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12 とてもいい匂いです*
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「お前は名目上はアメシスの兄となっているが、ただの平民だ。それを忘れるな」
「はい」
何度も何度も公爵様に言われた言葉。
「アメシスが王太子殿下に嫁いだ後、我がクレスト家は親類より跡継ぎを迎える。名目上お前は我が息子となっているからその男と婚姻を結ぶ。しかしお前の平民の血など要らぬからすぐに然るべき貴族を花嫁として迎え入れる、いいな?」
「……はい」
そう言われてきたが、私は捨てられた。それでも公爵様の計画に支障はない。だって私はいてもいなくても同じだったから、そうなった。私も早く捨てられた方がありがたかったのだが、こんな風になるとは思ってはいなかった。
「あ!あ!ああ……!」
いくらトロトロにほぐれていても、初めての場所にかなりの質量のモノを飲み込むのはきつい。ぐっしょりと染み出してくる液のお陰で痛みはさほどないが、押し広げられる感覚、侵略される感覚はやはり恐怖を覚える。それでもゆっくりゆっくり侵入してきて、最奥にコン、と当たった時はもう耐えきれなかった。
「あ、あーーーーっ!!」
酷い快楽の濁流に意識が混迷して、とりあえず目の前にある暖かくて抱き着ける物に力いっぱいしがみついた。何かにしがみつかないとどこかへ流されてしまう恐怖が本能的にあったんだろう。怖い、でも気持ちいい。お腹の奥がビクビクと震えて堪らない……これがイっているって事なんだと初めて知った。そして自分のモノではないのに自分の中にあって大きく脈打つ何か。ソレが大きく震えるたびに気持ち良さが跳ねあがる。
「あ……イ、イイ……もっと、もっと……ほしぃ……」
その時はそれが吐精された事とは気が付かなかった。ただ、この気持ち良さがもっともっと続けばいいのに、この瞬間が永遠だったらいいのにとしか思わなかった。
……その後の記憶は曖昧。ほとんど何も覚えていなかった。
「アクアッアクアッ!!」
「ひいっ……だんなしゃまぁ……も、もお、らめ、らめれすぅ……!」
もうだめ、もうむり、もうきもちいいの、こわい。こわれる、こわれちゃう……わたしは、そんな、むりです、むり、むりむり……むりぃ……!
理性が戻ったのはあれから何日経ったのか分からなかったが、初めての発情は終わっていた。
「……」
声はかすれて出なかったし、私は旦那様に抱きしめられた形で目を覚ましたのだった。居心地の悪さに少し体を動かすも、更に引き寄せられ、完全に捕まった。それでもどうやら無意識の行動らしく、旦那様はすうすうと規則正しい寝息を立てていらっしゃった。
どうしたらいいか分からず、動くことも出来ないけれど、でも悪くない。お腹はとても空いたが、どこか満たされた気持ちでいっぱいだった。そして……とてもいい匂いがする。何の匂いだろう、食べる物か、花か……甘いお菓子か。どれもしっくりこないけれど大好きな匂いだ。搾りたてのフルーツジュースのように瑞々しくて、甘いけれど爽やかで。ずっと嗅いでいたいそんな大好きな匂い……。
一体何の匂いなのかと鼻を鳴らすと、私を抱きしめて離さないこの方の匂いだと気がついた。そっと擦り寄って確かめるとやっぱり良い匂いだった。
まだ寝ていらっしゃるし、大丈夫だろう……そのまま腕の中で目を閉じると眠ってしまった。ああ、この人の隣でずっとこうして微睡んでいたい。幸福感に包まれてとても気持ちが良かった。
「はい」
何度も何度も公爵様に言われた言葉。
「アメシスが王太子殿下に嫁いだ後、我がクレスト家は親類より跡継ぎを迎える。名目上お前は我が息子となっているからその男と婚姻を結ぶ。しかしお前の平民の血など要らぬからすぐに然るべき貴族を花嫁として迎え入れる、いいな?」
「……はい」
そう言われてきたが、私は捨てられた。それでも公爵様の計画に支障はない。だって私はいてもいなくても同じだったから、そうなった。私も早く捨てられた方がありがたかったのだが、こんな風になるとは思ってはいなかった。
「あ!あ!ああ……!」
いくらトロトロにほぐれていても、初めての場所にかなりの質量のモノを飲み込むのはきつい。ぐっしょりと染み出してくる液のお陰で痛みはさほどないが、押し広げられる感覚、侵略される感覚はやはり恐怖を覚える。それでもゆっくりゆっくり侵入してきて、最奥にコン、と当たった時はもう耐えきれなかった。
「あ、あーーーーっ!!」
酷い快楽の濁流に意識が混迷して、とりあえず目の前にある暖かくて抱き着ける物に力いっぱいしがみついた。何かにしがみつかないとどこかへ流されてしまう恐怖が本能的にあったんだろう。怖い、でも気持ちいい。お腹の奥がビクビクと震えて堪らない……これがイっているって事なんだと初めて知った。そして自分のモノではないのに自分の中にあって大きく脈打つ何か。ソレが大きく震えるたびに気持ち良さが跳ねあがる。
「あ……イ、イイ……もっと、もっと……ほしぃ……」
その時はそれが吐精された事とは気が付かなかった。ただ、この気持ち良さがもっともっと続けばいいのに、この瞬間が永遠だったらいいのにとしか思わなかった。
……その後の記憶は曖昧。ほとんど何も覚えていなかった。
「アクアッアクアッ!!」
「ひいっ……だんなしゃまぁ……も、もお、らめ、らめれすぅ……!」
もうだめ、もうむり、もうきもちいいの、こわい。こわれる、こわれちゃう……わたしは、そんな、むりです、むり、むりむり……むりぃ……!
理性が戻ったのはあれから何日経ったのか分からなかったが、初めての発情は終わっていた。
「……」
声はかすれて出なかったし、私は旦那様に抱きしめられた形で目を覚ましたのだった。居心地の悪さに少し体を動かすも、更に引き寄せられ、完全に捕まった。それでもどうやら無意識の行動らしく、旦那様はすうすうと規則正しい寝息を立てていらっしゃった。
どうしたらいいか分からず、動くことも出来ないけれど、でも悪くない。お腹はとても空いたが、どこか満たされた気持ちでいっぱいだった。そして……とてもいい匂いがする。何の匂いだろう、食べる物か、花か……甘いお菓子か。どれもしっくりこないけれど大好きな匂いだ。搾りたてのフルーツジュースのように瑞々しくて、甘いけれど爽やかで。ずっと嗅いでいたいそんな大好きな匂い……。
一体何の匂いなのかと鼻を鳴らすと、私を抱きしめて離さないこの方の匂いだと気がついた。そっと擦り寄って確かめるとやっぱり良い匂いだった。
まだ寝ていらっしゃるし、大丈夫だろう……そのまま腕の中で目を閉じると眠ってしまった。ああ、この人の隣でずっとこうして微睡んでいたい。幸福感に包まれてとても気持ちが良かった。
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