ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

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第6章 ダンジョンから始まる世界交流

第270話 塔の仕事は終わりです

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「ヤクシさん達は、ザナドゥ王国の冒険者なのか?」

 デビットが神妙な顔つきで質問すると、みんなはその答えを固唾をのんで聞き入っている。

「ザナドゥ王国の冒険者と言いますか、シュウト陛下に仕えています」

「「「「「ぶふーーーー!!」」」」」

 一斉に、盛大に吹き出した。
 それもそうだろう、あらゆる意味で悪名高い修斗に仕えているのだから、あらゆる意味で悪い事をされているに違いないのだから。

「げほっげほっ、ま、待ってくれ、ヤクシさんだけでなく、ガッコウさんやシャンディラさんもなのか?」

「おうよ、シュウト陛下に仕えてるぜ」

「お、王子様は……私の全て……えへ」

 ガッコウは胸を張って、シャンディラは頬を赤らめて答える。
 それを見て男連中は悔し涙を流し、女連中は興味津々だった。

「くそぅ! 口説くつもりだったのに!」

「おのれ! こんないたいけな少女まで毒牙にかけるとは許せぬ!」

「ねぇねぇ! 国王って女ったらしっていうけど、本当にスゴイの!?」

「噂じゃ一晩で10人も相手にしたって聞いたけど、本当かしら!?!?」

 3人は女連中に囲まれて、何故か夜のお話に入っていった。
 流石のヤクシ達3人も大っぴらに夜の話は恥ずかしいようで、宿屋に戻ってから話をする事になった。
 
 そんな事をしていたら、冒険者ギルドから係の者が呼びに来た。
 どうやらアイテムの査定が終わったらしい。
 しかしどうしたのだろうか、係の者の目が泳いでいる。
 今更Sランクのアイテムが出たところで騒ぐことでも……騒ぐことだが、すでに数個出ているためそこまで驚く事でも無いはずだ。

 だがその理由は直ぐに分かった。

「みみみ皆さんお疲れ様です! ここここちらのポーションですが、値段が付けられないんです!」

 一斉に首をかしげるが、もう少し係の説明が入った。

「この、この、このポーションですが、何と効能は『死んでいなければ全てを治す』なんです! いわゆる伝説のエリクサー並みの効果があるんです! それがジョッキ1杯分(500mlほど)もあるなんて信じられません!!!!」

 この世界の回復ポーションはそれなりの能力があるが、それぞれ効能というモノがある。
 簡単に言うと毒消しポーションや麻痺解除ポーションなどが代表的だ。
 病気を治すには、体の抵抗力を上げるためにスタミナポーションを使うのだが、このポーションは全てを治すとなっている。

 ついでにいうと、これらのポーションは小瓶1本を飲む必要があり、今回見つかったポーションは1滴(0.05ml)で十分のようだ。
 なので約1万回使える計算だ。

「へ、へ~。じゃあこれがあれば冒険が楽になるんだなぁ??」

 どうやらイマイチ実感がわかない様だ。
 しかしそれだけでは終わらないのが、今回の100階まで攻略した成果。

「それだけじゃないんです! Sランク武器が2つと、A+の武器が3つもあるんです!!」

 魔法の杖とウォーハンマーがSランク、剣2本、ナイフがA+のようだ。
 これらはSランク冒険者10人が話し合いで所有者を決め、それぞれが使う。
 なおヤクシ達3人はアイテムの所有権を破棄している。

 ポーションの買取価格がつかないため、一時ギルドが保管・保留となったが、それ以外の素材や使わないアイテムを売ると1000Gを超えたため、せめての礼として半分の500Gがヤクシ達に渡された。
 ぶっちゃけ3人はもっと稼いでいるため、500G(5千万円)をもらっても大した事は無い。

 興奮冷めやらぬ中、次の興奮を求めて女性陣は宿へと戻った。
 そこで修斗との夜の生活を赤裸々に聞きだされるのだが……ザナドゥ王国に行きたいけど怖いという、イマイチよく分からない理由のため、今回はこれで別れる事となった。

 さて、反ザナドゥ組織ベフラウィング側に居たヤクシ達3人は、初めての任務を完了させたわけだが、その成果は上々で大手を振って戻れる事だろう。
 ザナドゥ内には少なからず3人を敬遠けいえんする者がおり、修斗のお気に入りとはいえ信用しない者もいる。
 今回の事で少しでもそういった者が居なくなればいいのだが……。




 さて一方、魔の森に道を作る作業をしているアボハール共和国の元第2王女アモーリだが、ヴァージニアのお陰で順調に開拓が進んでおり、遅れる事なく予定通りに進んでいた。

「ヴァージニア様、こちらの作業は終わりました。そちらは……あの、どうして顔を撫でるのでしょうか?」

「ん……肌の色が濃いのが……少し不思議」

 両手を上に伸ばし、アモーリの頬を撫でている。
 ヴァージニアの方が年上だが、ヴァージニアは背が低くアモーリは少し大きめなため、まるで子供と大人のようにも見える。
 インド人系統の顔立ちをしているアモーリは少し肌の色が濃く、ザナドゥ王国には居ない人種のため、ヴァージニアには珍しいのだろう。

「そ、それでは、今日の予定は終了でよいでしょうか?」

「うん……今日は少し早くに……終わったね」

「ではもう少し進めますか?」

「ダメ……予定より早く終わったのは……みんなが頑張ったから……だから終わる」

「分かりました。それでは終業の合図を出しましょう」

 大きめの振り鈴を数回鳴らし、終業の合図が付近に鳴り響く。
 ある程度の片づけだけして、作業員たちがテントに戻ってくる。
 
「……本当に不思議な光景ですね。どうしてシュウト大王マハーラージャは奴隷を使わないのですか?」

「ご主人様は……奴隷は効率が悪いって……言ってた」

「奴隷など掃いて捨てるほど居るのですから、大量に投入すればよいのでは?」

「その分……雑になる……意識の低い労働力は……邪魔」

 アモーリの国には奴隷が大量にいる。
 むしろ奴隷を使う事が推奨されており、奴隷商人は沢山いるようだ。
 奴隷がいない社会など考えられず、社会の仕組みは奴隷がいる事前提でつくられているのだ。

「しかし、奴隷が居なくても国はこれほどまでに大きくなっています。奴隷が足を引っ張っているのでしょうか」

「奴隷が悪いんじゃない……使う人が悪い」

 ここで問答をしても無意味と思ったのか、ヴァージニアはテントへと戻っていく。
 アモーリも今する話しではないと理解し、後を付いてテントへと戻っていった。
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