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15 多分そう言う事じゃない

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 心身ともに衰弱していた。見知らぬ場所に連れていかれるからではない。「側妃」として召し上げられるからでもない。

「……ぎぼぢわるい……」

 コルセットによる締め上げと、過度のダイエットの上に馬車での長距離移動で顔色は常に青く、ちょっとの事で気を失う「深窓の令嬢」ようなことになっていた。
 やっとの事で南の帝国へ着いた時は気を失ったままだったので、そのまま何を見るわけでも触る訳でもなく側妃の宮に入れられてしまった。

「……あれ?」

 気が付くと見知らぬ天井の綺麗なベッドの上に乗せられていて、服は真っ白な花嫁衣装に替えられている。

「……ドレスこれいるかぁ?」

 相手は何故か知らんが男である俺を所望しているんだ、いらんだろ!

「悪くないぞ、よく似合っている」

「ん?」

 男の声がした。聞いた事がない声だが、まだ若さを感じさせる。ああ、この部屋に入る事が出来る男。そうだ、俺を買った皇帝は確か26.7のまだ若い権力者だったな。

「初めまして、我が新たなる花嫁よ」

「……どうも」

 俺は初めて旦那様に会った訳だ。

「もっと嫌だと喚かないのか?」

「喚いたら何か変わるのか?と言うか……大きな声が出せないんだ……苦しくて」

 ウエストがぎゅっとしまった作りのドレスだ。内臓が出そうなくらい締め上げられていて、気持ち悪い。

「そうか」

 男はゆっくりとした足取りで近づいてくると、でかいベッドに腰を下ろした。

「脱がせてやろう」

「複雑な気分だけど頼む」

 
「ひ」

「力を抜け」

「む、無理」

 脱がすなら全部脱がせ、なんて思ったが中々マニアックな脱がされ方をしてベッドに転がされた。靴下とガーターベルト残すな阿呆!

「痩せ過ぎだ」

「仕方がないだろう?痩せろって飯を食わせて貰えなかったんだから」

 前から細かったディエスの体は更に痩せて骨張っている。誰だよ、細い方が良いなんて言い出した奴は。

「明日から好きなだけ食う事を許そう。このままでは抱き心地が悪い」

「男に抱き心地を求めるな」

「我が国では普通だぞ?」

 そういえば俺はこの帝国について何も勉強してないな。良いのか?でもディエスは無能だから何を教えても無駄、せめて見た目だけでも整えようと躍起になったって事なのかな?

「挙式はせん」

「その方が有難い」

 見世物になるのは嫌だからな。

「では、花嫁との初夜にやる事は分かってるな?」

「……白い結婚で良いぞ?」

 俺、知ってる。そう言うのもあるんだろ?

「それはない。肉欲を満たす為の側妃だ」

「ひぃ!」

 そして悲鳴をあげる寸前なのだった。

「あまり叫ばぬ方が良い。見届け人が嫌な顔をする」

「そ、そんなのいるのか?!」

「6名ほどな」

「多いっ!!」

 だがそう言うものだと言われれば、そうですか、と言うしかない。

 ぐり、と押しつけられた先端がミシリと音を立てる気がする。これ絶対痛い奴……!





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