70 / 139
70 当然の結果
しおりを挟む
「なんの成果も得られなかったな」
「あ、あと、あと1ヶ月頂ければ!か、必ず!!」
「私は結果を残せぬ無能に慈悲をかけることはない。その顔、不快である。今後一切我が前に立つ事を禁ずる。お前の娘も同様だ。何故またそのような色を纏って現れる?私に対する嫌味か?以前は側妃からの要望で首を刎ねずに返したが今日は我慢ならん」
凍土、一面に凍えた空間。明るい色のラフレシアですら凍りついたような寒々しい部屋の中で、ラムが左手を上げる。
執務室の扉が少し乱暴に開き、親衛隊がバタバタと5.6人駆け込んで来る。
「や?!何を!」
「連れて行け」
「はっ!」
親衛隊はラフレシア……リリシアだっけ?の腕を掴んで身柄を拘束する。
「臭っ」
誰がが思わず漏らすから笑いそうになるが、俺は神妙な顔を頑張ってキープする。
「リ、リリシア!?へ、陛下、娘が何をしたと?!あんなに陛下の事をお慕いしている娘に、なんと言う事を!」
それに答えるのは俺。そう言う手筈だし、ラムは頭に血が昇っている事になっている。
「レジム公爵。皇帝ラムシェーブルの前で赤い服、特に赤いドレスは禁忌だと何故分からぬのですか?皆が知っている事ですよ?」
「え……」
レジム公爵はそんな話知らないと口の中で呟いているが、これは知らない方がおかしい話なんだよな。この人、貴族の間でもボッチにされてたのかな?
「それを何度も犯しておいて、その事で公爵家がお取り潰しになってもおかしくないのに。今日という日まであのような赤いドレスを着用してきては庇いきれません」
朱色とオレンジのドレスは鮮やかな血の色をしていた。本当にラムを苛立たせる天才なのか?と目を疑う程だった。
「そ、そんな……」
がっくりと膝をつくけれど、しょうがないよ。
「お帰りください」
とぼとぼとレジム公爵は帰って行く。自ら蒔いた種ではあるが少し可哀想な気もしてしまう。
「リゼロ」
「はっ!では回収して参ります」
また例の出入り口から手だけにゅっと出てきて、その手にラムは書類を手渡した。
「何の書類?」
「レジム家のもう一つの隠し鉱山とその周りの禁制ギリギリの高価な薬草園の没収司令書だ」
「……ひょ……」
まさか、ラム。レジム家から財産全てをむしり取るつもりで……?
「あの公爵のことだ。鉱山からの収益と高価な薬草を売れば凌げると思っているだろうと踏んでな。あいつの家から大量に金を吐き出させた」
「あ、何度もお金を持ってきてたね……」
「そうだ。補充出来ると分かっているから、今、自宅に置いてある金をかなり使うだろう。使わせてから押さえるつもりで泳がせていた。良かったな、冷夏対策の資金が浮いたぞ」
にやりとかなり悪党顔でラムは笑った。この中で一番悪いのは絶対ラムだ!俺は確信したね。
「さて、邪魔者は消えたし祝杯でもあげようかまた良さそうなのを見繕って……」
「いや、終わってないじゃん。何言ってるのさ」
「……は?」
「文官と武官の不仲だよ。なーんにも進展してないだろ?」
「それはそうだが……」
「何とかなるまで飲み会は禁止!」
「は?!」
怒ったって駄目だろ?!そもそもの問題がどうにもなってないんだから!!
「あ、あと、あと1ヶ月頂ければ!か、必ず!!」
「私は結果を残せぬ無能に慈悲をかけることはない。その顔、不快である。今後一切我が前に立つ事を禁ずる。お前の娘も同様だ。何故またそのような色を纏って現れる?私に対する嫌味か?以前は側妃からの要望で首を刎ねずに返したが今日は我慢ならん」
凍土、一面に凍えた空間。明るい色のラフレシアですら凍りついたような寒々しい部屋の中で、ラムが左手を上げる。
執務室の扉が少し乱暴に開き、親衛隊がバタバタと5.6人駆け込んで来る。
「や?!何を!」
「連れて行け」
「はっ!」
親衛隊はラフレシア……リリシアだっけ?の腕を掴んで身柄を拘束する。
「臭っ」
誰がが思わず漏らすから笑いそうになるが、俺は神妙な顔を頑張ってキープする。
「リ、リリシア!?へ、陛下、娘が何をしたと?!あんなに陛下の事をお慕いしている娘に、なんと言う事を!」
それに答えるのは俺。そう言う手筈だし、ラムは頭に血が昇っている事になっている。
「レジム公爵。皇帝ラムシェーブルの前で赤い服、特に赤いドレスは禁忌だと何故分からぬのですか?皆が知っている事ですよ?」
「え……」
レジム公爵はそんな話知らないと口の中で呟いているが、これは知らない方がおかしい話なんだよな。この人、貴族の間でもボッチにされてたのかな?
「それを何度も犯しておいて、その事で公爵家がお取り潰しになってもおかしくないのに。今日という日まであのような赤いドレスを着用してきては庇いきれません」
朱色とオレンジのドレスは鮮やかな血の色をしていた。本当にラムを苛立たせる天才なのか?と目を疑う程だった。
「そ、そんな……」
がっくりと膝をつくけれど、しょうがないよ。
「お帰りください」
とぼとぼとレジム公爵は帰って行く。自ら蒔いた種ではあるが少し可哀想な気もしてしまう。
「リゼロ」
「はっ!では回収して参ります」
また例の出入り口から手だけにゅっと出てきて、その手にラムは書類を手渡した。
「何の書類?」
「レジム家のもう一つの隠し鉱山とその周りの禁制ギリギリの高価な薬草園の没収司令書だ」
「……ひょ……」
まさか、ラム。レジム家から財産全てをむしり取るつもりで……?
「あの公爵のことだ。鉱山からの収益と高価な薬草を売れば凌げると思っているだろうと踏んでな。あいつの家から大量に金を吐き出させた」
「あ、何度もお金を持ってきてたね……」
「そうだ。補充出来ると分かっているから、今、自宅に置いてある金をかなり使うだろう。使わせてから押さえるつもりで泳がせていた。良かったな、冷夏対策の資金が浮いたぞ」
にやりとかなり悪党顔でラムは笑った。この中で一番悪いのは絶対ラムだ!俺は確信したね。
「さて、邪魔者は消えたし祝杯でもあげようかまた良さそうなのを見繕って……」
「いや、終わってないじゃん。何言ってるのさ」
「……は?」
「文官と武官の不仲だよ。なーんにも進展してないだろ?」
「それはそうだが……」
「何とかなるまで飲み会は禁止!」
「は?!」
怒ったって駄目だろ?!そもそもの問題がどうにもなってないんだから!!
475
お気に入りに追加
7,452
あなたにおすすめの小説
何も知らない人間兄は、竜弟の執愛に気付かない
てんつぶ
BL
連峰の最も高い山の上、竜人ばかりの住む村。
その村の長である家で長男として育てられたノアだったが、肌の色や顔立ちも、体つきまで周囲とはまるで違い、華奢で儚げだ。自分はひょっとして拾われた子なのではないかと悩んでいたが、それを口に出すことすら躊躇っていた。
弟のコネハはノアを村の長にするべく奮闘しているが、ノアは竜体にもなれないし、人を癒す力しかもっていない。ひ弱な自分はその器ではないというのに、日々プレッシャーだけが重くのしかかる。
むしろ身体も大きく力も強く、雄々しく美しい弟ならば何の問題もなく長になれる。長男である自分さえいなければ……そんな感情が膨らみながらも、村から出たことのないノアは今日も一人山の麓を眺めていた。
だがある日、両親の会話を聞き、ノアは竜人ですらなく人間だった事を知ってしまう。人間の自分が長になれる訳もなく、またなって良いはずもない。周囲の竜人に人間だとバレてしまっては、家族の立場が悪くなる――そう自分に言い訳をして、ノアは村をこっそり飛び出して、人間の国へと旅立った。探さないでください、そう書置きをした、はずなのに。
人間嫌いの弟が、まさか自分を追って人間の国へ来てしまい――
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。

それ以上近づかないでください。
ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」
地味で冴えない小鳥遊凪は、ずっと憧れていた蓮見馨に勢いで告白してしまう。
するとまさかのOK。夢みたいな日々が始まった……はずだった。
だけど、ある出来事をきっかけに二人の関係はあっけなく終わる。
過去を忘れるために転校した凪は、もう二度と馨と会うことはないと思っていた。
ところが、ひょんなことから再会してしまう。
しかも、久しぶりに会った馨はどこか様子が違っていた。
「今度は、もう離さないから」
「お願いだから、僕にもう近づかないで…」
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

側近候補を外されて覚醒したら旦那ができた話をしよう。
とうや
BL
【6/10最終話です】
「お前を側近候補から外す。良くない噂がたっているし、正直鬱陶しいんだ」
王太子殿下のために10年捧げてきた生活だった。側近候補から外され、公爵家を除籍された。死のうと思った時に思い出したのは、ふわっとした前世の記憶。
あれ?俺ってあいつに尽くして尽くして、自分のための努力ってした事あったっけ?!
自分のために努力して、自分のために生きていく。そう決めたら友達がいっぱいできた。親友もできた。すぐ旦那になったけど。
***********************
ATTENTION
***********************
※オリジンシリーズ、魔王シリーズとは世界線が違います。単発の短い話です。『新居に旦那の幼馴染〜』と多分同じ世界線です。
※朝6時くらいに更新です。

王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?
いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、
たまたま付き人と、
「婚約者のことが好きなわけじゃないー
王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」
と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。
私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、
「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」
なんで執着するんてすか??
策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー
基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる