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57 やったね!お小遣い

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 あれからハインツの報告書は4枚増えたけれど、案の定レジム公爵は全く動いていない。任せたからにはその期間はこちらから積極的に動くことは出来ないので

「やっぱり3ヵ月は長すぎたんじゃない?」

「そうだな」

 ちょっと失敗だった。報告書には「ラフレシア嬢が凄い、香水を何でも足せばいいと思っているらしく3種類同時に使っている」とか「鼻が麻痺して大変」とか本当にどうでもいい事が書かれている。

「ラフレシア嬢は本当は濃い茶色の髪の毛なんですが、どうでも自分の事を「レジム家の金の百合」と自分で言っているらしくて、金髪として表に出ているんですよ。何か薬品で髪の毛の色を抜いて?いるらしくて、その刺激臭が酷いし、どうも髪の毛が痛むらしくて。手入れをしてもパサパサでプチプチ切れるとか」

「本気でどうでもいい情報だね」

「そしてですね「ハインツ様はぁ~陛下に報告書を持って行かれるんですよねぇ~?」って気持ち悪いんです!」

 予想通り過ぎて驚くね。

「で、それになんて答えたの?ハインツは」

「そりゃあ……「そうです」って答えましたけど」

「ばっかもーーーん!」

「ぴゃー!!」

 俺は今日も元気にハインツに説教だ。

「ハインツは素直すぎる!そこはちゃんと牽制して自分は婚約者がいて仲良くしてて関係も良好だとそれとなく言ってラフレシアを言葉で殴るんだ!」

「ひ、ひえ!わ、私にはそんな事出来ません!」

 馬鹿か?!

「良いか?中途半端に接するとああいう輩は訳の分からない勘違いの上に独自論法を重ねてくる!どうなるか?「ハインツはラフレシアの事を好きだ、今の婚約者は捨てる」って噂流されるぞ!!」

「う、嘘ですよね?!ディエス様……?!」

「いーや、ある、絶対ある!ラムに取り入れなかった時の保険としてお前を取り込んでくる。それを阻止するのはお前が婚約者とラブラブなのを見せつけておく必要がある!ハインツはそこまで考えないと駄目なんだ!分かったか??」

「ひゃいぃ……あのお化け女に迫られるなんて怖すぎるぅ……」

 泣いてる場合じゃないぞ!!

「全く……そろそろあの公爵が予算を上げてくる頃だろうけど、まぁ許可は出ないだろう。ハインツはアドバイスしなくて良いからな?本当に見てるだけだからな??」

「はいっ!それは分かってます!「私は若輩ですから、閣下に学ばせて頂いております」で、何も言いません!」

「うん、それで良いよ!」

 そっちは大丈夫そうだ。

「あ、レジム家、どこかに土地を隠してるっぽいです。多分鉱山だと思いますよ」

 ほう!やるな、ハインツ!

「良くやった!偉いぞー、ハインツー!」

「やったぁ!褒められた!!」

 なんだかワンワン!と鳴きそうだな、ハインツ!

「リゼロ、調べてこい」

「はっ」

 俺とハインツが上手に「取ってこい」が出来た犬と飼い主みたいにはしゃいでいる横でラムが的確に指示を出していた。早いなぁ!

 一週間くらいでリゼロは調べ上げて、更に10日位で隠し鉱山を押さえて来た。

「野盗の根倉になっていた廃鉱山を解放した」

 と、言う名目で国庫に組み込まれたけれど

「利益の10%はハインツの個人財産に、10%はディエスの個人財産に組み込んでおく」

「やったーーー!」

 俺達は丸儲けで、レジム家は大損だ。

 何せ隠し鉱山だったから、その鉱山がレジム家の物とは言えない。いくら自分の領内にあっても、今まで納めるはずの税をちょろまかしたんだからね。

「わ、我が領にあります故、わ、私が管理致します……」

「いえ、見つけたのは皇帝麾下の部隊ですから、こちらの管理部できちんと管理させていただきます」

 と、全権ぶんどった。あーあ、ちゃんと申告してりゃ良かったのに。

 この事件の後から貴族達が実は自分の領内にも鉱山がありましたと申告して来たから追徴課税で許してやった。





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