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22 立ちはだかれない秘密

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 なんだかゴージャスでロイヤルな取り巻き的な存在が出来てしまった私は、そろそろゲームでいう所のイベントを起こさなくてはいけない。
 断罪される系の悪役令嬢はざまぁされないように物語を変えてゆくじゃない?でも私はこのゲームのストーリーを楽しみたい……だからゲーム通りにあえて進むの!

 ふふ、学園の門の所で聖女ミオに声をかけるのよ!

「あなたが聖女?王太子殿下と仲良くしているそうね?少しは恥を知りなさい」

 うん、ばっちり覚えているわ。よーし、学園の門の所で待ち伏せよ!


「お嬢様、早く朝食を食べてしまいませんと遅刻してしまいます」
「え?あ、そうね、頑張るわ!」

 寮の朝食は半分以下に減らして貰っているはずなのに、食べても食べても減らないのよ……おかしくないかしら?

「お嬢様、もう出発しませんと間に合いません。間食用にクッキーを持ちました、学園に参りましょう」
「まあ、大変だわ……急ぎましょう!」


「……おかしいわ」
「今日は日差しが強かったので致し方ありませんよ」

 カタリナは慰めてくれるけれど、寮から学園までの短い間だったのに、眩暈を起こしてそのまま救護室へ運ばれてしまった……どうしよう、これじゃイベントを起こせないじゃない。

「カタリナ、聖女様はもう教室についたのかしら」
「そうですね、授業も始まっていますし。お付きになられていると思います」
「うう……一体どこでお声をかけたらいいのかしら?」

 まさかこんなにアリシアの体力がないなんて。ゲームのアリシアは一体どれだけ頑張って悪役令嬢をやっていたんだろう……凄い根性あるんじゃない!?頑張って起き上がってもまだ眩暈がして、先生に許可をいただけないし、せめてお兄様には内緒にしてもらおうと思ったのに、1時限目が終わると飛んでいらっしゃった……恥ずかしい。

「今日はもう帰った方が良いのではないのかい?アリー」
「いえ、もう少し休めば大丈夫ですわ!」

 なんとか3時限目からは出席が出来たけれど……もしかしてゲームのアリシアの成績が悪いのは授業を受けられなかったから?出席日数とかも気をつけないと卒業できないかも……?え、いやよ!最後の卒業イベントに出れなきゃ断罪されないじゃない。ざまぁのない乙女ゲームなんて苺の乗ってないケーキと一緒じゃないっ!

「わ、私……頑張って授業出るわ」
「ご無理はなさいませんよう、まだ生活に慣れていないのですわ」
「そうね……早く学園生活に慣れなくちゃ」

 そう意気込んだものの私が聖女ミオの前に立ちはだかれる機会はやって来なかった。

「アリシア様!今、聖女のそばには殿下がいます」
「あ、明日にするわ……」

とか

「聖女様が一人で廊下に!今よっ」

 勢いよく立ち上がったもんで立ちくらみが……。

「大丈夫か?!アリシア嬢!頭でも打ったら俺がエヴァンに殺されるっ」

 いや、そこは自分の心配をしなくてもよくてよ、クレス様。

「アリシア、今日は薬学科の先生に一緒に会いに行こう」
「あ、あのファルク様……はい……」

 ファルク様のお誘いを断ることなんて出来ないわ……こうしているうちに聖女ミオはヴィクター殿下と一緒に去って行く。殿下が名残惜しそうにこっちを見るから、慌てて視線を逸らせた。
 あそこまで言ったのに諦めてないのかしら?ちょっと怖いわ。


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