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それからの俺たち

106 領地改造2

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 骨子が決まれば後は労働者を募集しつつ、出店者を募集しつつ……。この辺りは王都から近いから無理なく進みそうだって。残っていた人たちも今の場所よりいい場所に店を出せたり、住む場所もいい土地を提示したりして、なるべく穏便に移動してもらったそうだ。

「ま、結局は金がモノを言うんだよな」

「あはは。真理ですね!」

 人間、食べないと死んじゃうからね。食べるためにはやっぱりお金は必要だもの。自給自足の山の生活だって、少しはお金が必要だった。都会暮らしは尚更だよね。

 潤沢な資金を使って工事の人たちを雇い、指揮をとるのは土木建築部。あったんだ!

「王都の神殿建てたのもここの部署だぞ」

「あっ!そういえばそうか!」

 ちなみにここの土木建築部、なかなか力自慢に好評です。通いと衣食住すべてをフォローする寮住まいが選べるところが人気なんだよね。冬の間、農業ができないとか漁業ができないとか、食い詰め者なんかも雇ってくれるから。荒くれ者が多いけど、寮長も昔冒険者だったとか、そんな人を雇ってるみたい。

「だが、女性や子供はあまり寄らないでおいてくれ」

 どうやっても手癖が治らない人もいるそうだ。さすがにそういう人は雇わないようにしているらしいが……ここから弾かれたら犯罪に手を染めるしかないって人もいるそうで、調整は難しいみたい。

「全員は無理だが、やる気があるやつは真っ当な暮らしができるようにしてやりたい」

 凄いなって思う。俺も習いたい人たちにはガラスの取り扱いを教えたいんだけど、なかなか高温を出せる窯が作れなくてこっちはあまり進んでいない。炭にも限界があるから、誰か火の精霊と契約できる職人が居ればな、と思っている所。
 でも精霊の力を借りれるような凄い人が、俺みたいな職人になりたいって言ってくれるのは少ないので、当分無理かなって思っている。精霊と契約出来たらそのまま王宮に上がって、魔術師になる人が多いからね。

 
 街の取り壊し、家の改修。廃材の使い道……割れたガラスの高価買取などなど……。ディライト領はギアナ様のディライト領に生まれ変わってゆく。

「思い通りに街まで作れるのは、凄く貴重な経験だ。金がどんどん減ってゆくが、5年か10年で取り返せるだろう」

 そういう試算もしながらやっている。ザザもシュルもカレンも興味深そうに聞いているから三人は職人より商人か、それを運営していく方が性に合っているのかもしれない。ジュールとリンはあれは芸術家だな!商人も職人も向いてなさそう!
 あと、お母様も商人向きだと思う。リリー商会、まだまだ行けそうです!



「ディライトの屋敷、どうする?そのまま使うか、建て直すか」

「そのままでも構いませんわ……懐かしさもありますし」

「分かった」

 荒れた屋敷にみんなで入って行く。……汚い!調度品も何もなくなっている。そうなるように仕向けたのは俺たちだけど、こうも荒れていると申し訳ない気持ちになってくる。

「さすがに人を雇おう。庭も家も部屋も整えるけれど、そこまで金はかけないつもりだ」

「俺たちだけで直すのは無理ですもんね」

 荒れているとはいえ最近まで人は住んでいたのだ。そこまでではない。俺たちが少し前まで住んでいた山のボロ小屋と比較したら屋根も壁もちゃんとしてるからね。

「こっちが私の部屋だったのよ。見る影もないわね!」

 お母様が懐かしそうに案内してくれるのが、俺たちには新鮮だった。

「いくつか隠し扉があるから、さがしてごらんなさい」

「本当!?」「すごい!」

 ザザとシュルとジュールとリンは飛んで行った。

「お母様の部屋はお母様が使ってくださいね。私はその隣にしようっと!」

 カレンは下の兄弟がいない間にちゃっかり自分の部屋を決めているようだ。

「あらあら!みんなの部屋も決めないといけないわね。リトはギアナと一緒に部屋で良いんでしょ?」

「お母様っ!?」

 何言ってんのっ!みんないるのにやめてよー!!

「どうせ庭に工房作ってもらってそこにずーっとこもってるんでしょ」

 冷静にカレンに言われてしまった。あ、うん……そのつもりです。いいじゃないかっ楽しいんだもん!


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