上 下
61 / 71
第2章

58.武器と防具を製作しますが、リアにもアレを作りましょう

しおりを挟む
 ふぅ、武器はこんなものでしょうか。3人分の武器を作り研ぎまで終わりました。
 抵抗なく紙が切れたので問題ないでしょう。明日は短剣2本と鎧を作ります。

 今日はそろそろ日が沈みそうなので終わりにしようとしたのですが、なぜでしょう、沢山の人にジッと見られています。冒険者ギルドで名前を呼ばれてからずっと付いて来ています。
 仕方がありません、日が暮れるまで可能な限り対応しましょう。
 10人分の修理が終わった時点で日が暮れました。流石に他の人には諦めてもらいますか。

「お疲れ様しずかさん、修理は終わった?」

 リアが迎えに来てくれました。

「ええ、今日はこれでお終いですね。お腹も空きましたし」

「じゃあご飯食べに行こ。みんな待ってるよ」



 リアに連れられて来た場所はエルドランでも大きい飲食店です。そういえばユグドラでもここには入った事がありませんね。コレオプテールばかりでしたから。
 アズベルパーティーに迎え入れられて楽しく食事が出来ました。

 食事の後、女性メンバーの家に泊まらないかと言われましたが、夜は夜でやる事があるので申し訳ありませんがお断りしました。
 夜のうちにルーンストーンと革鎧を仕立てないと明日中に終わりそうにありませんから。



 翌日になり鍛冶屋へ向かうと相変わらず行列ができていました。
 残念ながらやる事があるので丁重にお断りしました。

 まずはケンタウリの短剣を作り、アルファ、フレディの盾と鎧を作りましょう。
 アルファとフレディの鎧は悩みました。2人とも金属の鎧は音が五月蠅くて嫌らしいのですが、今の鎧・リングメイルでは防御力の大幅な強化は難しいです。
 
 なので苦肉の策として昨晩作った革鎧に針金を埋め込み、表面に金属のリングを縫い付けました。これならリングで止められなかった刃物の威力を針金で更に弱める事が出来ます。
 革鎧自体も可動部分以外はかなり硬くなっているので大丈夫でしょう。

 ロバートの両手持ち大剣は随分と傷んでいます。ブラスティーの大剣を知っているだけに扱いの悪さが目立ちますね。おそらく大剣を扱う腕力が足りないのでしょう、重さに振り回されているようです。手入れはしますが、この手の武器を使うのはやめた方が良いでしょう。

 鎧はチェインメイルにプレートを合わせたシンプルな物でした。こちらの痛みは少ないので簡単な手入れで完了です。

 ずいぶん時間が掛かってしまいました。すでに日が落ちていますね。
 待っていた冒険者さんには申し訳ありませんが今日はお終いです。

 今日はリア達との食事もそこそこに宿に戻ってきました。
 今からが本番です。リアの冒険衣装を作成します!本当は冒険者になった時にプレゼントしたかったのですが、中々タイミングが合わず作れませんでした。
 今までは素材採集時の衣装でしたが、専用の衣装があった方が気分も上がるでしょう。
 ふふふっ、なんでしょうこの高揚感は。娘や妹に作るような気分でしょうか。



「しずかさん、起きて」

 誰ですか、私はやらないといけない事があるんです、起こさないでください。

「しずかさん、しずかさん、朝だよ起きて」

 ですからやる事が……朝? 目を開けて周りを見回します。どうやらイスに座ったまま寝てしまったようです。衣装はどうなったのでしょうか。ああ、完成していました。

「おはようございますリア、どうやら寝てしまったようですね」

「おはよう。2日で全部揃えるんだから大変だよね」

「ええ、しかし何とか間に合いました」

「流石だね! じゃあ朝ごはん食べに行こ」

「そうですね、でもその前にリア、これを着てみてください」

 ギリギリ完成したリアの冒険衣装を手渡します。

「これは?」

「冒険者になったお祝いの冒険用衣装です。ルリ子の衣装をベースに作りました」

「いいの?本当に!ありがとうしずかさん!」

 扉に鍵をかけて窓のカーテンを閉めました。私は着替えを見ない様に机の上の片付けでもしましょう。

「カワイイ衣装をありがとう。どう、似合う?」

 着替えたリアが隣に来ました。

「よく似合っています」

 赤地に緑のラインが入ったプリーツスカートに黒いニーソックス、ピンクのキャミソールと薄い緑色の長そでシャツ、先の尖っていない小さめの赤い魔法使い帽子の組み合わせです。
 嬉しそうにクルクル回ったり鏡で背中を見ています。喜んでくれてよかった。

「それでは朝食をとりに行きましょうか」

 鍵を開けて扉を開けようとしましたがリアに止められました。

「あのね、その~、ユーさんに替わって欲しいかなって」

 ユグドラに?ああ、なるほど。
 鍵を閉めなおしてキャラクターチェンジをしました。

ー ー ー

「おはようユーさん! ねえねえほらほら見てみて!」

「おはようリア。んん~~~……ッカワイイ!似合ってる!」

 俺にいろんな角度から見せようとポーズをとりながら向きを変えている。
 うんうん、やっぱりリアは緑とピンクが良く似合うな。初めて会った時の服の印象が強かったせいかな。

「ねえ、ピンクは分かるけど、どうして緑色が入ってるの?」

 まさに今考えていた事です。

「初めてリアにあった時の服の色が可愛くて好きだったから」

「覚えててくれたんだ、嬉しい」

 手を握ってキスしてくれた。俺も嬉しくなった。
 リアが嬉しくて回るたびにスカートの裾が浮く。!! 悪魔的な閃きをした俺は床に座ってクルクル回るリアを見る事にした。
 こここここここれでパンツが!!

「あれ?」

「ユーさんのエッチ」

 そういえば中が見えない様にインナーズボンがあるんだった、忘れてた……
 それでも恥ずかしそうにスカートのすそを抑えるリア。この仕草が見れただけでもOKだ!
 はぁ~……今晩の宿は2人部屋にしよう、絶対。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

処理中です...