない行列に私は身を置いている。
先頭にいるのはオルフェア・ライオット団長。彼も勿論不本意であり、我々は隙があれば逃げ出したいし、できることなら泣き出しもしたい……。団長もライオット公爵家の4男という立場故に断れずにここにいるという訳だ。
私達は道中何度もため息をつき、何とか引き返す算段を取ろうとしたが、どれも成功せず、とうとうフィフナー王国の王都までついてしまったのだ。ああ、この気がおかしい真っ赤な隊列にフィフナー国民の視線が突き刺さる……。痛い……泣きたい。
子供が指を差している……ああ、辛い。大人もヒソヒソこちらを見ているよ……辛い。
「赤いでござるな」
「三倍のスピードは出てないでござるよ」
できることなら3倍どころか5倍、10倍の速度で駆け抜けたい。人々のヒソヒソという呟きが全身に突き刺さりながら私達は王宮へ向かう。そう、先ぶれもお約束も何もないフィフナー王宮へとだ、辛い泣きたい。
そんな王太子は結婚しているが子供がまだ居ない。それ故に、近隣国の継承権が低い王女達から熱い視線を送られている。側妃として召し上げられたいと言うものだ。
「オルフェア、まだなの?フィフナーの王宮は」
「見えて参りましたが、本当に大丈夫なのですか?スカーレット様」
「大丈夫に決まってるじゃない!この赤薔薇スカーレット様が直々に来てやったのよ」
赤い馬車。赤い服。この頭のおかしな真っ赤な馬車を引く馬でさえ赤毛の集団はフィフナー王国の隣の隣にある小国ルゼン国からやって来た。ルゼン国第三王女スカーレットとこの護衛騎士の一団であり、その真っ赤な趣味の悪い団の2人目にいるのが私だ。名前をレイクリフ・ミゼルドと言い仕方がなくこの馬鹿集団に付き合っている。
「あー!早くイオリア様にお会いしたいわぁ! 」
「……」
我々の中で心底この真っ赤は馬鹿王女に心酔している者はいない。こいつは本当に手のつけられない頭の弱い王女だからだ。
私達が生まれてしまった国をルゼンと言う。過去に何か栄光があり、国として興されてはいるが、今となっては何の取り柄もない弱小国の一つになる。しかもそのルゼンでも貴族として生まれてしまった私達は貴族のしての義務を果たさなければならい。こんな王族でも奉らねばならないのだ。
スカーレット第三王女はまあまあ可愛い方だとは思う。しかし、王族としての気品はなく、勉学も駄目、礼儀作法も持ち前の横暴さで周囲を黙らせて来た国外に出すのも言語横断な馬鹿女なのだ。
しかし、それに輪をかけたスカーレットの親の現国王は頭が悪い上に目も悪く勘も悪い。つまり我がルゼン国はもう滅亡間近なのだ、だが私達は貴族の家に生まれた。死ぬまで、出来る限り国と民を守らねばならない立場にある。
だからこうして馬鹿王女に付き合って大恥をかきに他国までやって来ているのだ。
「わたくしの美貌を持ってすればフィフナー国王太子イオリア様の心は掴めますわ」
意味はわからないし、この王女そんなに美人でもない。ただ、蝶よ花よと育てられ、それを否定するものもなかった為に、望まれてもいないのにこんな隊列を作って隣国に「仕方がなく側妃として出向いてやっている」のだ。
重ねて言う、頼まれても望まれてもいない、勝手に自分勝手に向かっているのだ。馬鹿だろう?
しかもフィフナー王国王太子イオリア様は可愛らしい奥様を大変溺愛なさっているので、側妃は必要ない方であり、更にまだ王太子でいらっしゃる。側妃など持てないし、持つつもりもない方なのにだ。絶対に断られるであろうこの末代までの恥になりかねない行列に私は身を置いている。
先頭にいるのはオルフェア・ライオット団長。彼も勿論不本意であり、我々は隙があれば逃げ出したいし、できることなら泣き出しもしたい……。団長もライオット公爵家の4男という立場故に断れずにここにいるという訳だ。
私達は道中何度もため息をつき、何とか引き返す算段を取ろうとしたが、どれも成功せず、とうとうフィフナー王国の王都までついてしまったのだ。ああ、この気がおかしい真っ赤な隊列にフィフナー国民の視線が突き刺さる……。痛い……泣きたい。
子供が指を差している……ああ、辛い。大人もヒソヒソこちらを見ているよ……辛い。
「赤いでござるな」
「三倍のスピードは出てないでござるよ」
できることなら3倍どころか5倍、10倍の速度で駆け抜けたい。人々のヒソヒソという呟きが全身に突き刺さりながら私達は王宮へ向かう。そう、先ぶれもお約束も何もないフィフナー王宮へとだ、辛い泣きたい。
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