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第7章 改変された世界

第324話 記憶の断片

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 ハイエルフ側に先制攻撃を許したが、どうやら次は反撃に移るようだ。
 今回は珍しくナターシャ第1王子妃がヤル気で、以前は賢姫けんきと呼ばれ、どちらかというと謀略に長けた女性だった。
 その女性が戦いを選んだという事に、何か意味があるのだろうか。

「どうしたんだナターシャ。アンタが戦いたがるなんて珍しいな」

「運動には丁度いいでしょう。それに……以前通りに動けるか試してみたいのです」

 剣姫けんきと呼ばれたキャシー第2王子妃が戦いを担当していたのだが、もちろんナターシャが戦えないという事ではない。

 ナターシャが腰に掛けられた小さなバッグから、鎖でつながれた5つの指輪を2セット取り出す。
 それを両手の指にはめ、腕を前に突き出すと1度手を握って開き、指輪が静かに唸り声を上げるように音を出した。
 音がやむと同時に何かが射出され、目に見えない何かの音だけが周囲に広がっていく。

「ぐわぁ! な、なんだ一体! おのれ! 千天弓せんてんきゅう!!」

 先ほどと同じ声だが、今度は間違いなく場所がハッキリしていた。
 漆黒の槍が飛んできた方向よりもはるかに右、そこで1人のハイエルフが何かに絡み取られ、持ち上げられている。
 そして発動したスキル千天弓により、雨のような矢が降り注いでくる。

 1発1発が数名を貫通できる威力があり、一撃必殺の矢が無数に降り注いでくるのだが、その矢は1本たりとも殺傷には繋がらなかった。
 降り注ぐ矢を剣で弾き、魔法で撃ち落とし、防御魔法で防ぎ、わずかな隙間をかわしていた。

「な!? ば、バカな! 私の千天弓が!」

 本来の能力が出ていたのなら、恐らくは甚大な被害が出ていた事だろう。
 しかし記憶と共に能力も封印されており、人よりは遥かに強いとはいえ、ハイエルフとしては若いこの女性が、能力を解放されたメンバーを相手に勝てるはずがなかった。

「少々おイタが過ぎましたね。人を拒絶するにしても、話を聞くくらいはしないといけませんよ?」

 胴体を見えない何かに捕まれているのか、ハイエルフの女性はナターシャの前まで空を飛ぶように運ばれてきた。
 ハイエルフは矢をつがえているのだが、どうやら腕も何かに抑え込まれた様で、完全に身動きが取れなくなってしまう。
 
 明るい場所に強制的に連れて来られ、無数の透明な糸が光りに反射しているのがわかる。

「おのれ人間! 一体ここに何の用だ!」

「用があるのはあなたにですよ、カーリン」

「な! なぜ私の名を知っている!」

「今は問答もんどうしている暇はありません。ラグナ、よろしいですか?」

 ナターシャがラグナを呼ぶと、ラグナはカーリンの前に立ち目を合わせる。



 頭痛から回復したカーリン・ピースは、ラグナの前にひざまずいていた。

「申し訳ありませんシュウト殿! 御身おんみに手を上げた大罪、いかような罰も受ける所存でございます!」

 相変わらずラグナは悩んでいるが、この人もを知っている1人なんだなと、納得できるようになった。

「構いませんよ。あなたもを知っているんでしょう? 残念ながらはあなたの事を知りません」

 俺、という言葉に、全員が違和感を覚えた。
 今までのラグナであれば、ティナ以外の相手には私と言っていたからだ。
 それが初対面のカーリンに対して、俺と言っている。

 違和感はそれだけではなかった。
 カーリンの体をまじまじと見まわし、ひざまずくカーリンの頬を優しく撫でたのだ。
 
「さあ立って下さい。あなたも旅に付いてきますか?」

「はい……はい! もちろんです!」

 カーリン・ピースは青みがかった金髪で、ひざ裏まであるストレート。
 背はスラリと高く170センチ以上はあるだろうが、小顔で目が鋭く、緑色の瞳は服の色とよくあっている。
 足は細いが尻は大きめ、胸は控えめのCカップあたりだろう。
 緑を基調とした前を重ね合わせる半袖シャツ、膝上のズボンと茶色い革靴を履いている。

 カーリンハイエルフは村に戻り、急いで旅支度を整えて戻って来る。
 目的はカーリンだったので、特に村に入る必要もないようだ。

 そのまま岩場にあるダークエルフ、ルルナラ・ルーラ・セルテト・ヤ……ルルナラがいる村に行き、仲間に加える事に成功する。
 そして違和感はさらに大きくなり……夜になると、ラグナは積極的に性行為を始めたのだ。

「ら、ラグナ殿は相変わらず絶倫なのだな」

「はぁああんラグナさまの子種がいっぱい……」

 ティナも含め当たり前のように全員と交わり、いつもは女性陣の方が優位なのにラグナが優位に立っていた。
 エルフの村での情事だが、それはもう他のエルフも気になって眠れないほどに激しかったとか。

 今は整備された洞窟内の1室で休んでいるが、ベッドで横になるラグナの周りを9人の女性が群がり、イチモツや乳首、口や足、手を舐めて奉仕している。
 ラグナはそれを……当たり前のように受け止めていた。
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