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46 変な気合一閃!
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「アクアー!頑張ってーー!あ、違ったアランだった」
「うーーーー!うるさいっアメシスうううう!!」
アメシスも旦那様もロバートさんも全員部屋から出されて、部屋にはミトお婆ちゃんやお産の手伝いをしてくれる人達しかいないのに、外からアメシスの声が聞こえてくるとか!もうっうるさいっ!
「小僧ッ!フライド玉ねぎにしてやる!料理長、こいつを厨房へ連れていけッ!」
「やーだよー!アラーン早く早くー!早く赤ちゃんみーせーてー!」
「黙れと言っているっ!!」
旦那様が怒ってる……そしてアメシスは全然怖がってない……凄いや。私は波のように襲い掛かってくる陣痛に耐えながら怒ったり笑ったりしてしまった。
「アランちゃんの弟さんは面白い子だねえ」
ミトお婆ちゃんがふと笑って私に話しかけてくれる。
「……困った手のかかる……、……そう、弟です」
今回もまた遠路はるばる高速馬車を「ぶっ飛ばして」やってきたんだろう。きっと私の赤ちゃんが中々出てこない事を心配して来たんだ。心配なのに、心配そうな顔は一つもしないで、馬鹿な事を言って私を笑わせて……。
アメシスは酷い奴だ。アメシスにされたことを許したことも忘れた事もない。でも……でもアメシスは私に優しかったこともあった。お兄ちゃんと言って慕ってくれた事もあった。一緒に寝た事もあるし、おやつを食べたり悪戯をしたことも。
でも許せない、私の今まではアメシスに歪められた。でも歪んだからこそ旦那様に会えた……それは事実だった。
「アランちゃん、いきんでぇ!」
「ううーーーーー!!アメシスの馬鹿ぁああああああ!!」
私に今更優しくしないで欲しい!許してしまいたくなるじゃないか!
「ほぎゃああああああ!」
「産まれたああああ!」
「え……あ、あは……あはは……」
変な気合一閃、私は可愛い男の子をこの世に送り出した。
「ひゃあああ!可愛いっ!髪の毛は真っ黒だけど、後はアランそっくりー良かったね!」
やっぱりアメシスは生まれた子を一目見ると帰って行ってしまった。
「ボクはねえ、こう見えても忙しいの!あ、これね。馬車のサスペンションの設計図。こっちの馬車って超揺れるじゃん?赤ちゃんがびっくりして起きたら困るから改造しといて!」
私にはよくわからない書類を何枚か旦那様に押し付けて走って行ってしまった。お礼も何もかも言う暇がなかった。旦那様は不機嫌顔でその書類をロバートに手渡す。中を確認したロバートは2.3度見直してから
「こ、これは……凄い。すぐに馬車を直しましょう」
驚いていたから結構凄い物だったみたい。アメシスの突然の閃きを駆使してサフィール殿下の婚約者に返り咲けそうなんだって。
「アラン……よく頑張った」
「はい、旦那様……」
私は旦那様に撫でて貰ってその後、気を失うように眠ってしまったらしい。兎にも角にも私の長男の出産は色々大変だった。
「うーーーー!うるさいっアメシスうううう!!」
アメシスも旦那様もロバートさんも全員部屋から出されて、部屋にはミトお婆ちゃんやお産の手伝いをしてくれる人達しかいないのに、外からアメシスの声が聞こえてくるとか!もうっうるさいっ!
「小僧ッ!フライド玉ねぎにしてやる!料理長、こいつを厨房へ連れていけッ!」
「やーだよー!アラーン早く早くー!早く赤ちゃんみーせーてー!」
「黙れと言っているっ!!」
旦那様が怒ってる……そしてアメシスは全然怖がってない……凄いや。私は波のように襲い掛かってくる陣痛に耐えながら怒ったり笑ったりしてしまった。
「アランちゃんの弟さんは面白い子だねえ」
ミトお婆ちゃんがふと笑って私に話しかけてくれる。
「……困った手のかかる……、……そう、弟です」
今回もまた遠路はるばる高速馬車を「ぶっ飛ばして」やってきたんだろう。きっと私の赤ちゃんが中々出てこない事を心配して来たんだ。心配なのに、心配そうな顔は一つもしないで、馬鹿な事を言って私を笑わせて……。
アメシスは酷い奴だ。アメシスにされたことを許したことも忘れた事もない。でも……でもアメシスは私に優しかったこともあった。お兄ちゃんと言って慕ってくれた事もあった。一緒に寝た事もあるし、おやつを食べたり悪戯をしたことも。
でも許せない、私の今まではアメシスに歪められた。でも歪んだからこそ旦那様に会えた……それは事実だった。
「アランちゃん、いきんでぇ!」
「ううーーーーー!!アメシスの馬鹿ぁああああああ!!」
私に今更優しくしないで欲しい!許してしまいたくなるじゃないか!
「ほぎゃああああああ!」
「産まれたああああ!」
「え……あ、あは……あはは……」
変な気合一閃、私は可愛い男の子をこの世に送り出した。
「ひゃあああ!可愛いっ!髪の毛は真っ黒だけど、後はアランそっくりー良かったね!」
やっぱりアメシスは生まれた子を一目見ると帰って行ってしまった。
「ボクはねえ、こう見えても忙しいの!あ、これね。馬車のサスペンションの設計図。こっちの馬車って超揺れるじゃん?赤ちゃんがびっくりして起きたら困るから改造しといて!」
私にはよくわからない書類を何枚か旦那様に押し付けて走って行ってしまった。お礼も何もかも言う暇がなかった。旦那様は不機嫌顔でその書類をロバートに手渡す。中を確認したロバートは2.3度見直してから
「こ、これは……凄い。すぐに馬車を直しましょう」
驚いていたから結構凄い物だったみたい。アメシスの突然の閃きを駆使してサフィール殿下の婚約者に返り咲けそうなんだって。
「アラン……よく頑張った」
「はい、旦那様……」
私は旦那様に撫でて貰ってその後、気を失うように眠ってしまったらしい。兎にも角にも私の長男の出産は色々大変だった。
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