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俺
6 ブドウジュースで酔いました?
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俺の作ったガラスの神像は家に飾って朝晩祈る事にした。
「にーちゃ、キラキラで神たんきれいねー」
「そうだね。リンも神様にお祈りするんだよ?」
「あーい、神たんよろろですよ」
光を反射する像は喜んでくれているようだった。
俺たちは働く。木を切り、薪を集め、柵で囲った畑を作り。川で魚を獲り、罠で獣を捕まえる。
捕まえたら、加工し、毛皮はなめし、羽は布団に。肉は干したり薫製にしたり、アイテムボックスにしまったり。
家を広くし、部屋を増やして、俺の工房を横にくっつける。
川から水を引き、洗濯をする。
「ねえ、サラやん!炭作ろう。サラやんの火力があれば炭を作れるよ」
「木の蒸し焼き?やってみよか!」
俺たちは炭作りに取り掛かる。予想通りサラやんの力で大成功で、母さんに好評だ。
「お鍋が黒くならないのね!それに木より煙も出ない」
「良かった!」
これを街で売れるようになればなあ。薪で売るよりパンが多く買えるんだけどな!
夏は過ぎて、忙しい秋が来た。家族全員で木の実を拾い、きのこを獲り、ヤマブドウを集めた。
「うふ、うふふふふ!」
「ど、どうたんや!リト!」
「知ってるぅ?サラやーんヤマブドウジュースって美味しいんだよー?」
「えっ!まじか!」
「そ・し・て!発酵したら、自家製のワイン……お酒が出来ちゃうんだぞー!」
「ま、まじかーーー!いいのか!リト!」
「良いんじゃない?うへへ!楽しみー!」
俺は専用のガラス瓶まで作ってしまった!
あー!ヤマブドウの蔓を引っ張る手に力が入るずぇーーー!
川には鮭みたいな魚も上がって来て、かなり捕まえて、干物や薫製にしてアイテムボックスに詰め込む。
俺のアイテムボックス!かなり広ーい!ありがとう神様!
どんぐりをいっぱい食べたイノシシは美味しいし、ワクワクが止まらない!母さんもイノシシベーコン作りに忙しくて、これ売れるかも?ってくらいの沢山作った。
果物も沢山手に入れて、今年の冬は楽しく過ごせそうだ。
俺がサービスでヤマブドウジュースを1本開けた日の事だった。
「リト」
「え?エイム様?」
馬に乗って街から続く道をエイム様が登って来た。
「秋の忙しい時期にすまないね。冬になると、流石に来る事が出来ないからね」
「え、あ、はい。ここは山の中ですからね」
本当にまた来るとは思わなかった。エイム様はお土産としてパンと……ケーキを持って来てくださった。
「な、なにこれ!美味しい!!」
兄弟が全員エイム様の信者になってしまった。もう!甘いものはずるい!
「喜んで貰えて嬉しいよ」
確信犯的な笑み!エイム様、結構策士でしょ?!俺は戦慄した!
「えいむちゃま!これ!にーにが作ったじゅーす、美味しいのー」
「あ、こら!リン」
小さな子供は勇猛果敢だ。エイム様にグラスに入ったヤマブドウジュースを渡す。こらこら!偉い人に飲ませる物じゃないよ!
「ありがとう、リン。頂きます」
「エイム様!」
一緒に来た、部下らしき人が止めるのも聞かず、エイム様はヤマブドウジュースを飲み干してしまう。
「おいちぃでしょ?」
「うん、美味しいね」
にっこり、リンも大満足そうに笑った。
「しかし、このグラス……どこで手に入れた?」
「リト兄が作ったんだよ」
あっ!ザザまで余計な事を!
「作った……?リトが……?」
「いや、あの……」
しまった。家族だけなら問題ないけど、エイム様はいかん。何せ多分まだこの世界にないくらい、
「透明で、歪みがなく……薄い」
ですよねー!!!俺がガラス職人なのはこの世界ではどう言う扱いなんだろう?!
「えーと、ですね」
俺はどうしても断れなくて、掘建て小屋……俺の工房にエイム様を招き入れた。
「……凄いな……」
中は光の渦だ。試作品を含めた沢山のガラス作品が所狭しと並んで、光を反射している。
「俺、ガラスの加工が……得意でして……」
「……手に……手にとっても……?」
「どうぞ」
試作した装飾の施された瓶。イメージは高級化粧品を入れるもの。糖度の高いアイスワインでも入れれば映えそうな、細くて繊細な瓶。どっしりしたもの、四角いもの。
簡単な梁から吊るされた無数の滴のような硝子。シャンデリアより、夜空の星々のように、統一性なく、ぶら下がっている。色も透明から、赤、青、黄色と様々だ。
思い出したり調べたりして作ったコップやグラスの数々。色も豊富で同じ物は一つもない。
風はないが、触れればシャランシャランと涼しげな音を立てる飾り。シンプルな風鈴。
見せる物じゃないよなぁ、きっとやばいよなぁ……こんなのこの世界にはないはずだもんなぁ……。
俺は内心嫌な汗をたっぷりかいた。エイム様はただひたすらに、手に取り感心している。
大丈夫かな……この世界でも問題ないかな???
「リト」
「は、はい!」
エイム様はどう思ったんだろう。俺は何を言われるのかな……。ドキドキしながら待っていると、とんでもないことを言われた。
「リト。結婚して欲しい。今回はそれを伝えたくて来たんだ」
「はあ?!」
脈絡がなさ過ぎて、俺じゃなくても素っ頓狂な声を上げると思う!
「にーちゃ、キラキラで神たんきれいねー」
「そうだね。リンも神様にお祈りするんだよ?」
「あーい、神たんよろろですよ」
光を反射する像は喜んでくれているようだった。
俺たちは働く。木を切り、薪を集め、柵で囲った畑を作り。川で魚を獲り、罠で獣を捕まえる。
捕まえたら、加工し、毛皮はなめし、羽は布団に。肉は干したり薫製にしたり、アイテムボックスにしまったり。
家を広くし、部屋を増やして、俺の工房を横にくっつける。
川から水を引き、洗濯をする。
「ねえ、サラやん!炭作ろう。サラやんの火力があれば炭を作れるよ」
「木の蒸し焼き?やってみよか!」
俺たちは炭作りに取り掛かる。予想通りサラやんの力で大成功で、母さんに好評だ。
「お鍋が黒くならないのね!それに木より煙も出ない」
「良かった!」
これを街で売れるようになればなあ。薪で売るよりパンが多く買えるんだけどな!
夏は過ぎて、忙しい秋が来た。家族全員で木の実を拾い、きのこを獲り、ヤマブドウを集めた。
「うふ、うふふふふ!」
「ど、どうたんや!リト!」
「知ってるぅ?サラやーんヤマブドウジュースって美味しいんだよー?」
「えっ!まじか!」
「そ・し・て!発酵したら、自家製のワイン……お酒が出来ちゃうんだぞー!」
「ま、まじかーーー!いいのか!リト!」
「良いんじゃない?うへへ!楽しみー!」
俺は専用のガラス瓶まで作ってしまった!
あー!ヤマブドウの蔓を引っ張る手に力が入るずぇーーー!
川には鮭みたいな魚も上がって来て、かなり捕まえて、干物や薫製にしてアイテムボックスに詰め込む。
俺のアイテムボックス!かなり広ーい!ありがとう神様!
どんぐりをいっぱい食べたイノシシは美味しいし、ワクワクが止まらない!母さんもイノシシベーコン作りに忙しくて、これ売れるかも?ってくらいの沢山作った。
果物も沢山手に入れて、今年の冬は楽しく過ごせそうだ。
俺がサービスでヤマブドウジュースを1本開けた日の事だった。
「リト」
「え?エイム様?」
馬に乗って街から続く道をエイム様が登って来た。
「秋の忙しい時期にすまないね。冬になると、流石に来る事が出来ないからね」
「え、あ、はい。ここは山の中ですからね」
本当にまた来るとは思わなかった。エイム様はお土産としてパンと……ケーキを持って来てくださった。
「な、なにこれ!美味しい!!」
兄弟が全員エイム様の信者になってしまった。もう!甘いものはずるい!
「喜んで貰えて嬉しいよ」
確信犯的な笑み!エイム様、結構策士でしょ?!俺は戦慄した!
「えいむちゃま!これ!にーにが作ったじゅーす、美味しいのー」
「あ、こら!リン」
小さな子供は勇猛果敢だ。エイム様にグラスに入ったヤマブドウジュースを渡す。こらこら!偉い人に飲ませる物じゃないよ!
「ありがとう、リン。頂きます」
「エイム様!」
一緒に来た、部下らしき人が止めるのも聞かず、エイム様はヤマブドウジュースを飲み干してしまう。
「おいちぃでしょ?」
「うん、美味しいね」
にっこり、リンも大満足そうに笑った。
「しかし、このグラス……どこで手に入れた?」
「リト兄が作ったんだよ」
あっ!ザザまで余計な事を!
「作った……?リトが……?」
「いや、あの……」
しまった。家族だけなら問題ないけど、エイム様はいかん。何せ多分まだこの世界にないくらい、
「透明で、歪みがなく……薄い」
ですよねー!!!俺がガラス職人なのはこの世界ではどう言う扱いなんだろう?!
「えーと、ですね」
俺はどうしても断れなくて、掘建て小屋……俺の工房にエイム様を招き入れた。
「……凄いな……」
中は光の渦だ。試作品を含めた沢山のガラス作品が所狭しと並んで、光を反射している。
「俺、ガラスの加工が……得意でして……」
「……手に……手にとっても……?」
「どうぞ」
試作した装飾の施された瓶。イメージは高級化粧品を入れるもの。糖度の高いアイスワインでも入れれば映えそうな、細くて繊細な瓶。どっしりしたもの、四角いもの。
簡単な梁から吊るされた無数の滴のような硝子。シャンデリアより、夜空の星々のように、統一性なく、ぶら下がっている。色も透明から、赤、青、黄色と様々だ。
思い出したり調べたりして作ったコップやグラスの数々。色も豊富で同じ物は一つもない。
風はないが、触れればシャランシャランと涼しげな音を立てる飾り。シンプルな風鈴。
見せる物じゃないよなぁ、きっとやばいよなぁ……こんなのこの世界にはないはずだもんなぁ……。
俺は内心嫌な汗をたっぷりかいた。エイム様はただひたすらに、手に取り感心している。
大丈夫かな……この世界でも問題ないかな???
「リト」
「は、はい!」
エイム様はどう思ったんだろう。俺は何を言われるのかな……。ドキドキしながら待っていると、とんでもないことを言われた。
「リト。結婚して欲しい。今回はそれを伝えたくて来たんだ」
「はあ?!」
脈絡がなさ過ぎて、俺じゃなくても素っ頓狂な声を上げると思う!
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