1 / 139
1 空前絶後の絶対☆社畜マン・死す!
しおりを挟む
「レーツィア!お前の顔は見飽きた!お前とは婚約破棄し、代わりに愛しいミリアーヌを私の婚約者とする!」
「本当によろしいのですね?ディエス様」
これを皮切りに行われた断罪劇があった。正義は婚約破棄された令嬢側にあり、周囲の評価通り無能な王太子は誘惑してきた男爵令嬢と共に闇に葬られた。
元王太子ディエスの弟エイダンがいた為、国は滅びはしなかったが、大打撃を受けた、そんな事件。
「ないわー……ない……」
廃嫡され、地方の小さな領地に「療養」に出される元王太子ディエス。護衛という名の見張りに囲まれ、彼はこれから一生田舎の片隅で小さくなって暮らしていかねばならない。
「なんでそんなヤツに転移させられんの……」
ガタゴトと逃げ出せないように鍵までかけられた馬車で1人揺られているのはディエス……の中の人、地球では「田中和志」と呼ばれていた一匹の社畜である。
空前絶後の絶対⭐︎社畜マン「田中和志」はタイムカード上は10連勤、実質は60連勤の末、駅のベンチで心臓発作を起こし死んでしまうと言うそれはそれは現代的な死に方をした。
「ああ、生まれ変わったら片田舎でスローライフを送りながらゆっくり暮らしたい……」
彼の最後の呟きは神に聞き届けられたのだ!
「と、言う訳で。片田舎でのスローライフ、ご用意出来ました!」
「……怪しいです」
死んだ和志は金髪の美形な神様の前に立っていたけれど、絶対⭐︎社畜マンの嗅覚はこの神様の言葉のきな臭さをビンビンに感じ取っていたのだ。
この美形神、社畜臭がする!と。
「……分かりました。ざっくり言います。貴方の転移先は断罪され、廃嫡されて島流しの元王太子です!」
「チェンジで」
「もう決定事項です」
「ぬおおおおーー!」
美形だが目の下のクマを隠しきれない神様は疲れたと言いながら、いつのまにか現れた椅子にぐったり身を預ける。死ぬ直前の和志そっくりである。この人死ぬんじゃないかと少しハラハラしてしまう、生きてた。
「私の上司が「悪役令嬢ざまぁ断罪モノ」が好きで好きで堪らない人なんです。会社でもいるでしょう?横暴なんだけど、仕事出来る奴、それなんです」
「あーーー……しんどい」
2人はため息をこれでもかと吐き出す。
「で、その断罪された馬鹿王子の魂なんですけど……反省を促す前に次へ持っていっちゃったんです!あの馬鹿上司は!!」
「はあ?」
社畜神の言う事には、馬鹿王子の魂は別の世界に送り込まれ、また新たなる断罪劇を繰り返すのだそう。
「反省する前に連れてくんですよ!酷くないですか?!だからざまぁは減らない!あーもーー!」
「あーご苦労様です……」
和志は神様に心底同情してしまった。
「本当によろしいのですね?ディエス様」
これを皮切りに行われた断罪劇があった。正義は婚約破棄された令嬢側にあり、周囲の評価通り無能な王太子は誘惑してきた男爵令嬢と共に闇に葬られた。
元王太子ディエスの弟エイダンがいた為、国は滅びはしなかったが、大打撃を受けた、そんな事件。
「ないわー……ない……」
廃嫡され、地方の小さな領地に「療養」に出される元王太子ディエス。護衛という名の見張りに囲まれ、彼はこれから一生田舎の片隅で小さくなって暮らしていかねばならない。
「なんでそんなヤツに転移させられんの……」
ガタゴトと逃げ出せないように鍵までかけられた馬車で1人揺られているのはディエス……の中の人、地球では「田中和志」と呼ばれていた一匹の社畜である。
空前絶後の絶対⭐︎社畜マン「田中和志」はタイムカード上は10連勤、実質は60連勤の末、駅のベンチで心臓発作を起こし死んでしまうと言うそれはそれは現代的な死に方をした。
「ああ、生まれ変わったら片田舎でスローライフを送りながらゆっくり暮らしたい……」
彼の最後の呟きは神に聞き届けられたのだ!
「と、言う訳で。片田舎でのスローライフ、ご用意出来ました!」
「……怪しいです」
死んだ和志は金髪の美形な神様の前に立っていたけれど、絶対⭐︎社畜マンの嗅覚はこの神様の言葉のきな臭さをビンビンに感じ取っていたのだ。
この美形神、社畜臭がする!と。
「……分かりました。ざっくり言います。貴方の転移先は断罪され、廃嫡されて島流しの元王太子です!」
「チェンジで」
「もう決定事項です」
「ぬおおおおーー!」
美形だが目の下のクマを隠しきれない神様は疲れたと言いながら、いつのまにか現れた椅子にぐったり身を預ける。死ぬ直前の和志そっくりである。この人死ぬんじゃないかと少しハラハラしてしまう、生きてた。
「私の上司が「悪役令嬢ざまぁ断罪モノ」が好きで好きで堪らない人なんです。会社でもいるでしょう?横暴なんだけど、仕事出来る奴、それなんです」
「あーーー……しんどい」
2人はため息をこれでもかと吐き出す。
「で、その断罪された馬鹿王子の魂なんですけど……反省を促す前に次へ持っていっちゃったんです!あの馬鹿上司は!!」
「はあ?」
社畜神の言う事には、馬鹿王子の魂は別の世界に送り込まれ、また新たなる断罪劇を繰り返すのだそう。
「反省する前に連れてくんですよ!酷くないですか?!だからざまぁは減らない!あーもーー!」
「あーご苦労様です……」
和志は神様に心底同情してしまった。
457
お気に入りに追加
7,263
あなたにおすすめの小説
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
心からの愛してる
マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。
全寮制男子校
嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります
※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
雫
ゆい
BL
涙が落ちる。
涙は彼に届くことはない。
彼を想うことは、これでやめよう。
何をどうしても、彼の気持ちは僕に向くことはない。
僕は、その場から音を立てずに立ち去った。
僕はアシェル=オルスト。
侯爵家の嫡男として生まれ、10歳の時にエドガー=ハルミトンと婚約した。
彼には、他に愛する人がいた。
世界観は、【夜空と暁と】と同じです。
アルサス達がでます。
【夜空と暁と】を知らなくても、これだけで読めます。
随時更新です。
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる