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第6章 ダンジョンから始まる世界交流

第269話 グリフォン討伐完了

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 ガッコウの銃弾が金津かなつの背中に命中した。
 金津は口から血を吐きよろめくと、大太刀をつえ代わりにして辛うじて立っている。

「な、なにをするんだー!」

 デビットが金津の腕を持ち、その体を支えながらガッコウを睨みつける。
 他の8人も何が起きたのか信じられない顔でガッコウを見ていた。

「なにって、さっさと終わらせてやろうと思っただけじゃねーかよ」

 その間もグリフォンの攻撃は止まらず、デビットと金津を爪やクチバシで攻撃をしているのだが、何と金津が奮闘してすべての攻撃を防いでいるではないか。

「無理をするな金津! 撤退しよう! 背後に敵がいる状態では戦いにはならない!」

「落ち着くのはお主じゃ。かぁ~~ペっ!」

 金津が口から血を吐きだすと、デビットは強がっている金津の腕を持って後退をしようとする。

「見ろ! 口から血を吐いているんだぞ!? そんな状態では……ん?」

「だから落ち着くのじゃ。いまのは喉に残っておった血を吐きだしただけで、もう血は止まっておる」

 金津が吐き出した血は薄く、ほとんどが透明だった。
 そう、胸に受けた傷はすでに治っており、それどころか体調が良くなっているのだ。

「助かったぞガッコウの! 治療と強化に感謝じゃ!」

 そういうとフリフォンの爪を軽々と弾き飛ばし、そのクチバシを切り裂いて平らにしてしまった。
 クチバシを斬られて悲鳴を上げるグリフォンだが、ひるんだ隙をデビットは見逃さなかった。
 のけ反った体の下に入り込むと腹に深々と剣を突き刺し、攻撃スキルを発動させる。

「バスタースイング!!」

 剣が高速で暴れ始めると腹に穴が開き、更にはジャンプする事で傷口を更にえぐり、遂には背中まで貫通してしまった。
 腹から背中に向けて穴が開き、やっとグリフォンを1頭倒す事に成功した。

「よっしゃぁ! 次じゃ次!」

 勢いに乗った2人は次のグリフォンに向かい、金津の大太刀で全ての攻撃をはじき返すと、またデビットが腹に潜り込み大きな穴をあけて倒す。
 このパターンは5頭目まで通用したが、グリフォンは大勢を整えるべく後退し、一か所に集まった。

「これは決まりましたね」

「ああ。金津はでかい刀に振り回されてたけど、強化した事で自在に操れるようになったしな」

「で、でも、Sランク冒険者なのに……つ、つり合いの取れない武器を使うなんて……」

「金津さんは大きな剣を振り回すスタイルが合っていましたが、手数の多い相手には相性が悪かったのでしょう」

 グリフォンは地面で戦う事を止め、5頭全てが飛び始めた。
 100階は広く高さもあるため、グリフォンの得意な空中戦も出来るのだ。

「とばれたらワシらでは手が出せんのぅ」

「ここは大人しく、防御に徹するとしよう」

 前衛部隊が防御態勢を取ると、今度は魔法使いや後衛組が攻撃態勢を取る。
 
「じゃあここからは私達の出番ね!」

 魔法使いと巫女2人は、空に向けて魔法と法術を使い始める。
 魔法使いも巫女も炎系の魔法を使い、グリフォンの羽や体毛を燃やそうとしているようだ。

燃え盛る火炎弾チア・ファーバ!」

火焔轟雷砲かえんごうらいほう!」

焔々風乱陣えんえんふうらんじん!」

 魔法使いの女は小型の火炎弾を連射し、巫女の1人は帯電した巨大な火の玉を1発撃ちだし、もう1人の巫女は広範囲に広がる荒れ狂う炎を出した。
 小型の火炎弾はその数の多さからグリフォンは必死に抵抗するものの、風の魔法で相殺するも直ぐに次弾が来るため追いつかず、巨大な帯電した火の玉は相殺すら出来ずに直撃、荒れ狂う炎は空を飛ぶ生き物には効果てきめんで翼による飛行を妨害し、飛べなくなったグリフォンは落下・炎上する。

 そもそもドラゴンを1対1で倒せる能力があるのだから、グリフォンの連携に惑わされなければ勝てるのだ。
 ……まぁ通常のグリフォンよりも強い個体を、修斗は集めたのだが。
 それをコピーし、無尽蔵に生み出せる仕組みを作るなど、ある意味正気の沙汰ではない。

「おお、倒したぞ! グリフォン10頭を倒しきったぞー!」

 それぞれが手を取り合い、強敵を倒した事を喜び合っている。
 そして冒険者の性だろうか、早々に倒したグリフォンの解体を始めた。

「元気だなこいつ等」

「冒険者はこういう物でしょう。生活がかかっていますから」

 ガッコウとヤクシも解体に参加を始めたが、シャンディラは解体が苦手なので部屋の片隅でたたずんでいる。
 1度倒した事で次からはヤクシ達が居なくても倒せるだろう。
 これでやっと、本当の意味でヤクシ達の役目、100階までの地図を完成させるミッションが終わった。



「さっきは済まなかったガッコウさん! まさか回復や強化まで出来るとは思わなかったんだ!」

「全くじゃな。やられたワシ本人も死んだと思ったからのぅ」

 100階の攻略が終わり、ひとまず冒険者ギルドに地図が正確だった事の報告と、アイテムの買取をお願いしていた。
 だたあまりにも数が多かったため、近くの飲み屋で一杯やりながら待っている

「ああ、アレか? ワタシは1人で前衛・後衛・回復と全部できっからな。気にすんな」

 ガッコウの銃は装填する弾によって効果が変わる。
 普段は単純な攻撃用の魔力弾だが、回復できる弾丸・爆弾の様な弾丸・麻痺弾など、様々な効果の弾を撃つことができる。
 ある意味ワンマンアーミーなのだが、実は本人は寂しがりやであり、1人ではあまり行動はしない。

「それにしてもあのグリフォン、以前戦ったモノよりも強く感じたけど、塔の魔物は総じて強くなっているのかしら?」

「俺も思った。グリフォン1頭にあそこまで苦労するとは思わなかったからな」

 ……修斗が強い個体をコピーしているからです。

「100階より上も、あんな強力な妖魔が出てくるのかのぅ」

 ……修斗が強い個体を(ry

「ヤクシさん達、このまま私達と塔の攻略をしない?」
 
 魔法使いの女がヤクシをスカウトしている。
 このまま自分達だけでは苦しいだろうし、当然の行動ともとれる。

「申し訳ありません。私達は仕事で100階までの地図を完成させただけなので、これ以上は塔に入るつもりは無いのです」

「なに? 一体誰からの依頼じゃ?」

「シュウト陛下です。ザナドゥ王国の」

 Sランク冒険者達の首が凄い勢いで3人を見る。
 それもそのはず、大陸を支配している国の国王からの依頼と聞いて、聞き逃すはずがない。
 別の島から来た侍や巫女たちもその名を知っているほどなのだから。
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