ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

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第7章 改変された世界

第351話 家族の会話

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「え~っと? ただいま?」

 玄関に入った修斗は、思わず靴を履いたまま家に上がろうとしたが、足を止めて靴を脱いで上がる。
 アイカの家に行った時も間違えた。
 聞きなれない声がして家族が玄関に現れる。

「えっと、どちら様ですか?」

 母親だ。
 その後から父親が顔をのぞかせ様子を見ている。

「俺だよ、修斗だ」

「……誰だか知りませんが、悪質な冗談はやめてもらえますか」

 あからさまに不機嫌な顔をして、追い返そうと修斗達を両手で押す。

「まぁ待てよ。そうだな、久しぶりにうどんを作ってくれよ、とろろ昆布の入ったシンプルなやつ」

「ど、どうしてそんな物を作らないといけないの! いい加減にしないと警察を呼ぶわよ!」

 少し戸惑いはしたが、母親は力を緩めずに押してくる。

「ん? 好きな食い物だったんだが、忘れたか。まあいい、覚えていないなら部屋だけ見て帰る」

 母親の手を押し返し、階段を上がって自分が住んでいた部屋に入ろうとする。

「待て! その部屋に入る事は許さん! さっさと出て行け!」

 父親が鬼の形相で、しかもバットを手に構えている。
 修斗自身も自分が息子だと説明するつもりはないが、ここまで拒否されると昔と同じ感情が沸き上がってくる。
 やっぱり自分はこの家には必要ないんだ、と。
 
「確かに体は違うが、せめて数年ぶりに俺が死んだ部屋を見るくらいは構わないだろう?」

 そう言ってドアノブに手をかけて扉を開いた。
 暗い部屋の電気を付けると、そこには記憶にあったままの部屋がそのまま残っているではないか。
 ゴミは捨てられて少し整頓されているが、ほとんど記憶にあるままの部屋がそこにあった。

「ん? まだ整理が終わってないのか? 俺が死んでからそれほど経っていないのか?」

「シュウト君の部屋ってこんなんだったんだ。アニメとか好きなの?」

「ああ、引き籠っている間はアニメやゲームばかりだったからな」

「修斗君はどうして引き籠ってしまったの?」

 アイカとるり子女教師が興味津々に部屋を覗き込んでいる。
 一応父親と母親が居るので遠慮していたが、興味の方が上回ったようだ。

「イジメさ。下らない理由でイジメが始まって、学校に行くのが嫌になったんだ」

「酷い! イジメなんて許せないよね!」

 その会話を聞いて、両親は1つの疑問が頭に浮かんだ。
 学校に問い合わせても「イジメの事実はない」の一点張りだったが、この男はイジメと言い切った。
 修斗に近い人物かとも思ったが、当時親しかった友人に聞いてもイジメではないと言っていた。

 ではなぜイジメと言い切れるのか。
 父親は試して見る事にした。

「そこにパソコンがあるだろう? パスワードがかかっていて使えないんだ。お前が修斗だというのなら、パスワードを知っているはずだ」

 指さした先には背の低いテーブルに置かれたデスク型パソコン。
 いつでも寝れるように布団が敷いてあったが、今は仕舞われている。

「お安い御用だ」

 電源スイッチを押し、1分かからずにパスワード入力画面が映る。
 キー入力をするとデスクトップ画面が現れた。

「使えるようになった! まさか、まさか本当に修斗なのか!?」

「さっきから言っているだろう」

 久しぶりにパソコンに触り、嬉しくなって少し操作をしていたのだが……エロ画像が大量に現れて直ぐに×を押してウィンドウを閉じる。
 
「当時の俺の名誉のために言っておこう。このパソコンは廃棄しろ」

「どうしてだ! 修斗が使っていたパソコンじゃないか!」

 説明が面倒だから破壊しようとしたら、背中から誰かが抱き付いて来る。

「修斗! 本当に修斗なのね!」

 正確に言えば肉体は別人だが、精神、記憶は修斗で間違いない。
 流石に母親には少し後ろめたかったのか、破壊はやめて終了をクリックする。

「うどんを作ってくれ」

「ええ、ええもちろんよ! あなた、あの子にも連絡をして頂戴!」

「おお、そうだな」

 居間に入り、今までの事を色々と話をした。
 信じないだろうと思って話した異世界の事も、両親は直ぐに信用してくれた。
 まぁ異世界ぐらい信じないと、今ここに修斗が居る事の説明がつかないからだが。

「それで修斗、修斗はこっちで暮らすのよね?」

「いや、しばらくしたら元の世界に戻る」

「ええ! そんなこと言わないで一緒に暮らしましょう?」

「向こうでやる事がある。この世界にはこいつを迎えに来ただけだからな」

 そう言ってアイカを親指で指すと、アイカはニッコリと微笑む。
 両親はアイカを見て、そしてるり子女教師を見る。

「こちらの女性もそうなのか?」

「いや、こいつは気に入ったから連れて行こうと思っている」

「ゆ、誘拐にはならないのか?」

「大人が自分で付いて来ると言ったんだ、問題ないだろう」

 そんな話をしていたら、修斗の兄が家に入ってきた。
 また1から説明をしたが、兄は色々と質問をして納得したようだ。
 そもそもパソコンが使えるようになった時点で、99%信用していたようだが。

「異世界? お前が好きだったマンガにあったアレか?」

「そうだ。女神さまが出て来る所までテンプレ通りだったぞ」

「ほぅ? ぜひ会ってみたいな」

「お前、嫁が居るんじゃないのか?」

「嫁と女神さまは別腹だ」

 意外とオタク趣味にも精通している兄だった。
 その晩は夜明けまで飲み明かし、色々と話をした様だ。

 引き籠っている時につらく当たった事は、何とか学校へ行かせようと躍起になっていた様で、本当にイジメがあったとは思っていなかったらしい。
 しかし修斗が死んでから、そもそも引き籠った原因はイジメだったのでは? と思うようになり、酷く後悔していたようだ。

 結果的に修斗は楽しんでいるし、修斗自身も当時の自分は酷かった自覚があった為、特にそれを責める事は無かった。

 翌日は家を出ると修斗が通っていた学校へと向かった。
 アイカとるり子女教師も付いて来るのだが、どうやらアイカは有名人らしく、学校に入ると人だかりが出来てしまう。
 これは丁度いいと思い、修斗は自分の姿を透明にし、校内を歩き回った。

 高校には1年も通っていなかったため、構造が思い出せなくて苦労したようだ。
 
「これか、やっと見つけた」

 図書室の隣、鍵のかかっていた部屋に目的の物があった。
 『○○年度 卒業アルバム』
 そこに載っている顔写真の女。
 修斗をイジメた主犯格の女だ。
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