【本編完結】作られた悪役令息は断罪後の溺愛に微睡む。

鏑木 うりこ

文字の大きさ
上 下
54 / 54
ボクが悪役令息?!

7 ボクは幸せになったよ!

しおりを挟む
 ボクはそうやって殿下の婚約者に戻して貰えたし、今でも令嬢達とはバチバチやりながら切磋琢磨している。

「ほーーーっほっほっほ!新しいスィーツを嗜んでいないとはアメシス様は遅れていましてよおお!」

「うるさい、ボクは最近水路の図面書きに忙しいの!そんなこと言ってると君んちの領に水路通さないからね」

「そう思って買ってきて差し上げましたわよ」

「水路作っとくね」

 こんな利権の混じったお茶会をしてみたり

「わ、わたくしの婚約者が浮気をしているようなのでございます!」

「紫の探偵団の出番ですわ!!」

 悪行を重ねる浮気者を成敗したり大忙しだった。

「ん、むふっ!」

「ふふ、今日は大人しいね」

「私だって公式の場では大人しく立っていることくらいできますよ」

「偉い偉い」

 殿下と一緒に国の要人をお迎えしたり、外交のお手伝いや書類整理のお手伝いもするようになった。外国語もたくさん覚えて、おしゃべりできるようになると優しい言葉をかけられることも増えて来た。
 それに正式に王太子の婚約者になったことで、セーイロンとかダジリーンからも少しならばとお茶の輸入も可能になって、クレスト家のルーカスに頼んで販売ルートも作って貰った。

 そしていい時期を見計らって殿下と結婚式をするんだ!アラン達も呼びたいからアランの赤ちゃんがそこそこ大きくなった頃が良いなって殿下に話をしたら「とても素敵だね」って褒めて貰えた。褒めてもらえるご褒美付きならいっぱい相談しなくちゃねって思ったのは内緒だぞ。


 結局ボクと殿下は2年後にめちゃくちゃ派手な結婚式をした。国内外からたくさんお客様を呼んで、皆お祝いしてくれたんだけど。

「ねー……アラン。呼ぶから少しは間を空けてねって言ったよねぇ?」

「で、でも……出来ちゃうんだもん……皆可愛いし……!」

 アランはまたお腹がぽんぽこして来てる。1人目のメイナート、2人目のジェリンナそして3人目だよ?!早くない?!?!ほんとあんまり揺れない馬車を開発しといて良かった!
 流石にボクはタングストン公爵を睨んだね!

「こ、これでもちゃんと期間を空けてるんだよ??」

「嘘だーーー!がっつくケダモノがいるんだーーーー!」

 ぎろり!ってしたけどあんまり効いてないみたい!ムキャーーー!後で殿下に相談だ!!

「アメシス、今日の主役がそんな顔しちゃ駄目だよ。もっと笑って、可愛らしく、ね?」

「えっ!やだ、ボク変な顔してた?!うわー、笑顔笑顔!」

「そうそう」

 アランに言われてボクは眉間の皺を伸ばした。そうだそうだ、今日は怒ってる場合じゃないんだ!

「じゃあ、行って来るね!」

「うん」

 ボクは笑顔で殿下の元に向かう。お父様が涙と鼻水まみれで待っててくれた。

「アベジズゥゥウきでいになっでぇぇ!マリーデルにもみぜだがっだぁあ!」

 マリーデルはボクの死んだお母様。お母様はボクが6歳の時に死んじゃったんだ。因みにボクはお母様似だから、お母様はとっても綺麗な人だったよ。

「もー!ちゃんとしてよ、お父様!殿下の所までボクを連れてってくれなきゃ困るんだからね!」

「うえええええ……」

 ボクは男の子だけど、ドレスを着せてもらった。真っ白なウエディングドレスであちこちに紫のバラが飾られている凄く綺麗で豪華なやつ!
 この紫のバラは王妃様が配合したバラで名前は「ディアアメシス」って付けてくれたんだ。へへへ、嬉しいな。そう言えばこの国で咲かなかった水色のはアランの国に持っていったら咲いたみたい。

「あれはネージュでなければ花開けぬものだったのね。ならば向こうにお任せしましょう。我が国には紫があれば良いもの」

 そんなことを言ってくださったので、ボクは王妃様にも許して貰えたみたいだったし、大切に育てたバラをこんなにいっぱいくれた。きっと言葉以上にボクのことを気に入ってくれてるみたい。

 そして扉が開かれて、キラキラ輝く教会の通路の先に殿下が笑顔で待っててくれる。

「シス……アメシス……!」

「殿下……サフィールさま……!」

 ゆっくり歩いてボクは殿下の手を取った。

ボクは幸せになったよ!!



 おしまい!


しおりを挟む
感想 94

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(94件)

キース
2024.06.24 キース

アメシスは反省してから良い子になりましたね。殿下も愛があったから持ち直して良かった
転生者は貴族の世界には疎くとも文明人ですからね。知識は豊富で賢いから強みですね

解除
HALU
2023.02.21 HALU

 素晴らしい世界観の御話を描いてくださって
ありがとうございます♬皆ハピエン最高&嬉しいです!!

言葉にならぬ喜びです♪ヾ(。>﹏<。)ノ゙✧*。(*´∀`*)

  願い事が叶うならば〜アラン&アメシスの
「子ども1人ひとりの出産編〜子育て編」と、
「アラン&アメシスの子ども達の〇〇な話シリーズ」
とか…。他キャラの恋路ストーリーも興味津々で
読んでみたい〜です(/ω・\)チラッ


応援しています♪

解除
海
2023.02.16
ネタバレ含む
鏑木 うりこ
2023.02.16 鏑木 うりこ

お読みいただきありがとうございます!
 番外編を書こうと思いつつ書けずにいた所でした(;´д`)きっと殿下は違和感を覚えたりしていたんでしょうね。二人の温度差があり過ぎるから( ´∀`)

解除

あなたにおすすめの小説

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

運命の番はいないと診断されたのに、なんですかこの状況は!?

わさび
BL
運命の番はいないはずだった。 なのに、なんでこんなことに...!?

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

婚約破棄?しませんよ、そんなもの

おしゃべりマドレーヌ
BL
王太子の卒業パーティーで、王太子・フェリクスと婚約をしていた、侯爵家のアンリは突然「婚約を破棄する」と言い渡される。どうやら真実の愛を見つけたらしいが、それにアンリは「しませんよ、そんなもの」と返す。 アンリと婚約破棄をしないほうが良い理由は山ほどある。 けれどアンリは段々と、そんなメリット・デメリットを考えるよりも、フェリクスが幸せになるほうが良いと考えるようになり…… 「………………それなら、こうしましょう。私が、第一王妃になって仕事をこなします。彼女には、第二王妃になって頂いて、貴方は彼女と暮らすのです」 それでフェリクスが幸せになるなら、それが良い。 <嚙み痕で愛を語るシリーズというシリーズで書いていきます/これはスピンオフのような話です>

魔法学園の悪役令息ー替え玉を務めさせていただきます

オカメ颯記
BL
田舎の王国出身のランドルフ・コンラートは、小さいころに自分を養子に出した実家に呼び戻される。行方不明になった兄弟の身代わりとなって、魔道学園に通ってほしいというのだ。 魔法なんて全く使えない抗議したものの、丸め込まれたランドルフはデリン大公家の公子ローレンスとして学園に復学することになる。無口でおとなしいという触れ込みの兄弟は、学園では悪役令息としてわがままにふるまっていた。顔も名前も知らない知人たちに囲まれて、因縁をつけられたり、王族を殴り倒したり。同室の相棒には偽物であることをすぐに看破されてしまうし、どうやって学園生活をおくればいいのか。混乱の中で、何の情報もないまま、王子たちの勢力争いに巻き込まれていく。

誰よりも愛してるあなたのために

R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。  ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。 前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。 だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。 「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」   それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!  すれ違いBLです。 初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。 (誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります)

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版) 読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭 1/27 1000❤️ありがとうございます😭

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。