49 / 54
ボクが悪役令息?!
2 したたか、ですから
しおりを挟む 1階に下り、渡り廊下を通って中央棟へ急ぐ。
幸い、広いロビーにも事務室にも人の気配はない。
正面玄関のガラス戸を通して、厚い雲に覆われた空が見える。
どうやら雨が降り出したようで、ガラスにどんどん水滴がついていく。
一気に暗さを増した外界は、まるで余裕をなくした杏里の心象風景のようだ。
下駄箱の列の隅が、アイテムを隠した来客用コーナーだった。
隠してあったタオルで裸身を拭くと、まず乳首と陰部にロイヤルゼラチンを塗り込んだ。
その上から薄いピンクのブラとパンティ、そして黒いパンティストッキングを身につけると、下着の上から白のブラウスを羽織り、黒のタイトミニを穿く。
仕上げにフレームの細い銀縁眼鏡をかけると、杏里は社会人になったばかりのOLそのものの格好になった。
久しぶりに衣服で肌を隠すことができ、少しほっとした気分だった。
着替えを済ませ、ホールの大鏡の前でポーズをとってみる。
悪くはなかった。
露出度の高いコスチュームだけでは飽きられてしまうだろうと、あえてセレクトした地味目のアイテムである。
が、成人女性並みに乳房と尻の発達した杏里には、ブラウスとタイトミニの組み合わせがよく似合う。
次のターゲットは教員たちだけに、このスタイルは有効なはずだった。
まあ、一部のロリコン教師には不評かもしれないけど…。
ふとそんなことを思うと、苦い笑いがこみ上げてきた。
職員室に行く途中で給湯室に寄り、水で性露丸マグナムの丸薬を喉に流し込む。
これも下駄箱に隠してあったものである。
残りはゴールである体育館の下駄箱に忍ばせてある一袋だけだから、今となっては貴重なエネルギー源だった。
塗り薬と飲み薬の両方が効いてくるのを待つ。
いい加減疲れ切っている身体の奥に火がともり、めらめらと燃え上がり始めるのがわかった。
乳首が勃起し、薄いブラジャーの生地を押し上げる。
一時乾きかけていた股の間のぬるぬる感も、また元に戻ってきたようだ。
覚悟を決めて、職員室の引き戸の前に立つ。
控えめにノックをすると、
「どうぞ」
校長の大山のバリトンが返ってきた。
「笹原君だね。待っていたよ。何の仕掛けもないから、安心してお入り」
半信半疑で戸を引いた。
視界に広がったのは、いつもの職員室の光景だ。
それぞれのデスクについて、教師たちがデスクワークにいそしんでいる。
ただひとつ普段と異なるのは、杏里を見る彼らのまなざしが、異様にぎらついて見えることだった。
一歩前に進み出ると、すぐ後ろで乱暴に引き戸が閉められた。
その音を合図にしたかのように、教師たちが椅子をずらして立ち上がる。
その時になって、ようやく杏里は気づいた。
普段と大きく異なる、もうひとつの点に。
デスクの陰から現れた、思わず眼を背けたくなるもの…。
教師たちは、老若男女問わず、全員下半身裸なのだった。
幸い、広いロビーにも事務室にも人の気配はない。
正面玄関のガラス戸を通して、厚い雲に覆われた空が見える。
どうやら雨が降り出したようで、ガラスにどんどん水滴がついていく。
一気に暗さを増した外界は、まるで余裕をなくした杏里の心象風景のようだ。
下駄箱の列の隅が、アイテムを隠した来客用コーナーだった。
隠してあったタオルで裸身を拭くと、まず乳首と陰部にロイヤルゼラチンを塗り込んだ。
その上から薄いピンクのブラとパンティ、そして黒いパンティストッキングを身につけると、下着の上から白のブラウスを羽織り、黒のタイトミニを穿く。
仕上げにフレームの細い銀縁眼鏡をかけると、杏里は社会人になったばかりのOLそのものの格好になった。
久しぶりに衣服で肌を隠すことができ、少しほっとした気分だった。
着替えを済ませ、ホールの大鏡の前でポーズをとってみる。
悪くはなかった。
露出度の高いコスチュームだけでは飽きられてしまうだろうと、あえてセレクトした地味目のアイテムである。
が、成人女性並みに乳房と尻の発達した杏里には、ブラウスとタイトミニの組み合わせがよく似合う。
次のターゲットは教員たちだけに、このスタイルは有効なはずだった。
まあ、一部のロリコン教師には不評かもしれないけど…。
ふとそんなことを思うと、苦い笑いがこみ上げてきた。
職員室に行く途中で給湯室に寄り、水で性露丸マグナムの丸薬を喉に流し込む。
これも下駄箱に隠してあったものである。
残りはゴールである体育館の下駄箱に忍ばせてある一袋だけだから、今となっては貴重なエネルギー源だった。
塗り薬と飲み薬の両方が効いてくるのを待つ。
いい加減疲れ切っている身体の奥に火がともり、めらめらと燃え上がり始めるのがわかった。
乳首が勃起し、薄いブラジャーの生地を押し上げる。
一時乾きかけていた股の間のぬるぬる感も、また元に戻ってきたようだ。
覚悟を決めて、職員室の引き戸の前に立つ。
控えめにノックをすると、
「どうぞ」
校長の大山のバリトンが返ってきた。
「笹原君だね。待っていたよ。何の仕掛けもないから、安心してお入り」
半信半疑で戸を引いた。
視界に広がったのは、いつもの職員室の光景だ。
それぞれのデスクについて、教師たちがデスクワークにいそしんでいる。
ただひとつ普段と異なるのは、杏里を見る彼らのまなざしが、異様にぎらついて見えることだった。
一歩前に進み出ると、すぐ後ろで乱暴に引き戸が閉められた。
その音を合図にしたかのように、教師たちが椅子をずらして立ち上がる。
その時になって、ようやく杏里は気づいた。
普段と大きく異なる、もうひとつの点に。
デスクの陰から現れた、思わず眼を背けたくなるもの…。
教師たちは、老若男女問わず、全員下半身裸なのだった。
98
お気に入りに追加
4,461
あなたにおすすめの小説

