20 / 64
20 裏表のあるわたくしの弟
しおりを挟む
「そのお話は父が戻ってから……ああ、本人もいる事ですし呼びましょう」
「いえいえ、今でなくとも……」
大丈夫です、あの子は女性の気持ちはわかりませんが……
「どなたか、弟のフレジットを呼んで頂けますか?」
すぐにフレジットは呼ばれてやって来ました。
「姉さん、私もレンブラントと遊びたいですー姉さんが王妃になってしまったら王太子殿下になるレンブラントとは気軽に遊べなくなりますから、今がチャンスなんです~」
「レンブラントの事は今日はお父様達にお任せして。フレジット、こちらへ来てちょうだい。シュマイゼル様、レイクリフ様、弟のフレジットです。父の補佐として領地の経営に携わっておりました。フレジット、マルグ国王シュマイゼル様と公爵、ジン・レイクリフ様です」
「ほんの小さな頃に会ったかな?立派な青年になった。これからは義弟としてよろしく頼むよ、フレジット」
シュマイゼル様のにこやかな笑みにフレジットもふにゃりと笑って
「勿体ないお言葉です。出戻りの姉をすぐに拾っていただき、感謝の念に耐えません」
少し失礼な言種ですが、その通りなので仕方がありません。でも後でお尻をつねる位はしてあげようと思います。
「初めましてだね?フレジット君。私はジン・レイクリフ。今日からお祖父様と呼んでくれ」
「へ?お祖父様、ですか??」
フレジットも目を丸くするので、例の書類をフレジットに見せる事にしました。
「ふーん、へぇ、ほう」
フレジットの目つきが少し変わります。この子は色々ダメな子ですが、領地経営の、特に損得に関しては鋭い感性を持っています。
「失礼ながら、シュマイゼル様はやってしまいましたね。我が家と我が姉にこんな弱点を作ってしまうなんて。一生突かれますよ?」
「……え?」
「父も母も姉も……勿論この私も永遠に脅しますよ?もっとスマートに出来なかったんですか?焦りすぎです」
「……え?」
「公爵様も悪手ですよ。こんな我が家にしか利益がないような契約はいけません。乗っ取ってくれと言っているようなものじゃないですか。私がお孫さんを否定したらどうするおつもりで?」
「そ、それは仕方がないと思うておるが……フレジット君……雰囲気が変わったのう……」
フレジットはテーブルに書類を叩きつけ
「当たり前じゃないですか!こんな穴だらけの書類を作るなんて!分かってますか?!貴族の失態は従う使用人や民の不幸に直結してるんですよ!民が不幸になれば生産性はただ下がりなんですよ!!しかもかなり長期間!その間の損益をどうするおつもりで?!」
「あ、はい……」
言っている事は正しいのですが、目上の方に言うことではないですね。フレジットはこういう所でまだ我慢が効かないのですね。
「姉さんも!あの阿呆から離れられて安心し過ぎじゃないですか!!」
「……あら、ごめんなさいね……?」
わたくしまで叱られました。フレジットはわたくしにも意見できるようになったのですね、お金の損得勘定の時だけは強気です。本当にその勢いを少しでも他の事に回せはしないのでしょうか……?
