上 下
51 / 54
ボクが悪役令息?!

4 阿呆じゃないんだからね!

しおりを挟む
「アメシス。新しい香水の売り上げは良いのだが、パンの試作が上手くいかん」

「はあ?何やってんのルーカス!酵母は繊細だから、気をつけてって言ってんのに手を抜いてるんじゃないの!?」

 ルーカスの尻を叩きながらクレスト家の蓄財をして、人材を育てるのに忙しい。


「ふふ、良いんですよぉー?ボクのエステ店にお招きして差し上げましょうかぁ?

「うううう!く、悔しいけど行きたいぃっ!」

 並み居る令嬢達を斬っては捨て斬っては捨てして、とうとう頂点に上り詰めた!!

「第504代国王の名前は?」

「ドスランポム2世!」

「1300年前にあったのは?」

「ラージャム川の大氾濫で穀倉地帯が壊滅の大飢饉!」

「良くやりましたね、アメシスさん」

「うっし!」

 その後、マナーで減点を貰ったけれど、家庭教師の先生に勉強は合格点を貰えた。

「シスちゃん?あのこのプリフラワーなんだけど……」

「プリザーブドフラワーです、王妃様」

 王妃様の心もキャッチしたり

「はいはーい。やらかし令息が人気取りの為にお菓子を配りに来ましたよー」

「アメシス様、それ自分で言っちゃうんですかー??」

「ホントの事だしー?」

「やだー!あははは!」

 使用人達とも仲良くなった。前まで馬鹿にして話しかけるな!なんて高飛車な態度だったけど、そんなんじゃ駄目だって気がついたんだ。
 ま、アランの真似しただけなんだけどね。相変わらずアランはボクの先へ行く。流石兄ちゃんだなぁ!

「うん。外国語も良い。これなら私の婚約者候補として何の問題もないよ、シス」

「うっしゃーーーー!」

「それは減点だな?」

「きゃっ!ボクとした事が、てへっ!」

 結局ボクは完璧にやろうとしたって駄目だって事が分かったんだ。ボクってば結構がさつでツメが甘いみたい。自分の事をボクって言うのもどうも治らないし……偉い人と会うときは頑張って私って言ってるけれど、殿下の前ではついボクって出ちゃう……。

「要所要所でしっかりやる!気の抜ける所は抜く!」

 それがボクのやり方だって気が付いてから、ちょっとづつ上手く物事を回せるようになってきた気がする。そして殿下の婚約者候補が集まって、いわゆる選抜試験をすることになった。

「ふふふ……事前に辞退してくれていいんですよぉ?辞退してくれたご令嬢にはぁ勿論、ボクから差し上げたい物が山のようにありますよぉ……フフフ」

「エ、エステ店の優待券はある、かしら……?」

「20枚綴りをご用意してますけどぉ?」

「ほ、ほほほ……わ、わたくし、選抜試験の日は急に腹痛になりそうですわぁ……」

「そうなんですか……ふふふ、ではお見舞いの品をお送りしておきますねぇ……」

「ホホホ……ありがとうございます、クレスト公爵令息」

「……アメシス。そういう事は大っぴらにやらないで隠れてやりなさい」

「はーい!」

 殿下にちょっと叱られたりもした!でもこの根回しのお陰で20人くらいいた参加者はボクを含め5人に減ったんだぞ!

「絶対殿下の婚約者の座を奪ってみせますから!」

「ああ……怪我しないようにね……期待している」

「はいっ!!」

 こうしてボクは色んな方面から自分を鍛えていったんだ!ちょっと阿呆っぽい?そんな訳ないでしょっ!未来の王妃様は阿呆じゃ出来ないんだからね!




しおりを挟む
感想 94

あなたにおすすめの小説

巣作りΩと優しいα

伊達きよ
BL
αとΩの結婚が国によって推奨されている時代。Ωの進は自分の夢を叶えるために、流行りの「愛なしお見合い結婚」をする事にした。相手は、穏やかで優しい杵崎というαの男。好きになるつもりなんてなかったのに、気が付けば杵崎に惹かれていた進。しかし「愛なし結婚」ゆえにその気持ちを伝えられない。 そんなある日、Ωの本能行為である「巣作り」を杵崎に見られてしまい……

子を成せ

斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
ミーシェは兄から告げられた言葉に思わず耳を疑った。 「リストにある全員と子を成すか、二年以内にリーファスの子を産むか選べ」 リストに並ぶ番号は全部で十八もあり、その下には追加される可能性がある名前が続いている。これは孕み腹として生きろという命令を下されたに等しかった。もう一つの話だって、譲歩しているわけではない。

オメガに転化したアルファ騎士は王の寵愛に戸惑う

hina
BL
国王を護るαの護衛騎士ルカは最近続く体調不良に悩まされていた。 それはビッチングによるものだった。 幼い頃から共に育ってきたαの国王イゼフといつからか身体の関係を持っていたが、それが原因とは思ってもみなかった。 国王から寵愛され戸惑うルカの行方は。 ※不定期更新になります。

最強で美人なお飾り嫁(♂)は無自覚に無双する

竜鳴躍
BL
ミリオン=フィッシュ(旧姓:バード)はフィッシュ伯爵家のお飾り嫁で、オメガだけど冴えない男の子。と、いうことになっている。だが実家の義母さえ知らない。夫も知らない。彼が陛下から信頼も厚い美貌の勇者であることを。 幼い頃に死別した両親。乗っ取られた家。幼馴染の王子様と彼を狙う従妹。 白い結婚で離縁を狙いながら、実は転生者の主人公は今日も勇者稼業で自分のお財布を豊かにしています。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

悪辣と花煙り――悪役令嬢の従者が大嫌いな騎士様に喰われる話――

BL
「ずっと前から、おまえが好きなんだ」 と、俺を容赦なく犯している男は、互いに互いを嫌い合っている(筈の)騎士様で――――。 「悪役令嬢」に仕えている性悪で悪辣な従者が、「没落エンド」とやらを回避しようと、裏で暗躍していたら、大嫌いな騎士様に見つかってしまった。双方の利益のために手を組んだものの、嫌いなことに変わりはないので、うっかり煽ってやったら、何故かがっつり喰われてしまった話。 ※ムーンライトノベルズでも公開しています(https://novel18.syosetu.com/n4448gl/)

【完結】利害が一致したクラスメイトと契約番になりましたが、好きなアルファが忘れられません。

亜沙美多郎
BL
 高校に入学して直ぐのバース性検査で『突然変異オメガ』と診断された時田伊央。  密かに想いを寄せている幼馴染の天海叶翔は特殊性アルファで、もう一緒には過ごせないと距離をとる。  そんな折、伊央に声をかけて来たのがクラスメイトの森島海星だった。海星も突然変異でバース性が変わったのだという。  アルファになった海星から「契約番にならないか」と話を持ちかけられ、叶翔とこれからも友達として側にいられるようにと、伊央は海星と番になることを決めた。  しかし避けられていると気付いた叶翔が伊央を図書室へ呼び出した。そこで伊央はヒートを起こしてしまい叶翔に襲われる。  駆けつけた海星に助けられ、その場は収まったが、獣化した叶翔は後遺症と闘う羽目になってしまった。  叶翔と会えない日々を過ごしているうちに、伊央に発情期が訪れる。約束通り、海星と番になった伊央のオメガの香りは叶翔には届かなくなった……はずだったのに……。  あるひ突然、叶翔が「伊央からオメガの匂いがする」を言い出して事態は急変する。 ⭐︎オメガバースの独自設定があります。

処理中です...