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それからの俺たち

111 ウチはこんなものかもしれない

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「ちょっと二人ともそこに座りなさい」

 夜空には大量の星が降り注ぐ中、ちびリトを抱っこして帰って来た俺たちは、お母様に捕まった。

「病人が!夜に出歩くなんてもってのほかなんです!わかりますかっ!」

「あ、ハイ……すいません」

「しかもリトが連れだしたって言うじゃないですかっリト!」

「ごめんなさい!」

「みゃん!」

 ちびリトはカレンに抱っこされながら元気に鳴いた。大丈夫怒られてるのは俺の方だよ、お前じゃないから……。

「それで帰ってきたら病気は治ってるわ、子供はいるわで!お母様、お母様はあああああどうしたらいいのおおおお!ばかっリトのばかっ!ギアナのばかっ!みんな凄く心配したのよ!!」

 ぽかぽかとお母様に殴られたけれど、俺たちは全部受け止めた。ごめんなさい、だってだれにも言えなかったんだもの。そしてちびリトを連れて帰ってくるなんて想像もしていなかったんだ。

「お母様!リト兄様とギアナ兄様を責めるのは後だわ!この子のお世話をしなくちゃ!やーーーん可愛いのおおおっ獣人の子って可愛いんだけど、この子ものすごく可愛い!あーーーん!みてみてー!男の子よー!キャーついてる!」

「みゃあ……」

「あ、そうね!ミルクかしら!ミルクね!?赤ちゃんの服なんてあるかしら!あ!売り物があるわ!アレを着せましょう!」

 ぱっとお母様はちびリトに夢中になってしまった。子供より孫、なんだよね。

「ギアナ兄様もなんか規格外だけど、リト兄様は、うん。もっと上だよな」

 ザザがため息をついた。

「そうだよなあ、リト兄様は常識じゃ測れないな」

「リト兄様は昔から頼りになるお兄様ですから!」

 ザザもシュルもジュールも部屋にいない俺たちを探し回ったんだろう。疲れた様子だった。

「すまなかったな。そんなつもりはなかったんだが」

 説明できないことが多くてごめんね。俺も申し訳ないとは思うんだけどね。

「ま、いいさ!こういうドタバタしてんのがウチなんだろうからね!」

 なんて頼りになる弟達なんだろう!俺とギアナ様は顔を見合わせて笑う。素晴らしい家族が誇らしい。


 ちびリトはアリュートと名付けた。バカみたいにミルクを飲み、よく眠り、みゃあみゃあ鳴き、気が向いたら人化している。

 流石にあまりこちらに滞在できないカレンが

「ありゅーーーーーーーーー!」

 と叫びを残しながら帰ってゆき、お母様とリンが撫でまわしている。お世話をしてくれる女性も雇ったが、アリュートはどんどん大きくなって、子虎の姿で駆け回り元気いっぱいだった。

「にゃっ!」

「アリュ!?」

 上からアリュートが降ってくるなど日常茶飯事だった。

「誰に似たの?」

「……俺だ」
 
 医者が「ありえない!奇跡だ!」と目を回したギアナ様の体は絶好調で、今日も元気に働いている。

「リトだってだいぶやんちゃだったから。足したらこんな風になってしまったのね」

 はーやれやれ、とお母様はため息をつき、後ろからお世話係の女性が走ってくる。

「こら、アリュ。少しはおとなしくしなさい」

「にゃいっ!」

 わかったかのような返事をしたように感じたが……次の瞬間解き放たれた矢のようにどこかにすっ飛んで行ってしまった。

「ほ、本当にすいません……」

 お世話係の女性に頭を下げて、もう何人か雇ってもらうことにした。本当に申し訳ない!

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