ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

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第6章 ダンジョンから始まる世界交流

第251話 意外な実力

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「ヤクシさんもどうぞ。甘いお菓子だ」

 黒いローブの男ジェロームに渡され、飴の様な物を口に入れる。
 ガッコウとシャンディラも甘くて気に入ったようだ。

「確かに甘いですね。……ああ、それではこちらもどうぞ。私も甘いものを常備しています」

 ヤクシはクッキーの様な物を取り出して、4人に配る。
 そしてガッコウとシャンディラには少しだけ色の違うクッキーを渡す。
 大好物だったのか、ガッコウとシャンディラは急いで食べてしまった。

「ほほぅ、これは済まんな、頂くとしよう」

 黒ローブの男が警戒心もなくクッキーを口にする。
 他のメンバーは少し警戒しているようだが、逆に食べないと不自然に見えてしまうため、飲み物と一緒に胃の中に流し込む。

「あら、このクッキー美味しいですね」

「ええ、私の手作りです」

「へぇ、料理もできるのか。冒険者にしては……めずら……しい、な」

 ヘルメット男のジュドニの目が半開きになり、トロンとしている。
 他の3人も同様で、寝てはいないが意識がハッキリしていない様だ。

「この飴はなんですか?」

「自白……作用のある……薬が……入っている」

 黒ローブのジェロームが上半身を少し揺らしながらしゃべりだす。
 他の連中も上半身がゆらゆらしている。

「やっべ、ワタシらもああなる所だったのか!」

「や、ヤクシさん……よ、よく気が付きましたね」

「私は薬師ですからね。味と自分の状態の変化ですぐに分かりました」

 どうやらヤクシ、口に入れた時には直ぐに作用を理解していたようで、その解毒作用のあるクッキーを2人に渡したようだ。
 そしてヤクシの質問は続く。

「それで皆さんは、どうして私達に近づいたのですか?」

「しゅち……にくりん」

「ひざま……ずけ」

「けつ……あな」

「かいぼう……じっけん」

 全員がバラバラだ。
 なので質問内容を変える。

「私達パーティーに何をさせるつもりでしたか?」

「「「「うえまで……あんないさせて……かねを……まきあげる」」」」

 同じ答えが返ってきた。

「なんでぇ、こいつ等も他の連中とおんなじかよ。薬を使ったんだから、もっとあくどい事考えてると思ったぜ」

「じゅ、十分……あくどいですけど」

 その後は色々な質問をして、この連中にはこれ以上情報を渡さない事で意見が一致した。
 幸いにも大した情報を与える前でよかった。



「……あれ? なんで俺は寝てたんだ?」

「あら? おかしいですね、確かお話をしていたはずですが」

「なんだ? ボーっとしてたな」

「ん……ん? なんだ、俺は寝ていたのか?」

 4人が目を覚ますと、ヤクシ達は楽しそうに話をしていた。

「お、起きたか。疲れてんならさっさと宿で寝ろよ~」

「み、皆さんお疲れ様です……しょ、食事はど、どうしますか?」

 どうやらすっかり日が沈み、外は暗くなっていた。
 それにしても、どうしてヤクシ達は残っていたのだろうか。

「丁度ディナーの時間に入るようですし、そのまま食事を頂きましょう」



 翌朝、ヤクシ達は塔の前で人を待っていた。
 少し待っていると、昨日の4人が現れる。

「いよっ! おはよーさん。早いね」

 ヘルメット男のジュドニが片手をあげて挨拶をすると、他の3人も順番に挨拶をする。

「おはようございます皆さん。今日はどのあたりまで登りましょうか」

 ヤクシ達もペコリと頭を下げる。
 なぜかガッコウはとても楽しそうだ。

「そうですね、可能なら100階近くまで行きたいですね」

「おお100階か、いいぜいいぜ! お前らは何階まで行った事があるんだ?」

 ドレス女リリアータは100階までという、まだ最終確認が出来ていないフロアを指定する。
 もちろん本来ならばあり得ない要望だ。
 なのにガッコウは喜んで引き受ける。

「私達は60階のテレポーターステーションには触った。だから60階からのスタートになるな」

「オッケーオッケー! うっし、じゃあさっさと行くとすっか!」

 塔の1階から60階まで飛び、早速探索を開始する。
 先を歩くのはなんとヘルメット男たち4人だった。

「ここはAランク冒険者として先を進ませてもらおう」

 黒ローブのジェロームが率先して前を進み、それに3人が続く形だ。
 まぁヤクシ達はマップを記憶しているため、罠にかかる事は無いし魔物が出てもあくびをしながら倒せる。
 それはヘルメット男たちも同じで、ヤクシ達が完成させた地図を覚えている。

 だがそれだけでは対処できないものがある。
 それが魔物たちだ。

「うおっ!? マジでデカいなこいつ!」

 出てきたのはバイソン・ラティフロン。
 巨大な2本の角が弧を描いて前に突き出し、全長は4~5メートル、全高は2~3メートルもある巨大なバイソンだ。
 それが群れで6頭も出てきたのだ。

「やっとお出ましか。こいつ等はな――」

「まぁ待ちたまえ。私達はAランク、このような場面は何度も経験済みだ」

 ガッコウが戦い方を教えようとすると、黒ローブのジェロームが遮る。
 Aランクとしての戦いを見せようというのだろうか。

「私達の戦い方を見てな!」

 インテリ世紀末女がリュックからモーニングスターを取り出す。
 短めの棒に鎖が繋がれ、その先にはトゲのある鉄球が付いている。

 バイソン・ラティフロンが頭を低くして、横一列になって突進してくる。
 1頭で2トン近くあるため、直撃を受けたらただでは済まない。
 だが。

「ひゃっはー! 脳天にブチかましてやるぜェ!」

 インテリ世紀末女は真正面からモーニングスターを振り下ろすではないか!
 バイソンの頭は縄張り争いでぶつけ合うため、特に頭の骨が分厚くなっているので、モーニングスターを力いっぱい叩きつけたところで……!
 1頭が地面にたたきつけられ、インテリ世紀末女コレットは意識を失ったバイソン・ラティフロンの頭に片足を乗せる。

「ヒーハー! 滾らねぇぜ! もっともっと私を熱くさせろー!」

 どうやらAランク冒険者としての実力は、間違いなくあるようだ。
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