11 / 54
11 でもやめてください!
しおりを挟む
「アクア……」
「あ、あ、あ……!」
フェロモンだ、アルファのフェロモン。駄目だ、駄目!おかしくなる。
「アクア、発情期はいつだ」
「ひ……っ、ま、まだ、まだ、来た事、ない、です」
アメシスは発情期が来たと言っていた。
「一緒じゃないと困るんだから、早く発情期になってよね!!」
と、何度も言われたし、医者にも何度も見てもらったが
「個人差がありますよで、いくら双子でも同じとはまいりませんよ」
そう言われ続けて少しだけホッとした。子供の時の栄養事情なのか、毎日アメシスに無理を言い付けられる心労なのか……同じになる事を無意識に拒否したのかは分からないけれど、自分ではどうする事もできない事だった。
「そうか、まあ良い」
「あ、あ……」
空気が甘く濃くなる。何度か当てられた事があるから知っているけれど、これは間違いなくフェロモン。耳の奥がどくどくと音を立てて血の流れが速くなる。あまりの加速についていけなくて目が回る。
「や、やめ……止めて」
何故か知らないけれど、旦那様は私を発情させようとしている!何の為に?私は、名前と存在だけ有れば良いはずなのに!
「何故、止める必要が?私達は結婚した伴侶なのだから、伴侶としての営みは何もおかしいことはあるまい?」
あ……そうだ。私達は初めて顔と名前を知ったけれど、結婚した伴侶なんだ……なら、気まぐれに欲を晴らす為に行為に及ぶ事もあるのか……?でも、でも……!止めて下さい!
「おね、待って……だんなさま、わ、私……わたしぃ……とても、よごれて……ゆるして……」
風呂なんてここに連れて来られた初日以降入っていない。初日は連れて来られた時の垢を落とすとかなり乱暴に擦られて痛くて涙が出そうになった。そしてすぐに無視され始めたのでそれ以降はない。水も貴重だったし、タオルや布巾の類も手に入らなかったから朝に水で顔を洗う程度だけ。綺麗なわけがない。
もしかしたらさっきまで一生懸命きゅうりをかじっていたから、顔はきゅうりのカスだらけだろうし、足は土埃がいっぱいだと思う。涙目の私をじっと見下ろしてから
「……風呂へ行く」
「うう……」
こうして至近距離に張り付かれるのも本当は嫌だ。だって絶対におかしな臭いがしているはずだもの。それなのに旦那様は私を突き放す事はせず、そのまま抱え上げて歩き出す。お風呂の場所がどこなのかは知らないけれど、私は旦那様の腕の中であまりの恥ずかしさに顔を隠して赤くなるしかなかった。
どこかの部屋に備え付けられているバスタブにはもう温かいお湯が満たされていて、その中にそっと降ろされた。
「あ、あの……あの……」
服を着たままは良くないと思うがもうくらくらするフェロモンをたっぷり吸いこんだ体は言う事を聞かなかった。服を乱雑に脱ぎ捨てた旦那様があまり広くないバスタブに乗り込んできても、もう何の抵抗もできない。
「あ、あ……」
私の手より大きな旦那様の手が体全体を撫でて行く。優しいのか乱暴なのかもうわからないけれど、どこを触られても気持ちが良くてはしたなく懇願するしかなかった。
「お、おね……おねがい、だいてぇ……」
「……ああ」
どこもかしこもとろとろに溶けた私は初めてなのにあっさり旦那様を受け入れた。
「あ、あ、あ……!」
フェロモンだ、アルファのフェロモン。駄目だ、駄目!おかしくなる。
「アクア、発情期はいつだ」
「ひ……っ、ま、まだ、まだ、来た事、ない、です」
アメシスは発情期が来たと言っていた。
「一緒じゃないと困るんだから、早く発情期になってよね!!」
と、何度も言われたし、医者にも何度も見てもらったが
「個人差がありますよで、いくら双子でも同じとはまいりませんよ」
そう言われ続けて少しだけホッとした。子供の時の栄養事情なのか、毎日アメシスに無理を言い付けられる心労なのか……同じになる事を無意識に拒否したのかは分からないけれど、自分ではどうする事もできない事だった。
「そうか、まあ良い」
「あ、あ……」
空気が甘く濃くなる。何度か当てられた事があるから知っているけれど、これは間違いなくフェロモン。耳の奥がどくどくと音を立てて血の流れが速くなる。あまりの加速についていけなくて目が回る。
「や、やめ……止めて」
何故か知らないけれど、旦那様は私を発情させようとしている!何の為に?私は、名前と存在だけ有れば良いはずなのに!
「何故、止める必要が?私達は結婚した伴侶なのだから、伴侶としての営みは何もおかしいことはあるまい?」
あ……そうだ。私達は初めて顔と名前を知ったけれど、結婚した伴侶なんだ……なら、気まぐれに欲を晴らす為に行為に及ぶ事もあるのか……?でも、でも……!止めて下さい!
「おね、待って……だんなさま、わ、私……わたしぃ……とても、よごれて……ゆるして……」
風呂なんてここに連れて来られた初日以降入っていない。初日は連れて来られた時の垢を落とすとかなり乱暴に擦られて痛くて涙が出そうになった。そしてすぐに無視され始めたのでそれ以降はない。水も貴重だったし、タオルや布巾の類も手に入らなかったから朝に水で顔を洗う程度だけ。綺麗なわけがない。
もしかしたらさっきまで一生懸命きゅうりをかじっていたから、顔はきゅうりのカスだらけだろうし、足は土埃がいっぱいだと思う。涙目の私をじっと見下ろしてから
「……風呂へ行く」
「うう……」
こうして至近距離に張り付かれるのも本当は嫌だ。だって絶対におかしな臭いがしているはずだもの。それなのに旦那様は私を突き放す事はせず、そのまま抱え上げて歩き出す。お風呂の場所がどこなのかは知らないけれど、私は旦那様の腕の中であまりの恥ずかしさに顔を隠して赤くなるしかなかった。
どこかの部屋に備え付けられているバスタブにはもう温かいお湯が満たされていて、その中にそっと降ろされた。
「あ、あの……あの……」
服を着たままは良くないと思うがもうくらくらするフェロモンをたっぷり吸いこんだ体は言う事を聞かなかった。服を乱雑に脱ぎ捨てた旦那様があまり広くないバスタブに乗り込んできても、もう何の抵抗もできない。
「あ、あ……」
私の手より大きな旦那様の手が体全体を撫でて行く。優しいのか乱暴なのかもうわからないけれど、どこを触られても気持ちが良くてはしたなく懇願するしかなかった。
「お、おね……おねがい、だいてぇ……」
「……ああ」
どこもかしこもとろとろに溶けた私は初めてなのにあっさり旦那様を受け入れた。
224
お気に入りに追加
4,461
あなたにおすすめの小説
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。


愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
婚約破棄?しませんよ、そんなもの
おしゃべりマドレーヌ
BL
王太子の卒業パーティーで、王太子・フェリクスと婚約をしていた、侯爵家のアンリは突然「婚約を破棄する」と言い渡される。どうやら真実の愛を見つけたらしいが、それにアンリは「しませんよ、そんなもの」と返す。
アンリと婚約破棄をしないほうが良い理由は山ほどある。
けれどアンリは段々と、そんなメリット・デメリットを考えるよりも、フェリクスが幸せになるほうが良いと考えるようになり……
「………………それなら、こうしましょう。私が、第一王妃になって仕事をこなします。彼女には、第二王妃になって頂いて、貴方は彼女と暮らすのです」
それでフェリクスが幸せになるなら、それが良い。
<嚙み痕で愛を語るシリーズというシリーズで書いていきます/これはスピンオフのような話です>

魔法学園の悪役令息ー替え玉を務めさせていただきます
オカメ颯記
BL
田舎の王国出身のランドルフ・コンラートは、小さいころに自分を養子に出した実家に呼び戻される。行方不明になった兄弟の身代わりとなって、魔道学園に通ってほしいというのだ。
魔法なんて全く使えない抗議したものの、丸め込まれたランドルフはデリン大公家の公子ローレンスとして学園に復学することになる。無口でおとなしいという触れ込みの兄弟は、学園では悪役令息としてわがままにふるまっていた。顔も名前も知らない知人たちに囲まれて、因縁をつけられたり、王族を殴り倒したり。同室の相棒には偽物であることをすぐに看破されてしまうし、どうやって学園生活をおくればいいのか。混乱の中で、何の情報もないまま、王子たちの勢力争いに巻き込まれていく。

誰よりも愛してるあなたのために
R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。
ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。
前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。
だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。
「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」
それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!
すれ違いBLです。
初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。
(誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります)

侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる