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ボクが悪役令息?!
5 悲しい、でも後悔はしてない
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「お、お父様!?アラン、まだ赤ちゃんが産まれてないの!?どうして黙ってたの!!」
「お前に伝えれば、必ずアランに会いに行くというだろう!婚約者選抜試験はもう3日後なんだ。ネージュ国まで行って3日で帰って来れる訳がない!選抜試験をすっぽかせばそれこそサフィール殿下の婚約者に戻れないんだぞ!」
「だからって……!もういい!!!」
「やめろ、アメシス!!お前が行ったからと言って予定日が過ぎているアランの子が生まれる訳じゃない!大事な選抜試験を捨ててまで行くことじゃない!」
お父様は必死でボクを止める。でも、そうじゃないんだ、アランが、ボクのおにいちゃんが困ってるんだ!ボクが行かずに誰が行く!!
「駄目!ボクが行かなきゃ駄目な気がする、ボクが行かなきゃアランが死んじゃう気がするんだ!!殿下は分かって下さる……!」
ボクは高速馬車に飛び乗った。
「坊ちゃん!ネージュまでぶっ飛ばすんだろう!」
いつも乗っている御者だったみたい。
「うん!今日は一番本気で!ボクの大事なお兄ちゃんと赤ちゃんの命がかかってるんだ!」
「そりゃあマジで本気出さなきゃならねえな!口閉じてな、舌噛むぜ!!」
ボクは大きく頷いて、中の手すりに摑まる。馬車は羽でも生えてるんじゃないかってくらいのスピードでぶっ飛んでネージュについた。途中で揺れすぎて馬車の壁に頭をぶつけて気を失った。
「でね、あんまりに赤ちゃんが産まれて来ないじゃん?それをさあ、相談したらなんて言われたと思う?」
「はぁ知らねえよ。姉ちゃん、なんて言われたのぉ?」
前世のボクが前世の姉ちゃんとくだらない話をしていた。姉ちゃんも赤ちゃんが予定日を過ぎて生まれて来なくて、お腹を切るかどうか悩んでいたんだった。
悩んでるのにニヤニヤ笑って……きっしょいわ!
「「お迎え棒」って……」
「うわっなんかわかった!えっちくさぁ~!」
「でもさーそれで効果あったら切んなくて済むじゃん?今日試してみる~!」
前世の姉ちゃんはそれで大成功して、めっちゃ元気な赤ちゃんを産んだんだ。
「アランも旦那様に……お迎えのお手伝いして貰えばいいんだ……」
ボクは後頭部にでっかいたんこぶを作りながらアランの家に飛び込んだ。
「ああああああアメシスの馬鹿あああああああ!!」
「へぶっ!?」
まあ結果としてアランと羽枕の投げ合いをしていたら、産気づいて赤ちゃんが産まれたんだけどね。とっても可愛い子だったけど、アランがいっぱいいっぱい唸って唸って苦しそうにして……でも生まれたら凄い幸せそうで、キラキラしてて笑って……ボクも絶対ああなるんだ!ってアラン以上の幸せになってやる!
でも……選抜試験をすっぽかしてきたから……駄目かも。やっぱり文句ばっかり言うルーカスと結婚してクレスト家を継がないとなのかな……って帰りはしょんぼりしてしまった。アランにしょんぼりが伝わる前に帰れたのは上手に出来たと思う……。
「アメシス。相談しなさいって言ってるよね?」
「……ごめんなさい……アランが死んじゃうって思うと、どうしても向かってしまいました」
クレスト家にとぼとぼ帰ってくると、殿下が仁王立ちで怒って立っていた。ボクは叱られてもっともっと縮んでしまった。
「アランは無事だったかい?赤ちゃんは生まれた?元気だった?」
「とっても可愛い男の子でした!小っちゃいのがついてて、髪の毛が真っ黒で、タングストン公と同じ色で!でも顔はアランーって感じで、ほっぺがぷにぷにしてて……」
可愛いアランの赤ちゃんを思い出してパッと顔を上げたら、殿下は優しく笑ってくれていた。さっきまで凄く怒ってたのに……ほんとはあんまり怒ってなかった??
「アメシス、心配したんだよ。君はそうやって一人で飛び出して行ってまた悪者に掴まったらどうするんだい?君はこの国の王太子の婚約者なんだ。ゆくゆくは王妃となる身なんだから自重という言葉も覚えてね」
「……ボクは殿下の婚約者じゃないです……試験も……受けられませんでした」
ああ、そうだ、ボクはまた皆に迷惑をかけた。そしてまた殿下の婚約者になれなかったんだ。ボクも殿下の髪の毛の色をした赤ちゃんを抱っこしてみたい……。出来ればその子はボクと同じ目の色をしていてくれたら最高だけど……違う色の、ボクの赤ちゃんじゃなくても……殿下が幸せになるようなそんな子なら……。
「ご、ごめんなさい……ボクは……殿下より、アランを優先しました……。ボクはやっぱり殿下の婚約者にはなれませんでした……」
後悔は……あんまりしていない。だってアランとアランの赤ちゃんの笑顔が見れたもの。でも悲しい……。
「お前に伝えれば、必ずアランに会いに行くというだろう!婚約者選抜試験はもう3日後なんだ。ネージュ国まで行って3日で帰って来れる訳がない!選抜試験をすっぽかせばそれこそサフィール殿下の婚約者に戻れないんだぞ!」
「だからって……!もういい!!!」
「やめろ、アメシス!!お前が行ったからと言って予定日が過ぎているアランの子が生まれる訳じゃない!大事な選抜試験を捨ててまで行くことじゃない!」
お父様は必死でボクを止める。でも、そうじゃないんだ、アランが、ボクのおにいちゃんが困ってるんだ!ボクが行かずに誰が行く!!