「いえいえ、今でなくとも……」
大丈夫です、あの子は女性の気持ちはわかりませんが……
「どなたか、弟のフレジットを呼んで頂けますか?」
すぐにフレジットは呼ばれてやって来ました。
「姉さん、私もレンブラントと遊びたいですー姉さんが王妃になってしまったら王太子殿下になるレンブラントとは気軽に遊べなくなりますから、今がチャンスなんです~」
「レンブラントの事は今日はお父様達にお任せして。フレジット、こちらへ来てちょうだい。シュマイゼル様、レイクリフ様、弟のフレジットです。父の補佐として領地の経営に携わっておりました。フレジット、マルグ国王シュマイゼル様と公爵、ジン・レイクリフ様です」
「ほんの小さな頃に会ったかな?立派な青年になった。これからは義弟としてよろしく頼むよ、フレジット」
シュマイゼル様のにこやかな笑みにフレジットもふにゃりと笑って
「勿体ないお言葉です。出戻りの姉をすぐに拾っていただき、感謝の念に耐えません」
少し失礼な言種ですが、その通りなので仕方がありません。でも後でお尻をつねる位はしてあげようと思います。
「初めましてだね?フレジット君。私はジン・レイクリフ。今日からお祖父様と呼んでくれ」
「へ?お祖父様、ですか??」
フレジットも目を丸くするので、例の書類をフレジットに見せる事にしました。
「ふーん、へぇ、ほう」
フレジットの目つきが少し変わります。この子は色々ダメな子ですが、領地経営の、特に損得に関しては鋭い感性を持っています。
「失礼ながら、シュマイゼル様はやってしまいましたね。我が家と我が姉にこんな弱点を作ってしまうなんて。一生突かれますよ?」
「……え?」
「父も母も姉も……勿論この私も永遠に脅しますよ?もっとスマートに出来なかったんですか?焦りすぎです」
「……え?」
「公爵様も悪手ですよ。こんな我が家にしか利益がないような契約はいけません。乗っ取ってくれと言っているようなものじゃないですか。私がお孫さんを否定したらどうするおつもりで?」
「そ、それは仕方がないと思うておるが……フレジット君……雰囲気が変わったのう……」
フレジットはテーブルに書類を叩きつけ
「当たり前じゃないですか!こんな穴だらけの書類を作るなんて!分かってますか?!貴族の失態は従う使用人や民の不幸に直結してるんですよ!民が不幸になれば生産性はただ下がりなんですよ!!しかもかなり長期間!その間の損益をどうするおつもりで?!」
「あ、はい……」
言っている事は正しいのですが、目上の方に言うことではないですね。フレジットはこういう所でまだ我慢が効かないのですね。
「姉さんも!あの阿呆から離れられて安心し過ぎじゃないですか!!」
「……あら、ごめんなさいね……?」
わたくしまで叱られました。フレジットはわたくしにも意見できるようになったのですね、お金の損得勘定の時だけは強気です。本当にその勢いを少しでも他の事に回せはしないのでしょうか……?
285
お気に入りに追加
7,191
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結保証】領地運営は私抜きでどうぞ~もう勝手におやりください~
ネコ
恋愛
伯爵領を切り盛りするロザリンは、優秀すぎるがゆえに夫から嫉妬され、冷たい仕打ちばかり受けていた。ついに“才能は認めるが愛してはいない”と告げられ離縁を迫られたロザリンは、意外なほどあっさり了承する。すべての管理記録と書類は完璧に自分の下へ置いたまま。この領地を回していたのは誰か、あなたたちが思い知る時が来るでしょう。
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】断罪された悪役令嬢は、全てを捨てる事にした
miniko
恋愛
悪役令嬢に生まれ変わったのだと気付いた時、私は既に王太子の婚約者になった後だった。
婚約回避は手遅れだったが、思いの外、彼と円満な関係を築く。
(ゲーム通りになるとは限らないのかも)
・・・とか思ってたら、学園入学後に状況は激変。
周囲に疎まれる様になり、まんまと卒業パーティーで断罪&婚約破棄のテンプレ展開。
馬鹿馬鹿しい。こんな国、こっちから捨ててやろう。
冤罪を晴らして、意気揚々と単身で出国しようとするのだが、ある人物に捕まって・・・。
強制力と言う名の運命に翻弄される私は、幸せになれるのか!?
※感想欄はネタバレあり/なし の振り分けをしていません。本編より先にお読みになる場合はご注意ください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
結婚しましたが、愛されていません
うみか
恋愛
愛する人との結婚は最悪な結末を迎えた。
彼は私を毎日のように侮辱し、挙句の果てには不倫をして離婚を叫ぶ。
為す術なく離婚に応じた私だが、その後国王に呼び出され……
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結保証】あなた方に尽くす理由はもうないんです
ネコ
恋愛
これまで家族と婚約者に従い、ひたすら尽くしてきた私。だが、どんなに努力しても誰一人として感謝などしない。とうとう決定的な裏切りを知ったとき、私は全てを捨てることにした。貴方たちに返り討ちされるより先に、私が先に見切りをつけましょう――さようなら。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
あなたの破滅のはじまり
nanahi
恋愛
家同士の契約で結婚した私。夫は男爵令嬢を愛人にし、私の事は放ったらかし。でも我慢も今日まで。あなたとの婚姻契約は今日で終わるのですから。
え?離縁をやめる?今更何を慌てているのです?契約条件に目を通していなかったんですか?
あなたを待っているのは破滅ですよ。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる