ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

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第7章 改変された世界

第307話 頭痛以外の手掛かり

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 頭痛の治まらない修斗は4女傑によって医務室に運ばれた。
 国王が何かを言っていたようだが、そんなものは耳に入っていないようだ。

「シュウト様、記憶がなかったとはいえシュウト様の事を忘れてしまい申し訳ありません! いかような罰もお受けするつもりです」

 ナターシャがベッドで横になるラグナに向かって頭を下げるのだが、ラグナはまだ記憶が戻っていないため、一体何を言っているのか理解できないでいる。
 キャロラインとバーバラは少し記憶が戻るのではないかと期待していたようだが、どうやら上手く行かなかったようだ。

「あの、いたた……シュウトって誰ですか? 何度も言いますが私はラグナです。どうして私に頭を下げるんですか?」

 時々頭を押さえつつ、何とか4人の顔を見てたずねるのだが、4人の顔は少し暗い。
 やはり修斗としての記憶が戻らないことが悲しいのだろうか。

「ラグナ、シュウトという名前に聞き覚えはありませんか?」

「キャロライン姫……以前あなたが私に向かっていった名前ですね? すみません、どことなく聞いた事があるかもしれませんが、はっきりとは覚えていないんです」

 4人は頭痛をきっかけに記憶を取り戻した。
 なので修斗も頭痛で記憶を取り戻すのではないか、そう思ってナターシャとキャシーに会わせたようだが、結果は戻らなかった。
 このままでは記憶が戻る手掛かりがなければ、ザナドゥ王国に仕えていた人物に会わせたとしても、記憶が戻るか分からない。

「そうだ! ザナドゥ王国です! 王城に行けば何か手掛かりがあるかもしれませんよ!?」

 バーバラ聖女がザナドゥの事を思い出したようだ。
 他の3人も表情が明るくなるのだが、すぐさま考え込んでしまう。

「そういえば、ザナドゥ王国はどうなったのでしょうか。記憶が封印されていた時の記憶では、ザナドゥ王国は無かったように思いますが」

「やはり……そうだねナターシャ。私の記憶にもザナドゥ王国なんて国は存在しない」

「あなた方もですか? 私も封印されていた時の記憶には、ザナドゥ王国はありません」

 今の世界情勢はというと、世界大戦前の状態に近いだろうか。
 しかし世界大戦時に滅びた国は存在せず、国としての体裁が残っていた国のみが残っている。
 なのでザナドゥ王国があった広大な土地は、何故か空白地帯となっていた。

「過去にザナドゥ王国があった場所は……ああ『迷わずの霧』ですね!」

 バーバラ聖女がいう『迷わずの霧』は、ザナドゥ王国があった場所に発生している霧の事だ。
 中に入ったら何故か外に出てしまい、決して奥深くに入る事が出来ない場所だ。
 修斗に関係しているとしたら、霧が晴れて記憶が戻るかもしれない。

「じゃあ『迷わずの霧』へ向かいましょうか」

「ええ! そうしたらきっとシュウト様の記憶が戻るでしょう!」

「急ぎましょう。確か魔道車が空いていますから、それで行けば時間も短縮できます」

「そうとなったら善は急げ! 準備をして出ようじゃないか!」

 盛り上がる4女傑だが、もちろんラグナを置いてけぼりで話が進んでいる。
 なのでおずおずと手をあげて、何とか屋敷に戻ろうと口を開く。

「あ、あの、私はもう戻ってもよろしいでしょうか……?」

 4女傑が一斉にラグナを見る。
 自分達だけで盛り上がってラグナを無視していた事に気が付いたようだ。
 今はラグナとはいえ、元は修斗だ。
 なのでその発言には従いたいのだが……妥協案が出て来た。

「ラグナ、一度ルネリッツ伯爵領へ戻りましょう。そののち私達と旅に出ませんか?」

「ええ!? キャロライン様たちとですか!? そそそ、それは出来ません! キャロライン姫やバーバラ聖女はもちろん、ナターシャ王子妃やキャシー王子妃と共に旅行なんて、不敬罪にも程があります!」

 4女傑の心はすでに修斗の女なのだが、世間的には修斗、ラグナはルネリッツ伯爵の一介の従者だ。
 そんな者が王族と共に旅行など出来るはずもない。

「大丈夫ですよシュ……ラグナ。あなたは私達4人の旅行の従者として付いて来ればいいのですよ?」

「ナターシャの言う通りです! ラグナは私達の従者となればよいのです!」

 バーバラが満面の笑みでラグナに手を差し出す。
 いや今のラグナに手を差し出した所で、その手を取るなんて恐れ多くて出来るはずもない。
 しかし聖女に手を出されて何もしないわけにもいかないので、恐る恐る手を伸ばすのだが、勢いよくその手を取る4女傑。

 ラグナとしても本当は嬉しい事なのだ。
 なにせ4女傑は国で知らない者がいないほど有名で、聡明で武勇に秀でて美しいときている。
 そんな女性と共に旅行なんて楽しいに決まっている。

 しかし今のラグナにはそんな4女傑に付き添うだけの能力がない。

「あれ? なんだこのステータス」

 能力がない確認をしようとステータスを見たら、そこには知らない数字がかかれていた。
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