上 下
311 / 373
第7章 改変された世界

第310話 相変わらずデカイモノ

しおりを挟む
「あそこに見えるのは何!? わ! あっちにも何かあるわ!」

 ティナが魔道車の窓から身を乗り出し、あちこちを指さして興奮している。
 王都を出て次の街を目指しているが、何でもない草原や森を見るだけで嬉しいようだ。
 ティナは自領内から出たことがなく、王都すら行った事がなかったのだが、初めての旅は王都どころか魔の森の近く、場合によっては魔の森に入る事になる危険な旅だった。

「お、お嬢様! 危険ですから身を乗り出さないでください!」

 ラグナは身を乗り出すティナを必死に車内に戻そうと腰を引っ張っている。

「ラグナ? 2人の時はソレはやめてって言ってるでしょ?」

「ふ、2人ではありませんが?」

「お父さまたちがいない時はいいの!」

「わかったから! わかったから中に戻れって!」

 仕方なくラグナに引っ張られるままに中へ戻ると、何故かそのままラグナの膝の上に座る。
 まぁティナの腰を引っ張っていたから、無抵抗で戻ればそうなるかもしれない。
 だが当の本人は顔が真っ赤だ。

「わわわ、私とラグナは一番仲がいいものね、これ位普通よね? ね?」

 さすがに膝抱っこは初めてらしく、チーンと姿勢を正したまま座っている。
 しかしどうやらラグナはそうでもないようだ。

「だ、ダメだったら! 早く降りて! 早く!」

 妙に嫌がるラグナ。
 必死に手でおしているが、その剣幕にティナはもちろん4女傑も不思議がる。
 そしてその理由は一目見てわかるものだった。

 ラグナの股間が膨れ上がっていた。

 どうやらラグナ、修斗としての記憶はないものの、性欲は相変わらず強くイチモツの大きさも変わっていないようだ。
 なのでズボンの上からでも、その大きさが見てわかるほどに膨らんでいる。

「ら、ラグナ! そ、そんなモノ見せないでよ!」

 慌ててラグナから離れ、両手で顔を覆っているのだが、ラグナはバツが悪そうに身をかがめている。
 
「大丈夫ですよラグナ。さ、これを」

 キャロラインがラグナにタオルケットをかけ、隣に腰かける。
 ラグナは股間が気になる様なので、それを見えないようにするためだろう。

「あ、ありがとうございます……その、すみません……」

 随分と小さくなっているが、4女傑にとっては随分と初々しいラグナの態度に少し興奮していた。
 そして身体的には修斗と変わらない事に、喜びを覚えていた。
 運転中のバーバラなどは必死に修斗を見ようとしているが、キャシーに前を見ろと言われて断念した。

 次の街までは魔道車でなら半日もかからないため、1つ飛ばしてもう一つ先の街へと向かうようだ。
 昼食時にひと悶着おきた。食事を誰が作るか、だ。
 ちなみに料理はラグナが出来るほか、ティナ以外の女性陣は料理が出来るため、交代でする事になったようだ。
 ラグナは毎回自分がやると言っていたが、4女傑にとって修斗に料理をさせるなどもってのほかだったため、なんとか交代という事で妥協したようだ。

 道中もそうだったが、すれ違う人々は魔道車に興味津々だ。
 魔道車の数はまだ少なく、各国の国王や一部の貴族だけが持っているため、人々は思わず群がってしまう。
 だが身分が高い人間が乗っているのを知っているため、通行の邪魔はしないようだ。

 夜になり街に到着した。
 王都から街1つ離れているだけなので、この街も大きく人口も多い。
 前の街ではザナドゥの重鎮に繋がる情報はなかったが、この街ではどうだろうか。

「魔道車は宿に預けて、私達は食事にしましょうか」

 キャロラインが高級な宿に魔道車を預け、6人は街の酒場へと向かう。
 女性陣の衣装はドレスではなく、いつの間にかどこにでもいる町娘の衣装になっていた。
 キャロラインは白を基調としたフリル付きスカートに緑で彩られたシャツ。
 バーバラはまるで乗馬でもするようなスーツに近い出で立ち。
 ナターシャはV字ネックの青いワンピースで、腰を広めの帯で押さえている。
 キャシーは赤いチェックの膝上プリーツ、黒い長袖シャツ。

 ラグナは従者の燕尾服。
 ティナはドレスではないが、いかにも高級なスカートに高級なシャツ、高級な帽子をかぶっている。

 なんとまぁ見事にバラバラな服装だが、ギリギリ4女傑とはバレていないようだ。
 そんなアンバランスな面々が酒場に来たものだから、一気に注目を集めるのも当たり前だった。
 6人が座れる席に着いて注文をすると、酔っ払い共が群がってくる。

「ねーちゃん達は旅行かい? 俺達とのまねーか?」
「酒をおごるぜ」
「おーい、酒をどんどん持ってこーい」

 10人以上が集まっただろうか、ラグナとティナはオロオロしているが、4女傑はどうやら慣れているようだ。
 なので一緒に食事をする事になったのだが……飲んで食って話を聞いて、飲んで話を聞いて、飲んで飲んで話を聞いて、飲んで飲んで飲んで話を聞いて……気が付いたら酒樽が数本空いていた。

「おや終わりですか!? まだまだ飲めますよ!」

 バーバラは酔いつぶれた男共に声をかけるが、唸り声が聞こえるだけで反応がない。
 聞きたい事は聞けたうえに、飲み代はおごりなので満足したようだ。

「どうやらこの街には居ないようですね」

「ああ、前の街にも居なかったし、次々と進むしかないね」

 ナターシャとキャシーは残っている料理を口に運び、最後の一口を飲んだ。
 キャロラインもバーバラも少しは酔っているようだが、平然としている。
 それを無表情で眺めるラグナとティナ。

「お、俺は何を見たんだ……?」

「4女傑って、4酒豪の間違いなんじゃない?」

 ちなみにラグナもティナも酒を飲まなかった。
 重鎮の情報が集まらなかったので、もう情報収集する必要も無く高級宿に戻る。
 宿の部屋割りはラグナが超高級な部屋、後の5人は1つの部屋だ。

「おかしいですよねコレ! どうして私がこんな高い部屋に泊まるんですか!?」

 部屋の扉を開けて、すぐさま閉めると4女傑に言い寄る。
 しかし4女傑としては妥協していて、本来なら全員が同じ部屋で寝るのが普通なのだ。

「それならラグナ、同じ部屋で寝ますか?」

 キャロラインの言葉にラグナはたじろぎ、4女傑だけでなくティナもまんざらではなさそうな顔だ。
 そう言われては反論も出来ず、仕方なく部屋に戻る。

 しかし本来の目的は別にあったのだ。
 夜遅く、ティナを置いて4女傑はラグナの部屋に向かった。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜

平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。 『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。 この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。 その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。 一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...