魔法学園の悪役令息ー替え玉を務めさせていただきます
オカメ颯記
BL
田舎の王国出身のランドルフ・コンラートは、小さいころに自分を養子に出した実家に呼び戻される。行方不明になった兄弟の身代わりとなって、魔道学園に通ってほしいというのだ。
魔法なんて全く使えない抗議したものの、丸め込まれたランドルフはデリン大公家の公子ローレンスとして学園に復学することになる。無口でおとなしいという触れ込みの兄弟は、学園では悪役令息としてわがままにふるまっていた。顔も名前も知らない知人たちに囲まれて、因縁をつけられたり、王族を殴り倒したり。同室の相棒には偽物であることをすぐに看破されてしまうし、どうやって学園生活をおくればいいのか。混乱の中で、何の情報もないまま、王子たちの勢力争いに巻き込まれていく。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化

捨てられオメガの幸せは
ホロロン
BL
家族に愛されていると思っていたが実はそうではない事実を知ってもなお家族と仲良くしたいがためにずっと好きだった人と喧嘩別れしてしまった。
幸せになれると思ったのに…番になる前に捨てられて行き場をなくした時に会ったのは、あの大好きな彼だった。

【完結】家も家族もなくし婚約者にも捨てられた僕だけど、隣国の宰相を助けたら囲われて大切にされています。
cyan
BL
留学中に実家が潰れて家族を失くし、婚約者にも捨てられ、どこにも行く宛てがなく彷徨っていた僕を助けてくれたのは隣国の宰相だった。
家が潰れた僕は平民。彼は宰相様、それなのに僕は恐れ多くも彼に恋をした。

結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。
真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。
親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。
そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。
(しかも私にだけ!!)
社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。
最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。
(((こんな仕打ち、あんまりよーー!!)))
旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。
僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました
楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。
ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。
喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。
「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」
契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。
エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。
運命の息吹
梅川 ノン
BL
ルシアは、国王とオメガの番の間に生まれるが、オメガのため王子とは認められず、密やかに育つ。
美しく育ったルシアは、父王亡きあと国王になった兄王の番になる。
兄王に溺愛されたルシアは、兄王の庇護のもと穏やかに暮らしていたが、運命のアルファと出会う。
ルシアの運命のアルファとは……。
西洋の中世を想定とした、オメガバースですが、かなりの独自視点、想定が入ります。あくまでも私独自の創作オメガバースと思ってください。楽しんでいただければ幸いです。
「君と番になるつもりはない」と言われたのに記憶喪失の夫から愛情フェロモンが溢れてきます
grotta
BL
【フェロモン過多の記憶喪失アルファ×自己肯定感低め深窓の令息オメガ】
オスカー・ブラントは皇太子との縁談が立ち消えになり別の相手――帝国陸軍近衛騎兵隊長ヘルムート・クラッセン侯爵へ嫁ぐことになる。
以前一度助けてもらった彼にオスカーは好感を持っており、新婚生活に期待を抱く。
しかし結婚早々夫から「つがいにはならない」と宣言されてしまった。
予想外の冷遇に落ち込むオスカーだったが、ある日夫が頭に怪我をして記憶喪失に。
すると今まで抑えられていたαのフェロモンが溢れ、夫に触れると「愛しい」という感情まで漏れ聞こえるように…。
彼の突然の変化に戸惑うが、徐々にヘルムートに惹かれて心を開いていくオスカー。しかし彼の記憶が戻ってまた冷たくされるのが怖くなる。
ある日寝ぼけた夫の口から知らぬ女性の名前が出る。彼には心に秘めた相手がいるのだと悟り、記憶喪失の彼から与えられていたのが偽りの愛だと悟る。
夫とすれ違う中、皇太子がオスカーに強引に復縁を迫ってきて…?
夫ヘルムートが隠している秘密とはなんなのか。傷ついたオスカーは皇太子と夫どちらを選ぶのか?
※以前ショートで書いた話を改変しオメガバースにして公募に出したものになります。(結末や設定は全然違います)
※3万8千字程度の短編です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる