ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

文字の大きさ
上 下
361 / 373
第7章 改変された世界

第359話 霧の中を知る者

しおりを挟む
「行くか『迷わずの霧』へ」

「でも大丈夫なのシュウト君、拒絶反応がでるって……」

「今は拒絶反応よりも、パメラという女が気になって仕方がない。これだけ苦労させられるんだ、きっといい女なんだろうな」

 アイカ剣術JKの心配をよそに、修斗はパメラに何としても会いたくなっていた。
 今までの女達は会いにさえ行けば記憶が戻り、以前通りに修斗に仕えるようになった。
 しかしパメラは存在自体を疑いたくなるほどに居場所がわからなかった。

 それが存在すると分かり、しかも修斗から逃げおおせている。
 興味が湧かないはずがない。

「よし、くぐるぞ」

 空間を『迷わずの霧』近くにつなぐと、修斗達の前に大きな穴が開き、霧が立ち込め始めた。
 穴をまたいでくぐると、そこはすでに『迷わずの霧』のすぐ側だった。

「ぐっ! くそっったれ、一体何の影響だ、魔法でも人技夢想じんぎむそうでも防御してるのに、頭の奥底から痛みが湧いてきやがる!」

「ご主人様、ご無理はなさらない方が……」

「いやメシューゼラ元娼婦、今だ、今やらないといけない事なんだ。今を逃したら次に見つけられるのはいつになるかわからな……っいんだ」

 顔を苦痛にゆがめながら、修斗は霧に向かって歩き出す。
 しかし頭痛はさらにひどくなり、修斗の呼吸は荒く、全身から汗を垂れ流している。
 視界もぼやけてくる。

「2人とも、俺を……俺を支えろ。俺の足が止まっても、前へ進むんだ……っ!」

 アイカとメシューゼラが修斗を両脇から支えると、修斗はうわごとの様につぶやいていた。
 ふざけるな、俺を誰だと思ってる、絶対に許さん、こんな目に会わせた奴を八つ裂きにしてやる、と。
 ゆっくり、ゆっくりと進んでいくのだが、修斗の容態は悪化する一方で、よだれを垂れ流し、意識は混濁し、嘔吐おうとも繰り返していた。

 しかし暴れたりしないのは、ひとえに修斗の意地だった。
 これ以上無様な姿をさらす事は、アイツが喜びそうで嫌なのだ。

「修斗君、着いたよ。これが……『迷わずの霧』なんだね」

 修斗達はそびえたつ霧の壁の前に到着した。
 初めて見てもわかるこの霧の異常性……流れる事なく、さりとて触れる事は出来ず、息を吹きかけても一瞬で霧が穴埋めを行う。

「うで……を、きりの、きりの中に……いれろ」

 メシューゼラが修斗の腕を持ち上げ、壁となっている霧の中に腕を入れる。
 数回深呼吸をすると、唸り声のような悲鳴のような声と共に腕から何かの力が発せられた。
 腕周辺の霧が無くなる。
 霧が……霧で埋まらない。

「穴が開いています! ご主人様!」

 メシューゼラの言葉で、修斗は更に力を発動させる。
 すると穴はさらに深くまで開き、さらに深く、深くまで穴が開くと、向こうには光が見えた。

「え? 向こうに何があるの?」

 アイカが霧の向こうを凝視した時だった、何者かが突如として背後に現れた。

「入ってくるんじゃないよ! ここはアタイの場所だ!!」

 乱雑に切られた赤毛、黒いバンダナを巻き、胸元が開かれたベストにダメージジーンズの様なズボンをはいた女が、ナイフを投げつける。
 アイカが即座に反応し、刀でナイフを弾き返す。

「パ、パメラさん!? いきなり何をするんですか!」

「お前もか! なんでアタイの事を知ってるんだい!? 前にアジトに来た女もそうだ! たかが小悪党のアタイを、どうしてそこまで気に掛けるんだろうねぇ!」

 第1夫人であり9人の悪夢の騎士トリプルナインの筆頭、修斗の最初の女であるパメラが、修斗達3人に襲い掛かってきた。
 しかし記憶が戻っていないため、修斗達の事を敵と認識しているようだ。

「私はアイカです! 覚えていないと思いますが、修斗君の目を見たら思い出しますから!」

「五月蠅い小娘だねぇ! ここはアタイのもんだ! 他の奴を入れる訳にはいかないんだよ!」

 パメラはナイフで素早い連撃を繰り出し、アイカに襲い掛かる。
 しかし記憶の戻っていないパメラの攻撃は、今のアイカには通用しない。
 長い日本刀を持っているにもかかわらず、ナイフよりも素早くあやつりすべての攻撃を受け流す。

「落ち着いてくださいパメラさん! ここはみんなの場所です、私達みんなの思い出の場所なんです!」

「五月蠅いっていってるんだよ! この街はアタイが、アタイが唯一落ち着ける場所なんだ! 他の奴の事なんざ知らないねぇ!」

「え? 街? パメラさん、中に入れるんですか!?」

 その問いには答えず、距離を取るとナイフを2本投げつける。
 刀で弾き、何とか取り押さえようと再び距離を詰めるのだが、更にナイフが飛んでくる。
 再度ナイフを弾くのだが、弾いたナイフが消えて無くなった。

「え? あ!」

 そう、以前修斗が造った投げナイフ、念じれば手元に戻って来るナイフだ。
 距離を詰めない限り、永遠にナイフが飛んでくる。

「今のパメラさんならいいけど、本調子のパメラさんだったら悪夢のような攻撃だわ」

 記憶が戻っていない女達のステータス上限は1000前後。
 それだけでも十分に強いのだが、記憶が戻れば数十倍にもなるため、想像しただけでも恐ろしい。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

異世界で美少女『攻略』スキルでハーレム目指します。嫁のために命懸けてたらいつの間にか最強に!?雷撃魔法と聖剣で俺TUEEEもできて最高です。

真心糸
ファンタジー
☆カクヨムにて、200万PV、ブクマ6500達成!☆ 【あらすじ】 どこにでもいるサラリーマンの主人公は、突如光り出した自宅のPCから異世界に転生することになる。 神様は言った。 「あなたはこれから別の世界に転生します。キャラクター設定を行ってください」 現世になんの未練もない主人公は、その状況をすんなり受け入れ、神様らしき人物の指示に従うことにした。 神様曰く、好きな外見を設定して、有効なポイントの範囲内でチートスキルを授けてくれるとのことだ。 それはいい。じゃあ、理想のイケメンになって、美少女ハーレムが作れるようなスキルを取得しよう。 あと、できれば俺TUEEEもしたいなぁ。 そう考えた主人公は、欲望のままにキャラ設定を行った。 そして彼は、剣と魔法がある異世界に「ライ・ミカヅチ」として転生することになる。 ライが取得したチートスキルのうち、最も興味深いのは『攻略』というスキルだ。 この攻略スキルは、好みの美少女を全世界から検索できるのはもちろんのこと、その子の好感度が上がるようなイベントを予見してアドバイスまでしてくれるという優れモノらしい。 さっそく攻略スキルを使ってみると、前世では見たことないような美少女に出会うことができ、このタイミングでこんなセリフを囁くと好感度が上がるよ、なんてアドバイスまでしてくれた。 そして、その通りに行動すると、めちゃくちゃモテたのだ。 チートスキルの効果を実感したライは、冒険者となって俺TUEEEを楽しみながら、理想のハーレムを作ることを人生の目標に決める。 しかし、出会う美少女たちは皆、なにかしらの逆境に苦しんでいて、ライはそんな彼女たちに全力で救いの手を差し伸べる。 もちろん、攻略スキルを使って。 もちろん、救ったあとはハーレムに入ってもらう。 下心全開なのに、正義感があって、熱い心を持つ男ライ・ミカヅチ。 これは、そんな主人公が、異世界を全力で生き抜き、たくさんの美少女を助ける物語。 【他サイトでの掲載状況】 本作は、カクヨム様、小説家になろう様でも掲載しています。

処理中です...