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19 社交辞令でも言っとくよ

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「や、やめ……」

「良いぞ、啼け」

「や……んんっ!!」

 リズムよく打ち付けられる腰に薬なのか油なのか精液なのかよくわからない粘液がぐちゃぐちゃと絡み合う中。俺はもう訳が分からない。

「ラム、らむ……こわい、やだ、こわい……っおく、おかしい、おくぅ……っ!」

「そうか、この奥か、お前のイイ所は!」

 自分では絶対に届かない体の奥がごそごそと焦れている。ココを何でもいい、何かでかき混ぜて欲しい今すぐに!

「あああっ!ソコ、ソコ、そこーーーあ、ひ」

 ズン!と欲しい場所に欲しい刺激がやってきて俺は手近にあったものに力いっぱいしがみついた。

「い、いひゃああっっ!」

「っ、締まる……ッ」

 汗ばんで少し滑るラムの背中に思いっきり爪を立て、意識が霧散していく。あ、ああ……頭が快楽物質に乗っ取られ、何も考えられない……。白い白い中に溶けていくーーーーー。


「ううう……何か大事なものを失った気がする……」

「もう少し嫌がって痛がって泣くかと思ったんだがなぁ」

 ラムは優しいのか優しくないのか分からないが、俺が生きている間はどうもこいつと付き合っていかなければならないようだ。

「あー……一人で生きれるようになるまでよろしくお願いします……」

「とりあえずディエスの事は気に入っている。まあ仲良くやって行こう」

 握手でもしたい気持ちになったが、何とかいがみ合わずにやっていきたいものだ。

「ところでもう一回……」

「嫌だ!尻が割れる!ぢになる、断る!!」

「大丈夫、良い薬あるからな……」

「やめろ、足を持つな!うわーーーっ!あぅんっ」

 足を引かれれば、こっちに抵抗できる力はない。ずるずると引き寄せられて、緩みに緩んだ尻穴に押し当てられた先っぽを何の苦も無く飲み込んでしまう。

「あ、ああ、あああ……」

 ゆっくり押し込まれて、最後まで体の中に挿入されてしまう。ぞわぞわして気持ちが悪いこの感覚は好きになれそうもない。

「ディエス」

「ひぃ……な、なに?」

「私はお前の事を好きになる。だからお前も私の事を好きになれ」

 こいつ何を言ってるんだ?と頭を叩きそうになったが……やめた。内容はどうかしているが、言葉に重みがあったからだ。

「この国の正妃は皇帝と並び立つものではない。私は隣に立つ者が欲しいんだ」

 皇帝の責務はやはり大きいんだろう。ラムだって人間だから、一人でそれを背負うには辛い事もあるだろう、でも。

「突っ込んでから、言う事じゃないぃ~!」

「こうしておけば逃げられないじゃないか」
 
「酷!」

 それでも奥の方がきゅっと刺激を求めるから、すっかりコレが気持ちが良い物と覚え込まされてしまった気がする。

「……俺の事を好きになるのか?ラム。正妃様はどうするんだ?」

「ソレイユとはそう言う関係じゃないんだ……彼女は「正妃」だからな……」

「そういうしきたり、なんだっけ」

 皇帝と正妃は並び立つものでもないし、苦労を分け合うものでもない。

「ああ。おかしいと思う事もある。だがそうやってこの国はやって来た……変えることはソレイユが望んでいない」

「……そう」

 正妃本人が望んでいない事を強要するのは良くない。絶対に反発と混乱が起こるだろう。帝国はそれを望まないし、ラム本人も混乱は望んでいない。

「ディエスの見た目は気に入っているし、体も良い。出来る事ならその心も欲しいんだ」

「……前向きに検討してみるよ」

 社交辞令でも言っとくよ。


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