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11 半年で終わってしまったスローライフ、詐欺案件?

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「ディエス様」

「ん」

 ジェイデンの苦しい告白を一緒に聞いていたランスが口を開いた。

「私も貴方に生きて欲しいと思う。だから……どんなに酷い命令でも受けて、ここから、この国から逃げて欲しい。体を売ってでも」

「……ランス……」

 沈んだ空気を壊す様にランスは続ける。

「ディエス様はさぁ~見た目は良いんだから、エロ親父に尻でも振って殺すより可愛がった方が特だって思われりゃ良いんですよ!」

「ランス、お前が言うとなんだか説得力あるね」

「でしょー?だぁからこの私がエロジジィを籠絡するテクニックをその可愛いケツに教え込んでやろうって毎日お誘いしてたのにぃ~」

 そうだったのかー……絶対違う気がする。

「教えて貰う貰わないはさておきとしてもどんなことをするかは気になるかなぁ?」

「そりゃぁもう!じっくりねっぷり奥の奥まで咥え込んでアンアン言わすに決まってるじゃないですかーー!」

 やだなぁ……。



 そして代わりの目つきの鋭い騎士が一人来て、ジェイデンとランスは帰って行った。

「……半年だけかよ、スローライフ。ちょっと詐欺案件じゃねぇ?社畜神よ」

 あんたの言い方だと、一生ここで寿命までのんびり出来そうだったのに。もう終わりなのな?スローライフも俺の人生も。

 でも、俺はここで死にたくないな。なんとなくこの世界も楽しくなって来た。何せ魔法があるんだもん、今はマッチくらいだったり、水がコップの底にちょびっとだったりドライヤーくらいだったりだけど、いつか天地揺るがす大魔法を使えるかも知れないし。
 そして多分、俺が処分されれば……マーキスとクリスも処分される。俺の事をよく知りすぎた騎士、しかも扱い難いお堅いマーキスと平民出で後ろ盾がないクリス。
 この町の人や屋敷の執事くらいは大丈夫かも知れないけど……できる事なら助けてやりたい。見知った顔が死ぬなんて俺はゆっくり眠れなくなりそうだ。

「……この国を出る、か」

 別にこの国に思い入れはない。ディエス本人なら生まれ育った国、祖国と言う認識があるのかも知れないが俺にはないからなー。

「どんな酷い案件でも受けろ、か」

 体を売ってでもってランスは言ってたけどあんまり酷い事にはなりたくないんだけどなぁ。

 そう思っていたけど、新しく来た騎士のスレインの目が余りに鋭過ぎて居た堪れなくなってくる。

「おい!ディエス様は仮にも護るべき方だぞ!忘れるな!」

「……分かってますよ」

 スレインは俺が嫌いだと言う態度を一切崩さない。

「……なんかスレインの奴、ディエス様に斬りかかりそうな気がして怖いです」

 クリスにまでそう言われている。本当にスレインは殺気を隠そうとしないんで、ここに来てから最高に居心地は悪いし、ゆっくり寝れないし……。もはやスローライフじゃなくなっていた。




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