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打倒!元実家!
69 レナ・リルベルトは忙しい
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編入生の平民出が男のくせに可愛い顔をしている!と言う噂はあっという間に広がり……不埒者に声をかけられる前にリトさんは
「リト!手伝ってくれ!」
「えっ?!ギアナ様?!」
新しくやってきた購買のパン屋さんに拉致られました。鮮やかすぎる手口で、驚きました!入学早々リトさんは昼休みにパンを売っています。リトさんの可愛らしさがパンを買いに来た生徒たちに広まるのですが……お隣にいらっしゃる獣人のパン屋さんとの関係が……凄く気になるのです。
「リト」「ギアナ様」
もう!こう呼び合うだけで、何か気になりません!?そしてそして!パンをすべて売り終わったあと、二人仲良く並んで、同じお弁当を食べているんですよ!しかも二人並んでくっついて!その距離の近さと言ったら!
「あの二人は付き合ってるのか?」
見た人は全員同じ感想を持つと思います!そして時折、パン屋さんは生徒たちの噂話が聞こえているのか……にやりと笑ってリトさんに親密そうに耳打ちをしたり、抱き寄せたり……そういう想像をしろ!とばかりにしているのです!
「……うわぁ……すげー独占欲だな……同じ獣人として恥ずかしいくらいだ!」
なんてそれをみた獣人の上級生が引いていたので……あれは完全にアレなのではないでしょうか!今日こそリトさんにあのパン屋さんとの関係を聞いてみたかったのですが……。
「どうしたんですか?」
「うっ!!」
なんの罪もない、眩しい笑顔を向けられると聞けないのです!でもいつか聞いてみなければ!
「レナ様!頑張って!」
背後から応援の声が聞こえるけれど、自分でリトさんにお聞きになったら如何かしら?!リトさんは優しいから、邪険に扱われたりしないと思いますわよ!
何かと話題になるリトさんですが、本人は腰が低く、誰にでも丁寧でいつも笑顔でいるので、特に悪い印象は持たれずに過ごしているようです。
成績も上の方であっても1番ではなく、実技も上の方であって1番ではなく……まるで調整しているようにも見えますが、きっと気のせいでしょう。
クラスで席替えはなく、私はまだリトさんの隣に座っています。
「リルベルトさん、よかったらコレ貰ってくれませんか?」
「げ、限定チケットじゃないですか?!」
「すいません、私、女性の知り合いがいなくて配らなきゃいけないのに……渡す人がいなくて……」
リトさん!リトさん!それ、今話題で皆んなが取り合いしている限定チケットですよ!!
リトさんの恋人?のパン屋さん?のギアナ様と言う獣人が開いたパン屋さんは大繁盛店になりました。焼きあがった途端に売れてゆくパン達。
今王都に何箇所か支店ができていて、りんごパンはもはや名物になっています。茶色い素朴な味の全粒粉パンは腹持ちが良いと労働者達に人気です。
小さくて……上にドライフルーツや砂糖で飾り付けられたサクサクパンはお茶会の定番で、あれを知らない令嬢やご夫人は鼻で笑われてしまう程なのです。
その中で….毎月1日に店舗で10点だけ販売される限定商品。それを買うことができるチケット……今、王都の女性なら誰でも欲しがる限定チケット!それをリトさんは無造作にペロリと取り出して、渡してくれたのです!
しかもこれ!商品引き換え券ですよ?!つまり、買う権利のチケットではなくて、お金も払わなくて良い奴?!?!
「今月はティーパーティセットって言ってましたから……あ!もしかして一枚じゃ足りないかなぁ……もう一枚要りますか?」
「え?!?!」
嘘でしょ?!教室中の女子からの視線が痛い!痛いわ!!だってこのチケット、王女様でも手に入れられないって噂なのよ!?
「あっ!ティーパーティじゃない方が良いですか?!大通り店の方はチャームコレクションって言ってましたけど、そっちが良いですか?」
「ま、待って!リトさん!」
「すいません、学園前店と大通り店のを2枚づつしか持ってないんです……南店は遠いですし……」
待つのよ!リトさん!!限定のチケットなんて1枚持ってるだけで垂涎モノなのよ!!それを4枚もって!あなた!私が学園中の女子に殺されてしまうわ!!やめて!
「リトさん!あなたそのチケットの価値が分かってるのかしら?」
リトさんは少し考えていたようだけれど、わかってますよ!と笑う。
「5000ギルです!」
確かに!限定セットのお値段ですわね?!でも知ってます!実際に取引されているそのチケットのお値段は十倍以上でしてよ!
美味しい焼き菓子に、きれいなガラスの作品がついてくる。
みんなに恨まれても、欲しいですわ!
「ありがとう、リトさん」
「よかったら感想教えてくださいね!」
分かりました!私はみんなに恨まれようとも!きっちり使って食べますわよ!!
「リト!手伝ってくれ!」
「えっ?!ギアナ様?!」
新しくやってきた購買のパン屋さんに拉致られました。鮮やかすぎる手口で、驚きました!入学早々リトさんは昼休みにパンを売っています。リトさんの可愛らしさがパンを買いに来た生徒たちに広まるのですが……お隣にいらっしゃる獣人のパン屋さんとの関係が……凄く気になるのです。
「リト」「ギアナ様」
もう!こう呼び合うだけで、何か気になりません!?そしてそして!パンをすべて売り終わったあと、二人仲良く並んで、同じお弁当を食べているんですよ!しかも二人並んでくっついて!その距離の近さと言ったら!
「あの二人は付き合ってるのか?」
見た人は全員同じ感想を持つと思います!そして時折、パン屋さんは生徒たちの噂話が聞こえているのか……にやりと笑ってリトさんに親密そうに耳打ちをしたり、抱き寄せたり……そういう想像をしろ!とばかりにしているのです!
「……うわぁ……すげー独占欲だな……同じ獣人として恥ずかしいくらいだ!」
なんてそれをみた獣人の上級生が引いていたので……あれは完全にアレなのではないでしょうか!今日こそリトさんにあのパン屋さんとの関係を聞いてみたかったのですが……。
「どうしたんですか?」
「うっ!!」
なんの罪もない、眩しい笑顔を向けられると聞けないのです!でもいつか聞いてみなければ!
「レナ様!頑張って!」
背後から応援の声が聞こえるけれど、自分でリトさんにお聞きになったら如何かしら?!リトさんは優しいから、邪険に扱われたりしないと思いますわよ!
何かと話題になるリトさんですが、本人は腰が低く、誰にでも丁寧でいつも笑顔でいるので、特に悪い印象は持たれずに過ごしているようです。
成績も上の方であっても1番ではなく、実技も上の方であって1番ではなく……まるで調整しているようにも見えますが、きっと気のせいでしょう。
クラスで席替えはなく、私はまだリトさんの隣に座っています。
「リルベルトさん、よかったらコレ貰ってくれませんか?」
「げ、限定チケットじゃないですか?!」
「すいません、私、女性の知り合いがいなくて配らなきゃいけないのに……渡す人がいなくて……」
リトさん!リトさん!それ、今話題で皆んなが取り合いしている限定チケットですよ!!
リトさんの恋人?のパン屋さん?のギアナ様と言う獣人が開いたパン屋さんは大繁盛店になりました。焼きあがった途端に売れてゆくパン達。
今王都に何箇所か支店ができていて、りんごパンはもはや名物になっています。茶色い素朴な味の全粒粉パンは腹持ちが良いと労働者達に人気です。
小さくて……上にドライフルーツや砂糖で飾り付けられたサクサクパンはお茶会の定番で、あれを知らない令嬢やご夫人は鼻で笑われてしまう程なのです。
その中で….毎月1日に店舗で10点だけ販売される限定商品。それを買うことができるチケット……今、王都の女性なら誰でも欲しがる限定チケット!それをリトさんは無造作にペロリと取り出して、渡してくれたのです!
しかもこれ!商品引き換え券ですよ?!つまり、買う権利のチケットではなくて、お金も払わなくて良い奴?!?!
「今月はティーパーティセットって言ってましたから……あ!もしかして一枚じゃ足りないかなぁ……もう一枚要りますか?」
「え?!?!」
嘘でしょ?!教室中の女子からの視線が痛い!痛いわ!!だってこのチケット、王女様でも手に入れられないって噂なのよ!?
「あっ!ティーパーティじゃない方が良いですか?!大通り店の方はチャームコレクションって言ってましたけど、そっちが良いですか?」
「ま、待って!リトさん!」
「すいません、学園前店と大通り店のを2枚づつしか持ってないんです……南店は遠いですし……」
待つのよ!リトさん!!限定のチケットなんて1枚持ってるだけで垂涎モノなのよ!!それを4枚もって!あなた!私が学園中の女子に殺されてしまうわ!!やめて!
「リトさん!あなたそのチケットの価値が分かってるのかしら?」
リトさんは少し考えていたようだけれど、わかってますよ!と笑う。
「5000ギルです!」
確かに!限定セットのお値段ですわね?!でも知ってます!実際に取引されているそのチケットのお値段は十倍以上でしてよ!
美味しい焼き菓子に、きれいなガラスの作品がついてくる。
みんなに恨まれても、欲しいですわ!
「ありがとう、リトさん」
「よかったら感想教えてくださいね!」
分かりました!私はみんなに恨まれようとも!きっちり使って食べますわよ!!
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