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家族
63 なるほど、売れる!
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「えーと、コレが皮ごとひいた全粒粉を使ったパンで、こっちがパン用の小麦のパンです。」
俺は上手く説明が出来なかったので、パンを作った。
「ちょっと色が悪いのですが、栄養があって香ばしいですよね。俺、結構好きなんです。よく噛むと美味しい!そしてくるみとかフルーツとか合うんですよー」
「売れる!」
……。
「んんっ!で、こっちがふわふわになるパンです。これはこれで美味しいですよねー」
「なるほど!売れる!」
「売る事ばっかり!」
「はぁ!小麦に種類がねぇ」「いろんなパンが作れるんだねぇ」「りんごパンだよな!ふわふわ」
ジョリーさん、まだいたのね。
「と、いう訳で、別々にひいた粉が欲しいんです。全部一緒にしないで欲しくて……」
「なるほどよく分かった。ところでこのくるみの入ったパンはもう無いのか?」
「食べちゃいましたよ!」
りんごパンはお母様がたくさん焼いたのをアイテムボックスにしまってあったからたくさんあるけど、くるみの入った全粒粉のパンは、さっき試食用に焼いた分しかありません!
「粉をいっぱい買ってください!また作りますから!」
「そんなにたくさん買えないだろうよ。小麦は重いぞ……あ」
「持ちますよ?」
ふふ!思い出しましたね?俺のアイテムボックスの事を!
「リトは商人に向いてる……いや、リトが運ぶのはちょっと嫌だな……俺が心配で禿げちまう」
「ギアナ様が禿げるのは少し嫌ですね」
俺は行商人は出来ないみたいだ。
俺たちは個人で消費するには少し多すぎる小麦を買い込んだ。お母様はまたパンを焼いてくれるだろうか。やっぱり俺が作るよりお母様が作った方が上手だと思う。
「もうお屋敷に住んでるなら、みんなはパン作りとかしないのかな?」
「ああ、リトは貴族の家の子供なんだっけな」
問題なくリザを出て、ウィシュバーグへの街道を進む。荷馬車の後ろに腰を下ろして、ギアナ様と並んで座っている。
後方を見張っているんだ、という事になっている。こうやって俺達はたくさんたくさん話をした。
「お母様もお父様も貴族だって知ったのはつい最近ですから。俺は木こりの息子ですよ」
「木こりの息子が硝子職人の方が不思議だがなぁ。まあ、出来るんだからしょうがないか」
そういう事にしておいてください。神様の事を話せないのがもどかしい。ギアナ様には喋ってしまいたい欲求にいつも駆られる。
ギアナ様なら笑って受け止めてくれる気がするんだもん。俺にもう少し勇気があればなぁ……。
ガタゴトと荷馬車は進む。リザは豊かな穀倉地帯を持つ国。飢えるものが少ないから夜盗や強盗の類は少なかった。
俺達は何事もなく、ウィシュバーグとの国境を越えた。
俺は上手く説明が出来なかったので、パンを作った。
「ちょっと色が悪いのですが、栄養があって香ばしいですよね。俺、結構好きなんです。よく噛むと美味しい!そしてくるみとかフルーツとか合うんですよー」
「売れる!」
……。
「んんっ!で、こっちがふわふわになるパンです。これはこれで美味しいですよねー」
「なるほど!売れる!」
「売る事ばっかり!」
「はぁ!小麦に種類がねぇ」「いろんなパンが作れるんだねぇ」「りんごパンだよな!ふわふわ」
ジョリーさん、まだいたのね。
「と、いう訳で、別々にひいた粉が欲しいんです。全部一緒にしないで欲しくて……」
「なるほどよく分かった。ところでこのくるみの入ったパンはもう無いのか?」
「食べちゃいましたよ!」
りんごパンはお母様がたくさん焼いたのをアイテムボックスにしまってあったからたくさんあるけど、くるみの入った全粒粉のパンは、さっき試食用に焼いた分しかありません!
「粉をいっぱい買ってください!また作りますから!」
「そんなにたくさん買えないだろうよ。小麦は重いぞ……あ」
「持ちますよ?」
ふふ!思い出しましたね?俺のアイテムボックスの事を!
「リトは商人に向いてる……いや、リトが運ぶのはちょっと嫌だな……俺が心配で禿げちまう」
「ギアナ様が禿げるのは少し嫌ですね」
俺は行商人は出来ないみたいだ。
俺たちは個人で消費するには少し多すぎる小麦を買い込んだ。お母様はまたパンを焼いてくれるだろうか。やっぱり俺が作るよりお母様が作った方が上手だと思う。
「もうお屋敷に住んでるなら、みんなはパン作りとかしないのかな?」
「ああ、リトは貴族の家の子供なんだっけな」
問題なくリザを出て、ウィシュバーグへの街道を進む。荷馬車の後ろに腰を下ろして、ギアナ様と並んで座っている。
後方を見張っているんだ、という事になっている。こうやって俺達はたくさんたくさん話をした。
「お母様もお父様も貴族だって知ったのはつい最近ですから。俺は木こりの息子ですよ」
「木こりの息子が硝子職人の方が不思議だがなぁ。まあ、出来るんだからしょうがないか」
そういう事にしておいてください。神様の事を話せないのがもどかしい。ギアナ様には喋ってしまいたい欲求にいつも駆られる。
ギアナ様なら笑って受け止めてくれる気がするんだもん。俺にもう少し勇気があればなぁ……。
ガタゴトと荷馬車は進む。リザは豊かな穀倉地帯を持つ国。飢えるものが少ないから夜盗や強盗の類は少なかった。
俺達は何事もなく、ウィシュバーグとの国境を越えた。
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