【完結】廃棄王子、側妃として売られる。社畜はスローライフに戻りたいが離して貰えません!

鏑木 うりこ

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22 足し算とか、出来ます

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「何だこの美辞麗句ばかり並べて本題が遥か彼方の巻物は。捨てろ」

「……しかし侯爵家からの報告書で」

「箇条書きって言葉を知らないのか。厨房のフライパンの決済書まで皇帝の執務室に持ってくんな!」

「だが……」

「うるさい!そんなんだから仕事が片付かなくて家に帰れないんだ!」

 バン!俺は平たい浅い箱を探し出す。A5って感じの箱だ。

「今日からこの箱に入る書類だけ、決済しろ!巻物とか訳の分からんのは要点を誰かに書き直させろ!」

「それでは順番に決済出来ないぞ」

「きちんとした書類で出せば早く決済して貰えると周知しろ!」

「お、おう……」

 きれいに積み上がっているならまだしも訳の分からん箱に入っている書類、模様や透かしが入っているが日々の挨拶が何枚にも渡って書き連ねられている書類を全部下の書記官に下げ渡す。

「下らない……下らない書類ばかり!」

 半分以上書類が無くなった。仕事をなんだと思ってるんだ?!

「ディエス、お前仕事出来たんだな……」

「これくらい最低限だろう……何を言っているんだ?」

 一々こんなでは俺のスローライフはいつになるか分からないじゃ無いか!

「……それにしても書類が統一されていれば確かに見やすいし、数もこなしやすいな」

「当たり前のことを言うな」

 書式も何もなってない物ばかりだぞ?どうなってんだ??それにしても……。

「おい、ラム。この金額、ミスばかりだが架空請求してるのか?」

「ふむ?ミルダウ伯爵の書類か……清廉な人のはずだ……ただの計算間違いだろう?」

「こんな金額がミスの書類を普通の顔で提出してくるのか?!あり得ないだろう?!電卓……ええい!最低でも算盤そろばん持ってこい!!」

「ディエス、ソロバンってなんだ?」

「うぎゃーーー?!異世界ぃーーー!」

 その後はラムに算盤がなんなのか、どう言うものか説明して終わってしまった。

「玉が上下に?結構小さいな。木製か?」

「そうだ、仕切りを入れて木の棒で繋いで……作れそうか?」

「多分。おい誰か!」

 ラムが呼べば人が来て、俺が書いた算盤の図面を恭しく持っていく。

「それで計算すると?」

「あ、ああ。コツがいるが慣れれば問題ないはずだ」

「ふうん?」

 まあ仕方がないからその日は数字が間違った書類を筆算で計算し直した!くそ面倒くさい!

「ディエス、お前計算できるんだな」

「は?当たり前だろう……」

 え?もしかして俺が入る前のディエスは足し算引き算が怪しかったのか……嘘だろう??いやいやそんな馬鹿なと思いつつも誰もが知る無能だったらしいから、怪しいなぁとちょっと絶望した。

 
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