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36 事件発生!
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あとから知った話だったのだけれども、アメシスは何度も何度もタングストン家を訪れたらしい。そして何度も何度も執事さんや使用人、そして旦那様本人にも追い返されたらしい。何故私が知らなかったかというと全て私がいない所で起こっていたからだった。
気を使ってもらったんだろうけれどね……。
「お願い!アクアに会わせて!」
そう涙目で訴えたアメシスだってけれど、タングストン家の人達には一切泣き落としが効かなかった。執事さんはあの通り冷徹になれる人だし、メイド達も私の事を大好きだし。それに
「何をしに来たんです?アメシス様。もうこのお屋敷には貴方がクビに出来る人間はおりませんよ!?」
「な、なにさ……使用人の癖に生意気だよ!?」
他家とはいえ、公爵令息であるアメシスをタングストン家の使用人が馬鹿にしていいわけがないのだが……。
「フン、流石にお忘れですよね?私達は貴方に理不尽に解雇された事を忘れた事はなかったのに!」
「覚えてらっしゃらないですよねぇ!貴女がアクア様のフリをしてクビにしたメイドの事なんて!!」
「え……」
おでこに青筋を浮かべる勢いで、メイド達は箒をもってアメシスの前に立ちはだかる。
「早く消えて下さらないかしら!?真の悪役令息様!」
「タングストン家に悪役令息は必要ありませんの!帰って下さい!」
そう言いながら箒で叩いたらしい。
「やめて、やめてえ!ボクが何をしたっていうのさぁ!」
「人を理由もなくクビにしておいて何を!」
「あなたのせいで私達は苦しい生活を送らされたわ!家からも追い出されて……それなのにあなたはのうのうと暮らしていて。憎まれてないとでも思っているのかしら!」
「そ、そんなのボクのせいじゃないでしょ……アクアがやったんだ!」
その辺りで元クレスト家の使用人達は怒りが頂点に達した。
「まだ言うかっ!この嘘つき!!」
「うわーーっ!」
そして屋敷に上げて貰うことも叶わなかった。アメシスの魂胆では何とか屋敷に上げて貰いさえすれば、あの瞳の色を変える薬で私だと言い張り旦那様にお会いするつもりだったのだと。
「タングストン公に会えればアクアより絶対可愛いボクの方を好きになる!だってボクはこの世界の主人公なんだから!」
意味は分からないけれどアメシスはそう信じていたらしい。主人公って……たまにアメシスは自分がまるで何かの物語の中にいる様な、そしてその物語の主人公である様な事を言う。
大丈夫なのかとずっと思っていたけれど……。
ともかく、屋敷にも入れてもらえなかったアメシスは今度は忍び込む事を考えたらしい。
「庭先にでも入れればこっちのもの!」
あらかじめ瞳の色を水色にして、タングストン家の周りをウロウロして……捕まった。
「離し……うっ!」
「こいつ、噂のタングストンのお月様か?」
「あの悪魔公爵の溺愛するつがいの??」
「こりゃぁ……良い金になるぜぇ……」
タングストン家の衛兵に捕まったのならまだ話は早かったのに、アメシスは旦那様に恨みを持つ悪党に捕まって連れ去られてしまったのだ。
気を使ってもらったんだろうけれどね……。
「お願い!アクアに会わせて!」
そう涙目で訴えたアメシスだってけれど、タングストン家の人達には一切泣き落としが効かなかった。執事さんはあの通り冷徹になれる人だし、メイド達も私の事を大好きだし。それに
「何をしに来たんです?アメシス様。もうこのお屋敷には貴方がクビに出来る人間はおりませんよ!?」
「な、なにさ……使用人の癖に生意気だよ!?」
他家とはいえ、公爵令息であるアメシスをタングストン家の使用人が馬鹿にしていいわけがないのだが……。
「フン、流石にお忘れですよね?私達は貴方に理不尽に解雇された事を忘れた事はなかったのに!」
「覚えてらっしゃらないですよねぇ!貴女がアクア様のフリをしてクビにしたメイドの事なんて!!」
「え……」
おでこに青筋を浮かべる勢いで、メイド達は箒をもってアメシスの前に立ちはだかる。
「早く消えて下さらないかしら!?真の悪役令息様!」
「タングストン家に悪役令息は必要ありませんの!帰って下さい!」
そう言いながら箒で叩いたらしい。
「やめて、やめてえ!ボクが何をしたっていうのさぁ!」
「人を理由もなくクビにしておいて何を!」
「あなたのせいで私達は苦しい生活を送らされたわ!家からも追い出されて……それなのにあなたはのうのうと暮らしていて。憎まれてないとでも思っているのかしら!」
「そ、そんなのボクのせいじゃないでしょ……アクアがやったんだ!」
その辺りで元クレスト家の使用人達は怒りが頂点に達した。
「まだ言うかっ!この嘘つき!!」
「うわーーっ!」
そして屋敷に上げて貰うことも叶わなかった。アメシスの魂胆では何とか屋敷に上げて貰いさえすれば、あの瞳の色を変える薬で私だと言い張り旦那様にお会いするつもりだったのだと。
「タングストン公に会えればアクアより絶対可愛いボクの方を好きになる!だってボクはこの世界の主人公なんだから!」
意味は分からないけれどアメシスはそう信じていたらしい。主人公って……たまにアメシスは自分がまるで何かの物語の中にいる様な、そしてその物語の主人公である様な事を言う。
大丈夫なのかとずっと思っていたけれど……。
ともかく、屋敷にも入れてもらえなかったアメシスは今度は忍び込む事を考えたらしい。
「庭先にでも入れればこっちのもの!」
あらかじめ瞳の色を水色にして、タングストン家の周りをウロウロして……捕まった。
「離し……うっ!」
「こいつ、噂のタングストンのお月様か?」
「あの悪魔公爵の溺愛するつがいの??」
「こりゃぁ……良い金になるぜぇ……」
タングストン家の衛兵に捕まったのならまだ話は早かったのに、アメシスは旦那様に恨みを持つ悪党に捕まって連れ去られてしまったのだ。
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