「駄目!ボクが行かなきゃ駄目な気がする、ボクが行かなきゃアランが死んじゃう気がするんだ!!殿下は分かって下さる……!」
ボクは高速馬車に飛び乗った。
「坊ちゃん!ネージュまでぶっ飛ばすんだろう!」
いつも乗っている御者だったみたい。
「うん!今日は一番本気で!ボクの大事なお兄ちゃんと赤ちゃんの命がかかってるんだ!」
「そりゃあマジで本気出さなきゃならねえな!口閉じてな、舌噛むぜ!!」
ボクは大きく頷いて、中の手すりに摑まる。馬車は羽でも生えてるんじゃないかってくらいのスピードでぶっ飛んでネージュについた。途中で揺れすぎて馬車の壁に頭をぶつけて気を失った。
「でね、あんまりに赤ちゃんが産まれて来ないじゃん?それをさあ、相談したらなんて言われたと思う?」
「はぁ知らねえよ。姉ちゃん、なんて言われたのぉ?」
前世のボクが前世の姉ちゃんとくだらない話をしていた。姉ちゃんも赤ちゃんが予定日を過ぎて生まれて来なくて、お腹を切るかどうか悩んでいたんだった。
悩んでるのにニヤニヤ笑って……きっしょいわ!
「「お迎え棒」って……」
「うわっなんかわかった!えっちくさぁ~!」
「でもさーそれで効果あったら切んなくて済むじゃん?今日試してみる~!」
前世の姉ちゃんはそれで大成功して、めっちゃ元気な赤ちゃんを産んだんだ。
「アランも旦那様に……お迎えのお手伝いして貰えばいいんだ……」
ボクは後頭部にでっかいたんこぶを作りながらアランの家に飛び込んだ。
「ああああああアメシスの馬鹿あああああああ!!」
「へぶっ!?」
まあ結果としてアランと羽枕の投げ合いをしていたら、産気づいて赤ちゃんが産まれたんだけどね。とっても可愛い子だったけど、アランがいっぱいいっぱい唸って唸って苦しそうにして……でも生まれたら凄い幸せそうで、キラキラしてて笑って……ボクも絶対ああなるんだ!ってアラン以上の幸せになってやる!
でも……選抜試験をすっぽかしてきたから……駄目かも。やっぱり文句ばっかり言うルーカスと結婚してクレスト家を継がないとなのかな……って帰りはしょんぼりしてしまった。アランにしょんぼりが伝わる前に帰れたのは上手に出来たと思う……。
「アメシス。相談しなさいって言ってるよね?」
「……ごめんなさい……アランが死んじゃうって思うと、どうしても向かってしまいました」
クレスト家にとぼとぼ帰ってくると、殿下が仁王立ちで怒って立っていた。ボクは叱られてもっともっと縮んでしまった。
「アランは無事だったかい?赤ちゃんは生まれた?元気だった?」
「とっても可愛い男の子でした!小っちゃいのがついてて、髪の毛が真っ黒で、タングストン公と同じ色で!でも顔はアランーって感じで、ほっぺがぷにぷにしてて……」
可愛いアランの赤ちゃんを思い出してパッと顔を上げたら、殿下は優しく笑ってくれていた。さっきまで凄く怒ってたのに……ほんとはあんまり怒ってなかった??
「アメシス、心配したんだよ。君はそうやって一人で飛び出して行ってまた悪者に掴まったらどうするんだい?君はこの国の王太子の婚約者なんだ。ゆくゆくは王妃となる身なんだから自重という言葉も覚えてね」
「……ボクは殿下の婚約者じゃないです……試験も……受けられませんでした」
ああ、そうだ、ボクはまた皆に迷惑をかけた。そしてまた殿下の婚約者になれなかったんだ。ボクも殿下の髪の毛の色をした赤ちゃんを抱っこしてみたい……。出来ればその子はボクと同じ目の色をしていてくれたら最高だけど……違う色の、ボクの赤ちゃんじゃなくても……殿下が幸せになるようなそんな子なら……。
「ご、ごめんなさい……ボクは……殿下より、アランを優先しました……。ボクはやっぱり殿下の婚約者にはなれませんでした……」
後悔は……あんまりしていない。だってアランとアランの赤ちゃんの笑顔が見れたもの。でも悲しい……。
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