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69 それは人徳の差かな
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「更に倍プッシュかぁ」
「何か押されたのか?」
「あー違う違う。レジム公爵だよ。1回目資金投入したけど、全然ダメだったろ?で、2回目も入れだけどまた駄目だった。で、今回3回目」
本当にレジム家が傾く位、お金を使ってる。
「これだけお金がじゃぶじゃぶあれば本来ならあの公爵の思惑通り、何人かは飲みに行ったりパーティを開いたりしたんだろうけど、時期が悪かったんだよなぁ」
「今年の夏のアレか」
「うん。まだ正式発表はされてないけど、みんな、蓄えモードだからね。どこも余計な支出は抑えるよね」
まあ、飲み会をしてもやっぱり気心の知れた仲間と行くだろうから、武官と文官の仲はどうともならなかったろうけど。
「明日で3ヶ月。予想通りの結果だね」
「結果は予想通り。首尾は上々だ」
「レジム家を潰す気なの?」
「明日の返答次第だ」
歴史ある家だったかも知れないけど、まあ仕方がないのかな……。帝国で皇帝の不興を買って生き残れる訳がないし、むしろあの時首を飛ばされなかっただけ優しいとも言える。
「十分に時間はやった。活かせない奴が悪い」
「まあそうだね」
レジム公爵が別の貴族に頼った話も聞かないし、セイリオスに意見を聞きに行ったとも聞いていない。
上手く行けば問題無かったんだろうけど、駄目だった場合自分の過ちを認めて、何とかリカバーしてもらわなきゃ。
それが出来ない奴は「無能」と呼ぶしかない。
「そう言えばあのラフレシア令嬢の元腰巾着の二人が面会を求めてきてるんだ。この後ここに来るよ」
「令嬢が、執務室へ?茶会ではないのか?」
「うん、すぐ済むからって。どうしたんだろうね?」
「レジム家の助命嘆願でもするのか?令嬢同士は仲が良かったのだろう?」
「そうなのかなぁ?」
よく分からないが、約束の時間より少しだけ早く二人は到着した。礼儀に適った良いタイミングだ。
中に通すと二人とも薄い寒色系の色のドレスを纏っている。真っ赤で来るお馬鹿でなくてよかった。
「帝国の太陽、ラムシェーブル皇帝陛下にご挨拶申し上げます」
美しい淑女の礼と完璧な挨拶で二人の令嬢は現れた。ラムはいつも通り
「うむ」
割と素っ気無いがそんなもんなのである。機嫌が悪い訳じゃないんだよね。
「今日は……ディエス様に、た、助けて頂きたく……うっ、うっ、ううぅっ」
「うお?!どうしたの??」
「うわぁーーーん!私、イボガエル男爵の妾なんて嫌ですーー!!」
「私も首切り男爵の妻なんて嫌ですーーー!」
「うっわ!ハード過ぎ!!」
二人は淑女をかなぐり捨てて泣き出してしまったけど、なんか酷い話みたいだぞ?!
「つまり、まともな令息は殆ど婚約者がいるし、地位が高い貴族は第二夫人も埋まってる。夫人を求めているのは訳ありの地方貴族の男爵のみ、ね」
「わ、私達ぃそこまで高望みをしている訳じゃないと思うんです!第二夫人でもいいし子爵家でも良いんです!なんなら商人だって良い!」
「でも流石に侯爵家の娘なので、出来れば貴族が良いのですが、それにしても、それにしてもーーー!」
まあ、俺でもこれは可哀想に思う。彼女達は厳しく躾けられた令嬢なのだ。それを50絡みの変態おっさんにくれてやるのは俺でも気の毒に思う。
「しゅ、修道院に入る事も考えています。でも、出来れば……結婚もしたい、子どもも抱いてみたい……!」
「そうだよなぁー」
彼女達はまだ若いから結婚に美しい願望を抱いているのも当たり前だ。でも皇帝の側妃になろうとしていた二人に今更嫁ぎ先なんてない。もう空いてる男がいないんだから。
「あ」
空いてる、男。
「なあ、二人とも。もし、もしだよ。結婚相手が俺だったらどうする?」
「え?ディエス様ですか?喜んで……」
なんかラムから鋭くて痛い視線が飛んできている気がするけど、例え話だっうーの!
「でも俺ってさ、皇帝の側妃じゃん?結婚しても奥さんに構えないだろ?なんか束縛の強い皇帝に捕まって家に帰れないかも知れないし、夫婦らしい事しないかも知れない」
二人は少しだけ考えてから
「絶対にない話だと理解していますが」
と、ラムの視線を気にしてから続けた。
「それでも間違いなくありがたいお申し出で、絶対に受けます。まず、高い地位が約束されますもの。そして生活の安定と自分の身の安全も。子供は出来ないかも知れませんが、養子を取らせて頂ければ」
「お爺さんになりかけのカエル親父じゃなければ!もう!もう!!」
そっか。身分の安定、自分の安全。大事な事だね。
「ラム、これだよ」
「浮気か?」
「ちげーーーよ!!!」
二人の前で何言ってんの?!
「正直、相手の愛は無理かもしんない。子どもも微妙かも。でも地位と安全は約束される。清楚な格好で来て。茶会を開こう」
「女神ーーー!!」
「俺、男だよ?!」
落ち着くと良いなぁ。
「何か押されたのか?」
「あー違う違う。レジム公爵だよ。1回目資金投入したけど、全然ダメだったろ?で、2回目も入れだけどまた駄目だった。で、今回3回目」
本当にレジム家が傾く位、お金を使ってる。
「これだけお金がじゃぶじゃぶあれば本来ならあの公爵の思惑通り、何人かは飲みに行ったりパーティを開いたりしたんだろうけど、時期が悪かったんだよなぁ」
「今年の夏のアレか」
「うん。まだ正式発表はされてないけど、みんな、蓄えモードだからね。どこも余計な支出は抑えるよね」
まあ、飲み会をしてもやっぱり気心の知れた仲間と行くだろうから、武官と文官の仲はどうともならなかったろうけど。
「明日で3ヶ月。予想通りの結果だね」
「結果は予想通り。首尾は上々だ」
「レジム家を潰す気なの?」
「明日の返答次第だ」
歴史ある家だったかも知れないけど、まあ仕方がないのかな……。帝国で皇帝の不興を買って生き残れる訳がないし、むしろあの時首を飛ばされなかっただけ優しいとも言える。
「十分に時間はやった。活かせない奴が悪い」
「まあそうだね」
レジム公爵が別の貴族に頼った話も聞かないし、セイリオスに意見を聞きに行ったとも聞いていない。
上手く行けば問題無かったんだろうけど、駄目だった場合自分の過ちを認めて、何とかリカバーしてもらわなきゃ。
それが出来ない奴は「無能」と呼ぶしかない。
「そう言えばあのラフレシア令嬢の元腰巾着の二人が面会を求めてきてるんだ。この後ここに来るよ」
「令嬢が、執務室へ?茶会ではないのか?」
「うん、すぐ済むからって。どうしたんだろうね?」
「レジム家の助命嘆願でもするのか?令嬢同士は仲が良かったのだろう?」
「そうなのかなぁ?」
よく分からないが、約束の時間より少しだけ早く二人は到着した。礼儀に適った良いタイミングだ。
中に通すと二人とも薄い寒色系の色のドレスを纏っている。真っ赤で来るお馬鹿でなくてよかった。
「帝国の太陽、ラムシェーブル皇帝陛下にご挨拶申し上げます」
美しい淑女の礼と完璧な挨拶で二人の令嬢は現れた。ラムはいつも通り
「うむ」
割と素っ気無いがそんなもんなのである。機嫌が悪い訳じゃないんだよね。
「今日は……ディエス様に、た、助けて頂きたく……うっ、うっ、ううぅっ」
「うお?!どうしたの??」
「うわぁーーーん!私、イボガエル男爵の妾なんて嫌ですーー!!」
「私も首切り男爵の妻なんて嫌ですーーー!」
「うっわ!ハード過ぎ!!」
二人は淑女をかなぐり捨てて泣き出してしまったけど、なんか酷い話みたいだぞ?!
「つまり、まともな令息は殆ど婚約者がいるし、地位が高い貴族は第二夫人も埋まってる。夫人を求めているのは訳ありの地方貴族の男爵のみ、ね」
「わ、私達ぃそこまで高望みをしている訳じゃないと思うんです!第二夫人でもいいし子爵家でも良いんです!なんなら商人だって良い!」
「でも流石に侯爵家の娘なので、出来れば貴族が良いのですが、それにしても、それにしてもーーー!」
まあ、俺でもこれは可哀想に思う。彼女達は厳しく躾けられた令嬢なのだ。それを50絡みの変態おっさんにくれてやるのは俺でも気の毒に思う。
「しゅ、修道院に入る事も考えています。でも、出来れば……結婚もしたい、子どもも抱いてみたい……!」
「そうだよなぁー」
彼女達はまだ若いから結婚に美しい願望を抱いているのも当たり前だ。でも皇帝の側妃になろうとしていた二人に今更嫁ぎ先なんてない。もう空いてる男がいないんだから。
「あ」
空いてる、男。
「なあ、二人とも。もし、もしだよ。結婚相手が俺だったらどうする?」
「え?ディエス様ですか?喜んで……」
なんかラムから鋭くて痛い視線が飛んできている気がするけど、例え話だっうーの!
「でも俺ってさ、皇帝の側妃じゃん?結婚しても奥さんに構えないだろ?なんか束縛の強い皇帝に捕まって家に帰れないかも知れないし、夫婦らしい事しないかも知れない」
二人は少しだけ考えてから
「絶対にない話だと理解していますが」
と、ラムの視線を気にしてから続けた。
「それでも間違いなくありがたいお申し出で、絶対に受けます。まず、高い地位が約束されますもの。そして生活の安定と自分の身の安全も。子供は出来ないかも知れませんが、養子を取らせて頂ければ」
「お爺さんになりかけのカエル親父じゃなければ!もう!もう!!」
そっか。身分の安定、自分の安全。大事な事だね。
「ラム、これだよ」
「浮気か?」
「ちげーーーよ!!!」
二人の前で何言ってんの?!
「正直、相手の愛は無理かもしんない。子どもも微妙かも。でも地位と安全は約束される。清楚な格好で来て。茶会を開こう」
「女神ーーー!!」
「俺、男だよ?!」
落ち着くと良いなぁ。
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