【本編完結】作られた悪役令息は断罪後の溺愛に微睡む。

鏑木 うりこ

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ボクが悪役令息?!

4 阿呆じゃないんだからね!

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「アメシス。新しい香水の売り上げは良いのだが、パンの試作が上手くいかん」

「はあ?何やってんのルーカス!酵母は繊細だから、気をつけてって言ってんのに手を抜いてるんじゃないの!?」

 ルーカスの尻を叩きながらクレスト家の蓄財をして、人材を育てるのに忙しい。


「ふふ、良いんですよぉー?ボクのエステ店にお招きして差し上げましょうかぁ?

「うううう!く、悔しいけど行きたいぃっ!」

 並み居る令嬢達を斬っては捨て斬っては捨てして、とうとう頂点に上り詰めた!!

「第504代国王の名前は?」

「ドスランポム2世!」

「1300年前にあったのは?」

「ラージャム川の大氾濫で穀倉地帯が壊滅の大飢饉!」

「良くやりましたね、アメシスさん」

「うっし!」

 その後、マナーで減点を貰ったけれど、家庭教師の先生に勉強は合格点を貰えた。

「シスちゃん?あのこのプリフラワーなんだけど……」

「プリザーブドフラワーです、王妃様」

 王妃様の心もキャッチしたり

「はいはーい。やらかし令息が人気取りの為にお菓子を配りに来ましたよー」

「アメシス様、それ自分で言っちゃうんですかー??」

「ホントの事だしー?」

「やだー!あははは!」

 使用人達とも仲良くなった。前まで馬鹿にして話しかけるな!なんて高飛車な態度だったけど、そんなんじゃ駄目だって気がついたんだ。
 ま、アランの真似しただけなんだけどね。相変わらずアランはボクの先へ行く。流石兄ちゃんだなぁ!

「うん。外国語も良い。これなら私の婚約者候補として何の問題もないよ、シス」

「うっしゃーーーー!」

「それは減点だな?」

「きゃっ!ボクとした事が、てへっ!」

 結局ボクは完璧にやろうとしたって駄目だって事が分かったんだ。ボクってば結構がさつでツメが甘いみたい。自分の事をボクって言うのもどうも治らないし……偉い人と会うときは頑張って私って言ってるけれど、殿下の前ではついボクって出ちゃう……。

「要所要所でしっかりやる!気の抜ける所は抜く!」

 それがボクのやり方だって気が付いてから、ちょっとづつ上手く物事を回せるようになってきた気がする。そして殿下の婚約者候補が集まって、いわゆる選抜試験をすることになった。

「ふふふ……事前に辞退してくれていいんですよぉ?辞退してくれたご令嬢にはぁ勿論、ボクから差し上げたい物が山のようにありますよぉ……フフフ」

「エ、エステ店の優待券はある、かしら……?」

「20枚綴りをご用意してますけどぉ?」

「ほ、ほほほ……わ、わたくし、選抜試験の日は急に腹痛になりそうですわぁ……」

「そうなんですか……ふふふ、ではお見舞いの品をお送りしておきますねぇ……」

「ホホホ……ありがとうございます、クレスト公爵令息」

「……アメシス。そういう事は大っぴらにやらないで隠れてやりなさい」

「はーい!」

 殿下にちょっと叱られたりもした!でもこの根回しのお陰で20人くらいいた参加者はボクを含め5人に減ったんだぞ!

「絶対殿下の婚約者の座を奪ってみせますから!」

「ああ……怪我しないようにね……期待している」

「はいっ!!」

 こうしてボクは色んな方面から自分を鍛えていったんだ!ちょっと阿呆っぽい?そんな訳ないでしょっ!未来の王妃様は阿呆じゃ出来ないんだからね!




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